削り取ってしまったものは元に戻らない

一般的に、ウェッジの調整をすることが多いのはロフト・ライ角の調角です。あとは、長さやグリップの変更。ハードルが上がっていくと、ソールを含めたヘッドのグラインド(削り)になるでしょう。
これらはいずれも効果はあります。振り心地、ヘッドの抜け、インパクトのフィーリングなど全部が変わってくるので、全く効果がないということは絶対にありません。

なかでもライ角を直す、グリップを替える、長さを変えるといった、自分に合わせることに関してはそんなに失敗しないと思うんです。ただ、ソールを含めたヘッドのグラインドというのは、かなり専門的にはなります。削ってしまったものはもう戻らないので、慎重にやってください。

ウェッジのソールいじりは難しい!

ウェッジのソールって“一つの面”ではできていません。ネックからのつながりだったり、顔の輪郭に対してバウンスの頂点をどこに作るか、といったことでできているので。どこか一部分を削ると、全体のバランスは壊れるものなんです。それが壊れたほうが自分にとっては使いやすくなれば、やったほうがいいということ。

そういうことが分からず、いたずらにいじっちゃうと全体のバランスが崩れてしまいます。いろんなところに手を加えたほうが良くなるケースもありますが、とてもデリケートなモノであると言わざるを得ません。
例えば、ソールの抜けが悪ければ、適切なところを削れば抜けは良くなるでしょう。よくあるケースとして、ヒールバウンスを取っちゃえば「抜け」という面だけを考えれば良くなるんです。
ただ、抜けが良くなる反面では、ソールが全く頑張らないことになるので。球が高く上がりやすくなったり、打点がちょっと上にズレたり、違う面での弊害は出てくるものです。そういうことも踏まえていじってほしいなと思います。

使いやすいウェッジとは“長く使ったモノ”

その人にとって一番使いやすいウェッジは何かといったら、長く使ったウェッジです。スピン性能とかは置いておき、ソールの形状などは、その人がずっと長く使ったウェッジは使いやすくなるんです。ナゼかといったら、その人が使った痕跡で邪魔なところが削れていくから。

ボクがゴルフを覚えたころ、今から30~40年前の話をしましょう。そのころはまだ、ウェッジのソールグラインドの種類はそんなにありませんでした。そういう時代の大先輩のプロたちは何をしたかというと、新しいウェッジが来ると、コンクリートの上で「バン! バン!」とソールを滑らせるんです、火花を散らしながら。そうすると、ウェッジのソールが自ずと削れるじゃないですか。

そうやってコンクリートの上に火花をいっぱい散らしながらソールを当てて、当たった場所が削れていく。削れてザラザラになったところをちょっと丁寧に直して、そのウェッジを使っていました。
そういう歴史もあるくらいなので、削ることをゼッタイにやめてほしいとは言いません。ただし、クラブには“全体のバランス”があるので、いじるのならば注意してやってもらいたいですね。

鹿又芳典
かのまた・よしのり 1968年生まれ。年間試打数2000本超え。全てのクラブに精通するクラフトマン。豊かな知識と評価の的確さで引っ張りだこ。ゴルフショップマジック代表。