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ゴルフは距離感のゲーム。コースに惑わされず正しく距離を把握するには？

ゴルフは距離感のゲーム。コースに惑わされず正しく距離を把握するには？

石井良介のゴルフ・すべらない話：第73回

2025/04/23　ゴルフサプリ編集部

目標までの距離は目測で測ってる？それとも距離計測器？目測だけだとコースのレイアウトに惑わされて、正確な距離が測れないことがある。また、調子の良し悪しによっても距離感は変わるという。コースに惑わされずに正しく距離を把握する方法を石井良介プロに教えてもらおう。

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目標までの距離は調子がいいほど近く、調子が悪いと遠く見える

ターゲットまでの距離をジャッジする時、一番頼りになるのはレーザー距離計測器だと思います。計測器がない時にはスプリンクラーにある距離表示を見て、そこから歩測して割り出す。カートにGPSナビが搭載されていれば、ナビに距離が表示されますが、カートでボールのところまで行けないことが多いので正確ではありません。

その一方で、ゴルファーたるもの自分の距離感覚は鍛えておくべきだとも思います。絶対距離感とでも言うのでしょうか、パッと見てピンまで○ヤードとイメージできる感覚ですね。ですから僕は、ラウンドではまず目で距離を測ってみてから距離計を使って確かめるようにしています。でも、やはり目測はアテになりませんね。110ヤードだと思ったのが118ヤードだったり、50ヤードが60ヤード以上あることもザラです。それがわかっているから距離計に頼るわけですが、使えない時もあるし、何より人間は道具に頼ると衰えます。

距離感も鍛えないと衰えますから、目測してから距離計を使うようにしているわけです。また、昔から言われているように、道を歩きながら電信柱までの距離や横断歩道を歩測する、といったことを通した距離を確認しています。横断歩道は白と無色のところの幅がそれぞれ約45センチ。白と無色のワンセットで約１ヤードなので歩測のトレーニングになります。

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さて、コースにおける距離の見え方ですが、目標までの距離は調子がいいほど近く、調子が悪いと遠く見えます。また、天気は雲っている時ほど距離があやふやになりやすく、晴れている方がわかりやすくなります。

ご承知の方も多いと思いますが、グリーンの奥に何かがあるかないかによっても見え方は変わります。背後に林や山があると近く、奥が抜けていると遠く見えます。例えばグリーンの奥が海だと、一瞬すごく遠のいた感じがして迷うことがよくあります。ピンまでの距離は奥行きに影響されやすいということですね。

これらがコンディションや自然によって生まれる錯覚だとすれば、コースデザインに惑わされるパターンもあります。そこで忘れていけないのは、コース設計家はプレーヤーを惑わそうとしていること。意図的に遠く見せたり、近く見せたりしているシチュエーションもあるということです。よく見かけるのはグリーンの左右にバンカーがあるシチュエーションで、実際にはバンカーのサイズに差があるのにプレーヤー目線で見ると同じ大きさに見えるような仕掛けです。

また、フラットな目線で見るとバンカーのすぐ先にピンが立っているのに、実際にはバンカーからグリーンまで結構距離があって「警戒して損した！」みたいなこともよくあります。手前が池でも同じで、池の上にピンがあるように見えますが、このようなワナはホールを俯瞰して見ないと気づけません。GPSがあっても画面ではそこまで詳細にわかりませんから、ラウンドでは人のショットを見て判断するしかないでしょう。

時間があれば、この手の情報は事前にネットで調べておいた方がいい。ホームページに各ホールをドローンで撮影した動画をアップしているコースやゴルフ場の検索サイトなどでもある程度チェックできます。

サザンヤードカントリークラブの3H。手前にガードバンカー、奥はOBとなっていて、第2打地点からはグリーン面が見えないため正確な距離感が求められる。（空撮：相田克己）

バンカーまでの距離で言うと、フェアウェイバンカーには大きく分けて、入れたらヤバいバンカー、ショットが曲がった時にOBまでいかないよう救済してくれるバンカー、絶対に入らないところにあるバンカーの３つがあります。絶対入らないバンカーは目印型なので、そこまでの距離を割り出してターゲットにするといいでしょう。

ジャック・ニクラウスが設計したコースには、こんなバンカーがよくあって、例えば右サイドがグリーンの近くまでずっと池で、左サイドに３つくらいバンカーが並んでいて、飛ばない人は左、飛ぶ人は右のバンカーといったように目印になっていたりします。このように、コースの誘いを読み解けるようになると、距離やターゲットを割り出しやすくなり戦略的なゴルフが楽しめます。

打ち上げ、打ち下ろしについてもよく聞かれますが、打ち上げはターゲットが近くに見えます。上りのパットも同じです。打ち上げでは指の向きでプラスヤードをジャッジすることもあります（写真）。あくまで僕にとっての目安ですが、打ち上げが薬指の角度なら＋10ヤード、中指なら＋20ヤード、人さし指なら＋30ヤードといった具合です。打ち下ろしは長い距離を打つ場合には影響がありますが、ショートアイアンでは影響されません。

手を開き指先を目標に向ける。小指のラインをレベルとし、目標がどの指の方向にあるかで打ち上げ具合を見当をつける。

付け加えておくと、打ち上げほど目線が上にいくのでプッシュアウトやチーピンが出やすくなり、打ち下ろしは下を見るのでスライスやヒッカケが多くなります。いかに見た目の景色に影響されずフラットに構えて打てるかが大事だと思いますが、そうは言ってもグリーンを狙うショットでは足場が傾いていることが多いですから、それをどう吸収するか、あるいは利用するのか。ここは明確に分けてから臨んだ方がいいでしょう。

石井良介
いしい・りょうすけ。1981年生まれ。『令和の試打職人』として各種メディアに引っ張りだこの人気解説者。PGAティーチングプロA級。You tube「試打ラボしだるTV」が人気。早くからトラックマンを活用したレッスンを開始。高い経験値と分析力で正しいスイング、正しいギアへと導く指導と的確な試打インプレッションに定評がある。