ゴルフスイングにトレンドなんてない!? 上達するには自分に合う振り方を見つけること!
石井良介のゴルフ・すべらない話:第75回

ボディターンやシャローイングなど、これまでに「これがトレンドだ!」と広まっていったゴルフスイングはいろいろとあった。だが、ゴルフスイングには流行り廃りなんてないですよ、という石井良介プロ。どういうことなのか、話を聞いてみよう。
シャローイングはパーシモン時代からずっとあったスイングスタイル
数年前にシャローイングが話題になってこのかた、クラブをシャローに入れようとする人が増えました。プロが始めたことにアマチュアゴルファーが追随する、いつもの構図です。
シャローイングを簡単に言うとクラブヘッドが緩やかな角度でインパクトに向かうスイングスタイル。ダウンスイングでクラブが寝る感じになってフラット傾向のスイング軌道になります。シャローの反対はスティープで、こちらはインパクトに向かってクラブヘッドが鋭角的に入るスイングです。シャローイングはクラブがインサイドから下りやすいのでシャローイン、スティープは同様にアウトサイドから下りやすいのでスティープアウトとも言われます。
2019年のPGAツアーでプロ転向3戦目のマシュー・ウルフが勝ったことで一気に広がったシャローイング。当時、日本では新しいスイングみたいに言われましたが、ああいうスイングのプレーヤーはずっと前、それこそパーシモンドライバーの時代からたくさんいました。
2020年の全米オープンではウルフとブライソン・デシャンボーが優勝争いを演じました。スイングが対称的な2人の争いだったので注目していましたが、やはり勝ったのはデシャンボーでした。「やはり」と思ったのは、メジャーを勝つ選手はみんなスイングがアップライトだからです。

全米オープンはラフがキツいなどタフなセッティングで知られていますが、ウルフはこれに対応しきれませんでした。対するデシャンボーはアップライトに上からヘッドを入れるのでラフからでも真っすぐ打てました。トラックマンで測ったらスピンが多くなって飛ばないかもしれませんが、いろいろなところでも打てるのはアップライトなスイング。ウルフのようにシャローインすれば飛ぶかもしれませんが、フェアウェイからでないと厳しい。アップライトなスイングは古いと考えていましたが、実は理にかなっていたのだと、改めて思いました。
日本ではスイングにトレンドみたいなものがあります。「〇〇プロがこんなスイングでメジャーを勝ったから僕らもやってみよう!」みたいな感じでメディアが紹介したり、プロが自分なりに考えて取り入れたりするわけです。中にはそれでうまくいった人もいるかもしれませんが、前述したように目新しいことではないことがほとんどですから、結局は流行り廃りの域を出ないような気がします。いずれにしても、このようにスイングを見るのは日本のゴルフシーンならではだと思います。

ニューヨークで活動している宮崎太輝コーチによれば、アメリカには派閥のようなものはあるけれど「こうやって打つ」みたいなトレンドは基本的になく、「こんなメソッドがあって、それをやったらこんな結果が出たけれど、みんなどう思う?」と個々のコーチが検証したことをコーチ同士が喧々諤々やりあって、例えば「この仕組みはこういう人に使えそうだね」というところまで落とし込むのだそうです。
当たり前のようですが、これは日本にはないスタイルです。日本では影響力のある誰かが「これがいい!」と言ったら盲信してしまうことが多いですが、そうではなく、スイングやゴルフクラブがボールに与える影響をアカデミックに考えデータをとっているのです。
こういうことを日本でもやった方がいい、ということで「試打ラボしだるTV」で”ゴルフフェス”をやりました。会場のゴルフコースに招いた著名な5人のコーチに、チケットを買っていただいたお客さんがレッスンを受けられるイベントです。レッスンを受けるためにあちこち行かなくても、足を運べば一日でいろいろなコーチの指導を受けられるという仕組み。講義を受けて実践して、夜はみんなでバーベキュー、そして翌日はコンペです。
ゴルフには技術面の相性があると思います。目指すところは同じでも、プレーヤーによって辿れる道筋と辿れない道筋がある。ですから、できないからといって自分のせいにしないことです。その手がダメなら違う手があるのに、アマチュアの方は自分がダメだと思って自分を責めてしまう。プロゴルファーだって試してダメなことはいくらでもあるんですから。
ある程度ゴルフをやってきた方の場合、極論すると変わるんじゃなく変えなければいけません。その方法は僕らが教えるので、あとはそれができるかどうか。それをやろうと思ったら、みんな多かれ少なかれ違和感があるものですが、だからと言ってやらなければはじまりませんから、自分に合ったやり方を見つけるべきなんです。
今年も秋の収穫祭と題してゴルフフェスをやる予定です。詳細はまだ未定ですが、興味がある方は夏にでも「試打ラボしだるTV」を覗いてみてください。

石井良介
いしい・りょうすけ。1981年生まれ。『令和の試打職人』として各種メディアに引っ張りだこの人気解説者。PGAティーチングプロA級。You tube「試打ラボしだるTV」が人気。早くからトラックマンを活用したレッスンを開始。高い経験値と分析力で正しいスイング、正しいギアへと導く指導と的確な試打インプレッションに定評がある。

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