クラブの振りやすさやショットの成否にも影響大! ミスの原因は相性の悪いグリップのせいかも?
石井良介のゴルフ・すべらない話:第63回

グリップの違いなんてわからないよ! という人は意外と多いのではないだろうか。だが、そういった人でもしっかりと“グリップの違い”を感じて、体が反応してしまっているはずだという石井良介。ということは、振りにくさだったり、よく出るミスショットの原因も、もしかしたら合わないグリップのせいかもしれない? 自分に合うグリップを使うメリットの大きさについて、石井良介に教えてもらおう。
手元が硬いシャフトもグリップが軟らかいと軟らかく感じる
グリップはクラブと体が唯一接するところ。基本的には“握り心地”が良いことが大事ですが、これはグリップが軟らかいか硬いか、太いか細いか、コード入りか否か、素材は何か、バックラインがあるかないか、下巻きはどうか、などなど意外と多くの要素に左右されます。
僕個人としては軟らかいグリップは苦手です。軟らかいと、思った以上に力が入るのか、切り返す瞬間にクラブがムニュッと潰れて捻れる感じが出てしまう。かつて使った某メーカーのグリップは僕にとってスライムやゼリーのようで、切り返した時に自分が意図していない方向にシャフトが捻れてコントロールできませんでした。だからちょっと硬めがいいのですが、かといって硬すぎもダメなので、自分の中でちょうどいいと感じるものを試して決めています。

今使っているのはゴルフプライドのMCC TEAMSという右手部分が軟らかめのラバーで左手部分にコードが入ったモデルですが、以前はイオミックやエリートグリップのものも使っていました。以前使っていたエリートグリップのモデルは、僕が握った感じでは薄くて、シャフトをダイレクトに感じました。一時期はその感覚が気に入っていたので、好みも変化しているようです。もちろんメーカーさんも工夫を重ねていますしね。
いずれにしても、グリップはプレーヤーに錯覚を起こさせます。例えば手元が硬いシャフトでも軟らかいグリップを入れると、手元が軟らかく感じることがあるし、逆に手元が軟らかいシャフトに硬いグリップを入れるとしっかり感が出てきます。

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ですから、太さについても注意が必要です。一般的にグリップを太くした方が手首を使わなくなると言われています。あながち間違いではないですが、ヘッド、ネック、シャフトのサイズが全て同じでグリップが太くなると簡単に先端が回ります。手元がちょっと動くだけで先端が敏感に反応するんです。逆にグリップが細いと先端を動かすのにエネルギーが必要になります。太いもの細いものもいろいろ試しましたが、結果はともあれ、やはり握り心地が最優先。ただ、細いぶんには下巻きを重ねることで調整できます。
バックラインについては、僕は“いらない派”です。上級者の中にはフェースを開く時に邪魔と言う人もいますが、それを言うなら僕はあってもいい。どれくらい開くかの目安になりますからね。なぜ、いらないのかというと、同じように入らないから。クラフトマンによって、ちょっとフックだったりスライスだったりに感じることがあるんです。バックラインがなければグリップは丸い筒ですから誰が入れても変わらないというわけです。
プロゴルファーだった父親には「自分のグリップを任せられる人を3人見つけておきなさい」と言われました。自分にとっての真っすぐをわかってもらえる人をキープしておくということですが、なぜ3人かというと、職人さんはだいたい自分より年上で先に死んじゃうからだと言ってました。まあ、それは極端としても体調や腕が変わることは起こりえますからね。
それなら自分でやろう、という人もいると思いますが、自分でやると似たようなことはできても、かかる時間が違います。それに、僕の場合、ちょっと開き気味に挿すクセがあって、それが続くと歯止めがきかなくなるんです。その点、人に任せれば一定のところには入れてくれるし、コミュニケーションもとれますから、ちょっと開いて感じるとか文句を言わせてもらいながらやってもらっています。

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ウェット感がなくなったらグリップ交換のサイン
アマチュアの方の中には、硬くてツルツルになったままのグリップを使っている人がいますが、すぐにやめてください。ツルツルで滑るとクラブが飛んでいったら困るので力が入ります。滑って危ないと感じるのは上手いも下手も関係ありません。親指のところが削れてシャフトが見えている人さえいますが、そんなのは論外。硬くなったかなと感じたら換え時です。僕はラウンド数や使用期間とは関係なく、グリップにウェットな感じがなくなったら換えています。換える時には重さを揃えないと前のクラブとの感覚が変わってしまうので注意しましょう。
本来グリップもフィッティングするべきもの。手のサイズ、自分が真っすぐ打ちやすい太さ、重さもありますから。パフォーマンスはヘッドとシャフトに負うところが大きいですが1~2割はグリップも影響すると思います。20年前のクラブもグリップを入れ換えれば打てますが、20年前のグリップのままでは打てません。
それに比べるとパターのグリップ交換はほとんどしません。向きが変わるのが嫌なので、心地よく打てるパターほど換えません。スパーストロークとかウイングリップなどを使っているプロの中には、毛羽立ってロゴも消えちゃっている人もいるほど。グリップを換えることでフィーリングが変わってしまうのが嫌で、デリケートになっている部分があるのだと思います。お気に入りのパターならなおさら。換えると絶対に同じものになりませんから。

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石井良介
いしい・りょうすけ。1981年生まれ。『令和の試打職人』として各種メディアに引っ張りだこの人気解説者。PGAティーチングプロA級。You tube「試打ラボしだるTV」が人気。早くからトラックマンを活用したレッスンを開始。高い経験値と分析力で正しいスイング、正しいギアへと導く指導と的確な試打インプレッションに定評がある。