ヘッドスピード40m/sで25度ユーティリティが170ヤード飛ぶ人のためのUTセッティング
吉本巧のゴルフギア教室 第65回

ドライバーのヘッドスピードが40m/sならロフト角25度のユーティリティで170ヤードは飛ばせる。これを基準に前後の番手(ロフト)の飛距離、適正シャフト、番手の組み合わせをプロコーチ・吉本巧に考えてもらった。
ロフトによって生じる飛距離差は1度の違いで約5ヤード
ロフト25度のユーティリティ(以下UT)で170ヤード飛ぶ人は、ドライバーのヘッドスピードがおおむね40m/s前後。平均的なアマチュアゴルファーの範疇と考えていいでしょう。
言うまでもなく番手が上がってロフトが小さくなれば飛び、番手が下がってロフトが大きくなれば飛ばなくなります。飛距離はシャフトによっても変わるので、ここではカーボンシャフトとスチールシャフトの飛距離の目安も提示します。
まずロフトによって生じる飛距離差ですが、1度の違いで約5ヤード変わります。ロフトがプラス1度なら5ヤードプラス、同様にマイナス1度なら5ヤードマイナスです。170ヤード飛ぶ25度のUT(カーボンシャフト)を基準にすると、24度の飛距離は175ヤード、26度なら165ヤードということになります。スチールシャフトはカーボンシャフトより約5ヤード減になるので、それぞれの数値からマイナス5ヤードした飛距離が目安になります。これらをまとめたのが下の表です。
ロフト25度で170ヤード飛ぶ人のUTのロフトと飛距離の目安

180ヤード前後から150ヤードくらいの距離をカバーするのがUTと考えるとすると、アイアンと同様に1番手ごとに10ヤード程度のギャップを作るのがセッティングの基本になります。その前提でUTを3本入れるとすると、
23度 180ヤード(175ヤード)
25度 170ヤード(165ヤード)
27度 160ヤード(155ヤード)
※()内はスチールシャフトの飛距離
の組合せとなり、25度を基準に大小2度刻みのセットアップになります。番手間の飛距離に少し余裕をもたせて15ヤード刻みにするなら、25度の前後にそれぞれ22度と28度を入れることになります。ここでは22度から28度まで1度刻みに紹介していますが、メーカーは3度刻みでUTを用意していることが多いので、後者の方が現実的かもしれません。

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ちなみに、なぜ3度刻みなのかというと、常にナイスショットできれば10ヤード(2度)刻みでいいのですが、UTだとそうはなりづらい。その点、15ヤード(3度)刻みなら、ミスショットが出ても10〜15ヤードの範囲に収まると想定しているからです。もちろん上級者は2度刻みでいいと思います。
難易度についてはロフトが少ないほど高くなります。ボールが上がりづらくなるのとクラブが長くなるのが理由です。また、カーボンシャフトとスチールシャフトで比べると圧倒的にカーボンシャフトが楽。シャフトのしなりとねじれが大きいため、打球が上がって距離が出るからです。
とはいえスチールシャフトにもメリットはあります。カーボンに比べると方向性が安定し、スピン量も多めなので打球が止まりやすくなります。そのためプロや上級者などミート率が高いゴルファーには、スチールシャフトを愛用している人が多くいます。
ただ、そんな人はアイアンもスチールシャフト。また、26度以下など、ロフトが多めのUTでスチールシャフトを採用しています。これは、それくらいの番手からグリーンを狙いたいから。わかりやすく言うと、カーボンシャフトは飛ばすUT、スチールシャフトはグリーンを狙うUT、というように使い分けているのです。これを一般ゴルファーが真似するなら、例えば、
22度 カーボンシャフト 185ヤード
25度 カーボンシャフト 170ヤード
27度 スチールシャフト 155ヤード
という3本でセットアップする。25度以下は飛ばすUT、27度は狙うUTになります。番手間のギャップも15ヤードなので適当です。ヘッドスピードの速いゴルファーなら、
23度 カーボンシャフト 180ヤード
25度 スチールシャフト 165ヤード
28度 スチールシャフト 150ヤード
の組合せがいいでしょう。ともにカーボンとスチールを混ぜることでロフトのピッチが変わってきますが、そこだけ気をつければ同じUTでもそれぞれの用途がハッキリするので使い分けしやすくなります。
このセットアップで気をつけることは、上や間の番手にスチールシャフトを入れないこと。ロフトが少ない方から順に「スチール→カーボン→カーボン」、「スチール→スチール→カーボン」、「カーボン→スチール→カーボン」というのは避けるべき。アイアンがカーボンシャフトの人はUTもカーボンで統一するべきです。

吉本巧
よしもと・たくみ ゴルフ修行のため14歳から単身渡米。南フロリダ大在学中は全米を転戦するなど11年間にわたって選手とコーチを経験したのち、日米の20年の経験から吉本理論を構築。プロやアマチュアのスイングコーチをはじめ、フィジカルトレーナー、プロツアーキャディー、メンタルコーチング、クラブフィッティングアドバイザーなども務める。現在は東京・中央区日本橋浜町の「吉本巧ゴルフアカデミー」で指導中。「吉本巧のYouTubeゴルフ大学」も人気。

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