史上初! 5人でのプレーオフを1ホールで決着つける

大混戦となった今シーズンのメジャー初戦は、最終組の2つ前の組で8アンダーの単独首位だったアリヤ・ジュタヌガーンが18番をボギーとして7アンダーに。
最終組の西郷とリンディ・ダンカンがバーディフィニッシュで7アンダーに並び、先にホールアウトしていたキム・ヒョージュ、リュー・ヤンを含めた5人による、メジャー史上最多人数によるプレーオフとなりました。

プレーオフ最初のホールは18番パー5。ここでまず優位に立ったのは、5人で唯一ツーオンに成功させたヤンでした。
やはりツーオンを狙ってグリーン奥に外した西郷は3打目のアプローチを1メートルほどに寄せますが、ここからが尋常ではないメンタルの“消耗戦”でした。

やはり2打目を奥に外したジュタヌガーンと3打目をショートさせたダンカンのアプローチ。
ヤンのイーグルトライに始まり、他の4人のパットは全て西郷よりも長い距離だったため、1メートルのパットを打つまでに何と「10プレー」も待つことになったのです

ウィニングパットを打つまでに「10プレー 」待ち!!

このうち「お先」のタップインが3回あったので、それを数えなくても7プレー。時間にして10分 超もグリーン上で待つことになりました。

プロのトーナメントは通常3人1組もしくはツーサムでラウンドするので、あり得ない待ち時間です。
4人で回る一般ゴルファーのプレーでもパットの順番を10分待つというのは、まずないでしょう。

しかも先に打った人がことごとく、それほど難しくは見えないパットを外すと、余計なことを色々考えてしまいそうです。

「手が震えるどころか、全身が震えていた」と打ち明けた心理状態。それでも集中力を切らすことなくど真ん中からウィニングパットを沈めたこと。
それをメジャーの大舞台でやってのけ、初勝利という“殻”を破ったことで今後は勝ちを重ねることが期待されます。

プレーオフがかかった状況でも見せた強さと落ち着き

正規の18番パー5はバーディでプレーオフという状況でした。
確実にバーディを奪うなら刻んで3打目勝負という選択枝もあったかと思いますが、2打目地点では迷わずフェアウェイウッドを手にしていました。
これはグリーン奥に外れ、アプローチは3メートルほどの距離に乗りました。

プレーオフがかかったパットは上りのスライスライン。
西郷は「これを決めきらないと、今後同じ機会になった時に勝ちきれないと思った」と目の前のメジャーだけでなく、その先を見据えていたことを打ち明けます。

結果はバーディでプレーオフに進出。この積極的な姿勢が報われたのか、この後は「自分に運が向いているのかな」と話した状況が続きます。
同じホールでのプレーオフでは2打目の残り距離が直前の正規の18番の時と1ヤードしか変わらず、グリーン奥からのアプローチもほぼ同じライから打つことができました。

「世界ランキング1位」をめざしたい

優勝会見で今後の目標を聞かれると「世界ランキング1位を目指したい」と答えました。
ルーキーだった昨シーズンは2位が2回。トップ10が7回の立派な成績を残したことは、悔しい思いを重ねたことの裏返しでもありました。
「残り試合でも全力でプレーしたいですし、残り4つのメジャーでもいいプレーができるように頑張りたいです」と話した西郷の今後にますます期待です。

(文/森伊知郎)