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「上りの真っすぐ」は実は難しい!  残すなら「下りの真っすぐ」?

“常識”に惑わされてはいけない。 もし、やさしいといわれるラインが一番難しいとしたら……|清永教授からの挑戦状 Vol.15

2025/03/16 ゴルフトゥデイ 編集部

ゴルフの原理原則を疑い、分析した清永教授の常識を覆し、上達スピードが速まる理論を紹介!

ゴルフトゥデイ本誌 634号/102~103ページより
解説/清永 明  写真/Getty Images

〈問題〉

やさしいとされる「上りの真っすぐ」のライン。本当にやさしいのか検証しなさい

時計文字盤理論の概念図と言葉の定義

2つの「真っすぐ」どっちがやさしい?

清永 清永の文字盤理論を使っていただき、パッティング時における狙い方とタッチの力加減への理解が深まったのではないかと思っております。

GT はい。どれも衝撃的でライン読みの根底が覆された感じがします。

清永 まだ、「覚えた」というより「聞いた」ばかりだと思いますので、少しずつ理解を深めてもらって、実際にプレーするときにゴルフ場でちょっとでも思い出してもらうと、私も嬉しいですし、結果もついてくるはずです。

GT 何度も読み返して、自分のものにしたいですね。

清永 理解が深まったところで質問します。上りの真っすぐのラインは本当にやさしいのでしょうか?

GT え? やさしいんじゃないですか? ロングパットを寄せる時やアプローチのときも「上りの真っすぐを残しなさい」と定説のように言われるじゃないですか?

清永 確かにそう言われることが多いですよね。でもその“定説”を疑ってみたことはないのですか?

GT だって、あまりにもよく言われていることですから……。

清永 では「文字盤」を使って検証してみましょう。

GT 先生、お願いします!

ラインを読む前に、このような情報を頭に入れておくと、対策も立てやすい。
ラインを読む前に、このような情報を頭に入れておくと、対策も立てやすい。

上りはカップから離れ、下りは近づく

清永 6時点からの上りのパット。真っすぐに打てればいいですが、プッシュして少し右側に出したとしましょう。ボールはどう転がりますか?

GT 右に出たボールがスライスしカップから遠ざかっていきます。

清永 正解です。では反対にプルして左にヒッカケたとしましょう。ボールはどう転がりますか?

GT 左に出たボールがフックしてカップから遠ざかっていきます。

清永 正解です。さらに上りのパッティングですから、平坦な場合と比べて大きなストロークが必要とされます。そのうえ、ちょっとでもフェース面が狂うと先ほど述べましたように、カップから遠ざかるほうにボールが転がっていきます。

GT ちょっとした失敗なのにショックを含めて大きな失敗に思えてしまうと。

清永 ボールが真っすぐ転がらなかったことから頭の中も混乱させられるので、パッティング技術としては、世間で言われているほどやさしくはないです。では反対に12時からのパッティングを考えてみてください。まずカップの右側へプッシュすると……。

GT フックラインを描き、カップへ近寄るように転がる!

清永 そうです! 左側へヒッカケてしまうと?

GT スライスラインを描いてカップに近寄る方向へ転がる!

清永 そうです。下りのラインですから重力の影響で真っすぐ落下するように転がって大きく曲がることはありません!

GT そう考えると、やさしいと言われている「上りの真っすぐ」が難しくて、それよりも難しいと言われている「下りの真っすぐ」がやさしい……。

清永 その通り! 6時点からの上りに比べて多少の失敗でもカップインする可能性があるので、パッティング技術としては世間で言われているほど難しくはないのです!

「6時点からの上り」と「12時点からの下り」パッティングラインの難易度比較

6時点からの上りのパッティング

ミスすると、カップから遠ざかる

6時点からの上りのパットは、カップの右側へ少しでもプッシュすれば、スライスライン上を転がる。その一方で、6時点からカップの左側へ少しでもプルすれば、フックライン上を転がることになる。

12時点からの下りのパッティング

ミスしても、カップから遠ざからない

12時点からの下りのパットは、カップの右側へ少しプッシュしても重力で6時点方向に転がり、少し左側へプルしても、重力で6時点方向に転がるためカップから遠ざかることはない。

データを分析してみるとプロでも上りの真っすぐが難しいことが分かった。
データを分析してみるとプロでも上りの真っすぐが難しいことが分かった。

時計文字盤時点におけるツアープロのカップイン率の平均値

12時点と6時点の比較では、前者のカップイン率が47.1%で後者は40.1%。つまりこれは「真っすぐの上り」の方が「真っすぐの下り」より難しいことを示している。この結果はボールの転がりが放物線を描くという性質からすれば当然の結果。清永教授は数十年前からこの常識の不合理性を指摘。この結果は清永予測・予言が間違いなかったことの証拠となるであろう。ちなみに「1時、2時」、「10時、11時」点の下りラインと「4時、5時」、「7時、8時」点の上りラインの比較では、【35.0、33.1】%対【44.6、42.2】%で上りのラインが 9.4%ほどやさしいようである。これは常識通りであり、「上りが下りより易しい」を裏付けている。
図はRich Hunt(Jan 10, 2018)http://golfwrx.com/author/richhuntより引用




解説/清永 明

福岡大学名誉教授。大学時代は九州学生選手権を3連覇。医師でありながらゴルフにまつわる現象を物理の目で分析。1メートルのパットが90%の確率で入るヨネックスの「トライプリンシプルパター」の設計者としても有名。

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