PGAツアーですでに起きていた、アイアンシャフトの軽量化

実はいまのPGAツアーでは、アイアンのシャフトに関して、メインの重量帯が120グラム以下で、だいたい100グラムから120グラムなんです。例えば「モーダス³」シリーズ(日本シャフト)で言えば、日本で発売されている「ツアー120」が、PGAツアーのリクエストによって作られたモノじゃないですか。そのモデルが発売されてから(アメリカ/2010年、日本/2011年)、15年ほどたっています。

すでにそのくらい前から「アイアンのシャフトの軽量化」というのは、PGAツアーでは起こっていました。なので、やっと15年遅れで日本にもその流れが来たな、という感じがします。

求める結果が出ることが最優先、フィーリングは慣れるもの

その背景にどんなことがあるかというと、PGAツアーの選手たちは“振り感”とかよりも“弾道”に対するリクエストがスゴく強いんです。弾道のリクエストって何かと言うと、それはドライバーも全て一緒で、ボール初速、打ち出し角、スピン量、最高到達点というものにこだわりを持ってクラブを選んでいます。
言い換えると「求めた“結果”が得られるのであれば“フィーリング”は慣れる部分だ」という感覚が、PGAツアーのプレーヤーたちは強いもの。クラブを替えるといっても「結果が変わらなければ替える必要がない」という考え方でしょう。

革新的なクラブやセットにトライする選手が多い反面、10年以上も使うFWやUTをバッグに入れている選手たちも多いじゃないですか。その辺りはあくまでも“結果至上主義”なので、結果を変えたいときにはいろいろなアプローチをします。

ドライバーシャフトの「軽量化」の流れにもマッチしている

そういう背景があって、アイアンで弾道の初期条件を上げていくためにスゴく有効だったのが「軽量化」ということ。それから、PGAツアーの選手たちは「長さ」に対するアレンジもしてくるので、そういったことで起こった現象と言えるでしょう。

加えて述べるとしたら、ドライバーのシャフトがPGAツアーの主流って60グラム台なんです。そこからの重量フローを考えると、アイアンのシャフトの重量帯は100~120グラムくらいがちょうどよくなっていく、ということも当然あると思います。

なんのために軽くするか、目的をハッキリさせる

ここで注意点を申し上げておきましょう。ボクもこれまでに「どのシャフトが一番飛ぶのか?」ということで、いろいろなテストをする機会がありました。でも結局は、HSが上がらなければ、何を打っても一緒なんです。軽いシャフトを入れてもHSが上がらなければ、球の高さとかスピン量とかは若干変わりますが、飛距離という面では何一つ変わりません。

つまり、シャフトを軽くしたら必ず結果がリンクする、というわけではないんです。アイアンのシャフトを軽くしようかな、と考えている人は「なんのために軽くするのか?」を明確にしておきましょう。

振りやすくするためだけに軽くするのなら、結果は伴わなくてもいいし。結果を変えたくて軽くするのなら、ちゃんと結果が伴うかどうか、弾道データを見るなりして検証してから買ったほうがいいし。それで結果が伴わないのであれば、重さがあるほうが安定はするので替える必要はないし。そもそも、軽いクラブを速く振るには、練習もしなければなりません。
というように、しっかりと検証した上で、アイアンのシャフトを軽くすることにチャレンジしてくださいね。

鹿又芳典
かのまた・よしのり 1968年生まれ。年間試打数2000本超え。全てのクラブに精通するクラフトマン。豊かな知識と評価の的確さで引っ張りだこ。ゴルフショップマジック代表。