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大事なのはクラブがボールに当たる仕組みを理解すること。ゴルフに運動神経は必要ない?

石井良介のゴルフ・すべらない話:第76回

2025/05/14 ゴルフサプリ編集部

インパクト

上達のためのドリルを続けていても、なぜかゴルフが上手くならない人がいる。そういう人は、たいていがドリルだけが上手くなって、実際のスイング、ゴルフに生かされないと言う石井良介。ゴルフが上手くなるには、ヘッドがボールに当たる仕組みを理解しなければならないと言うが、それは一体どういうことなのか、解説してもらおう。

ゴルフ上達の難敵は自分が冷静になる瞬間があること!?

ある日のことです。お父さんと一緒に来ていた、ゴルフを全くやったことがなく、プロになりたいわけでもない10代の女の子に、スイングのエッセンスだけを伝えるレッスンをしたら、2つのことをやっただけでボールが打てるようになりビックリしました。

2つとは、体の前でしっかりクラブを振ることと、前傾姿勢で同じことをやること。会話も質問も詮索も一切なく「こうやって」と「はい、わかりました!」の繰り返し。もちろん本人はスイングのスの字もわかっていませんが、ボールを打てればいいので関係ありません。

スイングで避けたいことのひとつに過度なトゥダウンがあります。トゥダウンするとフェースが開き、手元が浮き、体が起き上がり、ダフり、トップ、シャンクも出るので、ポイントはいかにトゥダウンを抑え、自分とクラブの距離を変えずにクラブをコントロールするかです。

トゥダウン

この場合、前腕が回内や回外する時にクラブを支えられれば、前傾するとヘッドにかかる重力は計算上半分くらいになるので自分にかかる負荷は減リます。ですから、お腹の前でクラブを水平に振れるようにしてから前傾姿勢をとればボールは打てるはず。あとはそこに他の動きをどう合流させるかを考える。クラブがどこに上がっても最終的にアドレスの位置にヘッドが戻ればいいわけですからね。

このレベルのことをやるのに運動神経はいりません。そもそも日本人が言う運動神経とは、足が速いとか、高く跳べるとか、いわゆる運動能力の高さで、この段階でそれは必要ないんです。ゴルフで運動能力が必要になるとしたら飛距離面。いかに瞬発的に速度やパワーを出せるかがポイントだからです。

しかしながら、ドライバーで250ヤードの飛ばしたいと言う人に「それにはどれくらいヘッドスピードが必要ですか?」と聞いても答えられる人は少ない。ボールスピードや打ち出し角についても同様です。それらがわかったとしても、そうするには何が必要か、となるとわからなくて、結局あきらめてしまう人が大半です。

また、そんな人に限って「学生時代はもっと運動ができたのに…」なんて言います。部活経験者はなおさらですが、当時の部活って1日何時間練習していたでしょうか? 授業が終わって2時間練習したとしたら週5日で10時間。土日も練習や練習試合があったりしたら1ヵ月でどれだけ時間をかけていたか……。それに比べたらアベレージゴルファーの練習は、やっても週1~2回程度でしょう。

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学生時代や子どもの頃でも理屈は大切ですが、体で覚えると言うか、物量でやらされることがほとんど。でも、大人になってそれをやるとケガをするので、量ではなくいかに仕組みを理解するかが大事です。

例えば練習でミスが出た時に、ミスをちゃんと評価できるようにする。やろうと思っていることができているけれど、慣れていないからミスするのか、やろうとしていることができていないのかを把握すること。前者ならミスを恐れずにやり続けるべきです。

大人になってからゴルフを始める人の難敵は、自分が冷静になる瞬間があることです。練習していて手応えがないと「この練習は意味があるのか?」と懐疑的になってやらなくなる。勝手に自分で足し算、引き算をして、結局「何やってたの?」ということになりがちなんです。「これをやってください」と言ったことに対して「石井は自分にこれをやらせようとしているんだな」と本質に思いが至る人は上達が早いと思います。

うまくならないのは“ドリルおじさん”で「このドリルやりましょう」と言うとドリルがうまくなる人。ドリルを通じてスイングに要素を溶け込ませたいのに、それができません。究極的にはやりたいことが無意識にできるところまで落とし込むのが上達するということ。言うまでもなく、その第一段階として有意識でできるようにする方法がドリルなのです。

要は意識してやっていることをいかに無意識下に落とすかですが、簡単なのは、やっていることとは別の何かを意識すること。でも、こうすると前にやっていたことは必ず壊れます。そうなったら新しい取り組みをやめて、もう一度はじめにやったことを意識するんです。これを何度か繰り返すと壊れるスピードが徐々に遅くなって定着のプロセスに移ります。

例えば上下に10マスずつあったら、上段からマスを塗りつぶしていき10マス塗ったら下段に移る。でも、塗りつぶしていく間に上段のマスがまた空白になるので、そうしたら下段の作業を一回やめて上段のマスを塗り、塗ったら下段に戻るという感じで、この繰り返しの中で基礎ができるわけです。

練習ひとつ取ってもそう。プロ野球選手もサッカー選手も、練習は体操やキャッチボールやインサイドキックからはじめるのに、アマチュアゴルファーの多くは、いきなり打ちはじめます。これではフリーバッティングやシュート練習から入るようなもので基礎の塗り固めができません。

石井良介

石井良介
いしい・りょうすけ。1981年生まれ。『令和の試打職人』として各種メディアに引っ張りだこの人気解説者。PGAティーチングプロA級。You tube「試打ラボしだるTV」が人気。早くからトラックマンを活用したレッスンを開始。高い経験値と分析力で正しいスイング、正しいギアへと導く指導と的確な試打インプレッションに定評がある。

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