いいドライバーだからといってボールを遠くに飛ばしてはくれない、打ちたい球筋は自分で作るもの!
【ダグ三瓶・球筋の整え方②】

どうやったらより遠くに真っすぐボールを飛ばせるのか? クラブにやってもらうことと、自分でやるべきこととは?
卓球で考えるとわかります?

スライス、フックを打つことに関して、よく例えに出させていただくのが卓球です。
卓球は動いているボールを打つので、ゴルフとは結びにつきにくいかもしれませんが、ことスピンをかけるということでは、同じような動作、原理であると考えていただけると嬉しいです。
例えば、胸の高さくらいに卓球のボールをティアップして、そのボールに卓球のラケットで、真っすぐではなく、フックやスライスをかけてみましょう! と言われたら、実際にやれるかどうかは別として、なんとなく、ラケットの面をどのようにボールに当てて行けばよいか? はイメージできると思います。
これと同様に、ゴルフクラブのフェース面を、ボールに対してどのように当てていくか? に置き換えてもらえればうれしいです。
そう考えると、ボールを曲げることってそんなに難しく感じないのでは? と思いますがいかがでしょうか?
そんなこと言われても、実行するのは難しい!とおっしゃる方が多いと思います。
では、なぜ、ゴルフクラブだとそれが難しく感じてしまうのでしょう?
それは、やはり、ボールを当てる面=ヘッドのフェースが、体がからかなり遠くにあるということが一番だと思います。
卓球のラケットの打球面は手のほんの少し先にあります。極端に言えば、手のひらでボールを打つと言っていいくらいでしょう。
ですが、ゴルフクラブには、シャフトがあり、ドライバーだと1mくらい先に打つ面がありますから、これをコントロールするのは至難の業と言えるかもしれませんね。
ゴルフクラブは何もしてくれない
ですが、ここで大前提があります。
やはり、そうはいっても、ゴルフクラブは勝手に動いてはくれません。人間が握って、コントロールして、初めてヘッドは動き、フェース面も制御できるようになります。
そうなんです!
以前にも書きましたが、ゴルフクラブは基本的には何もしてくれません。
特にボールに当たるまでは、人が制御しなければ何も始まりません。
そこを一番ご理解いただけると嬉しいです。
球筋をコントロールするのも、飛ばすのも、飛距離をコントロールするのも、すべて自分です!
では、なぜ、スライスに悩んだり、思ったより飛ばせなかったりするのでしょう?
それはクラブの特性に合わせようしすぎているからなんです!
コントロールしにくいクラブだと、合わせるためには、スピードを落とすという話は、以前させていただいたと思うのですが、球筋のお話も同じです。
例えば、スライスをなるべくしないように打つということに挑戦してみてください。
上記しましたように、スライスをかける動きというのは、頭の中では理解できていると思うのですが、その通りに体が動かないのは、それはクラブがそのように動きにくいものになっているからだと考えて欲しいのです。
コントロールするためにヘッド重量は……
例えば、ドライバーはクラブとして一番長いですから、シャフトのしなり量も大きいです。
それを力いっぱい振ろうとすればするほど、シャフトはしなり、ヘッドは遅れ気味になります。
そのまま打とうとすると、フェースは開いて当たりやすく、右に行きやすいことは想像していただけますでしょうか?
では、そのクラブでスライスをなるべくしないように打つには、フェースがスイング中に戻るようにタイミングを取る、リリースをかけるなどが必要になりますよね?
ですが、しなりすぎてしまうものを戻そうとすると、シャフト自体も復元力で戻ろうとしますから、そのタイミングを間違えると、戻りすぎてしまって今度は逆にフェースがクローズになってインパクトしてしまい、左から左に曲がるということも起こりうるでしょう。
これでは、スライスを防止したとも、クラブをコントロール出来たとは言えません。
また、重さも影響します。
ヘッドというのは、前述しましたように、体から一番遠いところにありますから、重ければ重いほど、それをコントロールするには力が必要になります。
つまりは力がない人ほど、ヘッドの重さによってコントロールすることは不可能になり、球筋も同様にコントロールできないことになります。
そうならないためにも、以前、ヘッドスピードを増やしてボールスピードを上げるためのヘッド重量を書かせていただきましたが、球筋をコントロールするためにも、ヘッド重量はあまり重くない方が良い、という結論になってきます。

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シャフトが柔らかすぎたり、ヘッドが重すぎたりするクラブは、練習量の豊富なプロやトップアマの方々でも、コントロールできるようになるには時間がかかることでしょう。
そうなってくると、アマチュアがスライスで悩まなくなるためには、ヘッド重量の軽い、シャフトもしなりすぎないものにすることが良いと考えています。
スライス防止のために、戻りやすいシャフト(いわゆる走るシャフト)を使うことが間違っているわけではないのですが、一度タイミングを外してしまうと、それがスライスにもフックにもなってしまうことがあるとご理解いただければ嬉しいです。
そのタイミングのための練習をするのは、上達にとってはやや遠回りなのでは? と考えています。
であれば、自身の一番振りやすいスペック=クラブをコントロールしやすいもの、と考えていただき、そのための、ヘッド重量、クラブの長さ、シャフトの硬さ・重さ・しなる場所というのを見つけ出していただくのが、スライスにも悩まず、自身の最大の距離も出すことができ、かつ、上達しやすいクラブと考えていただけると嬉しいです。

よく硬いシャフトの方が右にいく、という方がいらっしゃいますが、それは当方としては、まだ、十分に硬くないのでは? ということを考えます。
逆に、硬いシャフトだと左に出てしまうという方は、それは単純に軌道とフェースの関係性が左に行くようになっているということになります。
そこを踏まえて、シャフトの硬さを再考していただき、かつ軌道を修正する=クラブをコントロールするということを目指してほしいと考えています。
なかなか難しい話かもしれません。
が、クラブをコントロールしてボールを操ってゴルフをすることを覚えると、ゴルフをさらに深く楽しめると考えています。
是非ともチャレンジしてみてください!

ダグ・三瓶(だぐ・みかめ) ブリヂストンスポーツ、アクシネット ジャパン インクと日米2つの大手メーカーに所属。その中でクラブ開発、ツアー担当、マーケティング、フィッティングなどを担当。ツアーレップ時代にはあのボブ・ボーケイ氏に日本で唯一の弟子と認められていた。現在、フリーとなり迷い多きアマチュアゴルファーにアドバイスを送ってくれることとなった。
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