ソフトな打感が好みの日本のゴルファーのリクエストから生まれたパター

ニューモデルの「スコッツデール」シリーズはズバリ、日本のリクエストをカタチにした日本人好みのパターだ。
ピンがリサーチしたところ、同社の出荷本数においてインサートありのパターが約7割に達し、日本の市場ではソフトインサートのパターが約6割を占めるという。ハッキリしているのは、日本ではソフトな打感のインサートを搭載したパターが人気ということ。

とはいえ「打感がやわらかい」だけだと、スピードが出ない気がして転がりが物足りなく感じるゴルファーは少なくない。そもそもアマチュアはショートすることが圧倒的に多いと言われるし、アマチュアがラウンドするコースは重いグリーンが多い。
そういうゴルファーのために「ソフトな打感」とは相反しがちな「転がりのよさ」を求めたパターが「スコッツデール」シリーズなのだ。ポイントは、フェースに搭載した「新PEBAX(ペバックス)」というハイテクのインサートにある。

もともと「ペバックス」という素材は、トップブランドのランニングシューズのミッドソール部分にも採用されて「テクノロジーのドーピング」と言われるほど革新的なもの。三分の二世紀にわたりパターの進化をリードしてきたピンが、この「ペバックス」を構成する素材を独自に配合することで、反発性、軽量性、柔軟性、剛性、耐久性などをフル装備したインサート「新ペバックス」を生み出した。

この新開発のハイスペックなインサートを採用したことで、「スコッツデール」シリーズは、心地よいソフトなフィーリングでありながら、しっかりと響く打音とともに転がりのいいパットをもたらしてくれる。
さらに、軽量のインサートをフェースに用いることで、ヘッドの重心が深くなり慣性モーメント(MOI)が大きくなる。ミスヒットをしても、ヘッドのブレやエネルギーロスを最小限に抑えて、距離や方向のバラつきを抑制してくれることも特徴だ。

手ごたえはソフトなのに、削り出しパターと同じくらい転がる

「新ペバックス」インサートを搭載した「スコッツデール」シリーズのパターを、さっそく石井プロに打ってもらった。試打したモデルは、ワイドなブレード型の「アンサー 2D」。気になる打感は?

「確かに、ソフトな打感がしますね。やわらかみがあって“深み”や“奥行き”があるフィーリングです。それでいて、反発力が高いからか音がしっかり聞こえるし、転がりが良くて球足がスーッと伸びるんです。ショートパットでも初速が速めなので、切れそうだなと思っても直線的に転がってカップにねじ込めるでしょう」(石井プロ、以下同)

それならば、と「新ペバックス」インサートを搭載した「アンサー 2D」と、一体削り出しでノンインサートの「PLD アンサー 30」を打ち比べてもらった。同じブレード型の2モデルで3メートルを何度も打ち比べてもらったが、両パターともにボールはほぼ同じところに止まった。

「どちらも同じタッチで打ちましたが、ソフトな『アンサー 2D』とソリッドな『PLD アンサー 30』と打感は違っても、同じくらいの距離を転がりました。インサートが有り・無しでも、距離感は似たような感じで違和感がありません。『新ペバックス』インサートが“ソフトな打感で、転がりがいい”ということが証明されましたね」

“ちょうどいいワイド感”が心地よい「アンサー 2D」

「スコッツデール」シリーズの中でも、とくに注目される形状違いの3モデルについて、インプレッションを紹介しよう。

まずは、PGAツアーで通算6勝を挙げているトニー・フィナウの要望で生まれた「アンサー 2D」から聞いてみよう。

「一般的なワイド型のパターは、いかにも直線的に動かさなきゃいけないような“レール”にカチッとハメられてる感があるんです。正直なことを言うと、僕はヘッドの後方が長いワイド型は苦手でした。
でも、この『アンサー 2D』はワイドだけどワイドすぎない、ちょうどいいサイズ感です。デザイン的にちょっと丸みがあって、いい意味でファジーさがあるので扱いやすい。ワイド型の後ろから押してくれる感じはありながら、強制されるわけでもありません。バランスがよくて真っすぐ打てます」

続いて、名器「B60」の派生形となる、ミッドマレット型の「B63」だ。
「いわゆる“やさしいパターの走り”と言える『B60』が、ボクはもともと好きなんです。その『B60』はトップレールが細めで繊細だけど、後方は丸みがあってまろやかな“B形状”。『B63』はそのテイストをかなり感じます。シリーズの中では、どちらかというと音が浅めでややソリッドな感触。見た目と音が一致しているので、そこに違和感はありません」

ゴルファーからのニーズがとても強かった懐かしの人気モデル「CRAZ-E」

もう一本は、久しぶりのラインナップとなった、大型マレットの人気モデル「クレイジー」について。

「このヘッドが好きだった人がいますよね、と言えるほど、ゴルフ場でみんなコレを使っていた時期がありました。“キーン”っていう音叉みたいな、高いけどやわらかみがあるまろやかな音が、打っててクセになります。それこそ“ピーン”と鳴る、ピンの初代モデル『1-A』みたいなテイスト。距離感を合わせやすいし、方向がとても安定するんです。
また、カウンターバランス仕様の「クレイジー CB」は、他メーカーの中尺パターより重すぎなくて扱いやすいし、ヘッドを動かしやすい。コレ、個人的にすごい好みです(笑)」

9モデル・10本がラインナップする「スコッツデール」シリーズ

【ブレード型】

「ANSER」(アンサー)

“ピン型”の発祥であり、ピン史上で最多勝利を挙げたパター。オーソドックスなトウ・ヒールバランスのヘッドだ。

「ANSER 4」(アンサー 4)

「アンサー」よりもブレード長が長くて、大きめのサイズ。ショートスラントネックにより開閉しやすくて、引っかけにくい。

「ANSER 2D」(アンサー 2D)

トニー・フィナウのリクエストから生まれたモデル。ワイドなアンサー形状で安心感と座りの良さがあり、操作性を兼ね備える。

【ミッドマレット型】

「B63」

従来の「B60」よりトップレールが厚く、サイズが大きめ。「B」を模したデザインで、オフセットが少なめのスラントネック。

「DS72」(ディーエス 72)

ビクター・ホブランのリクエストから生まれたカタチ。「アンサー」のフランジを後方に伸ばして安心感を高めたフェースバランス。

【ツノ型】

「PRIME TYEN 4」(プライム タイン 4)

ツノ型のヘッドで安定性が高く、ショートスラントネックでフェースを開閉しやすい。ツートンデザインでアライメント効果がUP。

「PRIME TYEN C」(プライム タイン C)

日本市場で人気のツノ型にセンターシャフトを挿したフェースバランス。シャフトの延長=フェースの真ん中(芯)で捉えやすい。

【マレット型】

「OSLO 3」(オスロ 3)

マレット型の真ん中に引かれた太めの白いアライメントラインにより、ターゲットに対してヘッドをスクエアに引いて出しやすい。

「CRAZ-E」(クレイジー)

重量周辺配分による大MOIの大型マレットで、アライメント効果に長けて安心感や安定感がバツグン。根強いファンが多い。

「CRAZ-E CB」(クレイジー カウンターバランス)

重めのヘッドで38インチのクラブ長に設定しつつ、17インチの長いグリップを装着してカウンターバランスに。重くてもヘッドが走る。

モデルによって、打感や距離感に少しずつ違いがある

「スコッツデール」シリーズの全モデルを試打した石井プロはこうまとめる。
「どのモデルも、打感のやわらかさや転がりの良さは共通しています。それでも、ヘッドの形状や重量、トップレールの厚みなどによって、フィーリングや距離感は少しずつ変わりました」

とくに、ヘッドの形状による違いが感じられたという。
「よりやわらかくて深みがある打感を求める人は、ヘッドの後方が長くて重心が深いマレット系を選ぶといいでしょう。例えば『DS72』や『オスロ 3』など。そういうヘッドは後ろから“ひと押し”をしてくれて、より転がります。
一方で、やわらかさの中にも芯があるというか少しハジき感も欲しい人は、後方が短めで重心が浅めのヘッドを使うといいでしょう。例えば『アンサー系』や『B63』など。そういうヘッドは操りやすいし、より距離感を作りやすいです」

パターは他のクラブに比べて、ヘッドやネックの形状も含めてバリエーションが豊富だ。それは人それぞれに好みや求めることがさまざまで、それらの多様なニーズに応えるためだ。
「自分のストロークタイプ(アーク、セミアーク、ストレート)に合うパターを選びましょう、というピンのコンセプトはもちろんベースにあると思います。と同時に、人によって好みの打感やタッチが合う打音などがあると思うので、そういったことも意識してパターを選ぶといいでしょう」

フィッティングを受けることで“エースパター”にたどり着く

結論としては、ピンというメーカーの強みであり不変のポリシーでもある「フィッティング」を受けることで“エース”にたどり着く可能性が高まるという。

「自分に合うパターを見つけるには、フィッティングに行ったほうがいいですね。ヘッドやネックの形状はもちろん、長さやグリップなども『自分はこうなんだ』と決めつけずに、自分の悩みや求めていることなどをフィッターさんにちゃんと伝えて相談すると、必ずいいアドバイスがもらえると思います。自分が打って楽しいパターを探してもらいたいですね!」

試打解説:石井良介
いしい・りょうすけ。1981年生まれ。『令和の試打職人』として各種メディアに引っ張りだこの人気解説者。PGAティーチングプロA級。You tube「試打ラボしだるTV」が人気。早くからトラックマンを活用したレッスンを開始。高い経験値と分析力で正しいスイング、正しいギアへと導く指導と的確な試打インプレッションに定評がある。