90の壁を破りたければ、ドライバーは曲がらない一択! プラス10ヤードよりも平均飛距離が重要!
鹿又芳典の“推しクラブ” こぼれ話 第66回

“90切り”を目指すアベレージゴルファーは「球が曲がらないけど飛びはそこそこ」と「飛ぶけど曲がりやすい」という2タイプのドライバーのうち、どっちを選べばいいんだろう? そういうクエスチョンに、カリスマフィッターの鹿又さんはアンサーをくれた。
安定感を求めるか、プラス10ヤードを求めるか
100のカベ、90のカベ、80のカベ、70のカベなど、スコアが良くなればなるほど求めるものが細かくなるし、最低このくらいの飛距離が必要だ、というふうになってきます。それが大前提にあって、90のカベを越える=80台で回りたいのであれば、ドライバーはもう「曲がらない一択」です。
そもそも論として「飛ぶドライバー」と「安定感があるドライバー」を比べて、上手く打ったときの飛距離差って10ヤードもありません。その10ヤードを求めるか・求めないか、だけなんです。
ペナルティを喰らわないドライバーが不可欠になる
90を切れない人たちがミスするところは、ティショット、180ヤード前後、50ヤード以内のショートゲーム。ここで大きなミスをすると、スコアがまとまりません。90で回るには、全ホール・ボギーでいいのですから。そう考えたときに“事故率”が最も高いのがドライバー(ティショット)なんです、アマチュアの場合は。
90前後で回るゴルファーならば、ドライバーがとりあえずOBや池に行かなければ、そこそこのスコアが出せるはず。だからこそ、絶対的にどっちが必要か? となったら「曲がらない」なんです。
最近のクラブも含めてメーカーが「飛んで曲がらない」と言っているのは、ウソではありません。ただ、それには条件が一つあって「スクエアにインパクトしたとき」なんです。曲がらないクラブを見つけるには、自分がストレスなくスクエアなインパクトができるクラブを選ぶことが大前提になります。

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ロフトが大きいほうが、スピンが入って弾道が安定する
もう一つは「ロフトが大きいクラブ」を選ぶこと。なぜなら、スピンが多く入るからです。
スピンが少ないクラブって、自分で打ち出し角を出さないとミスになりやすいもの。というのも、打ち出し角が高くて左に曲がる球は“ただのフック”ですが、打ち出し角が低くてスピンが少なくて左に曲がる球って“チーピン”じゃないですか。このことからも分かるように、打ち出し角が出るクラブのほうが、安定感があるぶん圧倒的にやさしいんです。
よく「スプーン(3W)がいい」と言う人たちがいますよね。それはスプーンというクラブが短いこともありますが、ロフトがついているから。ただ“ミニドライバー”もそうですが、それだけ打っていたら球が曲がらないかっていったら、慣性モーメントが小さいこともあって、やっぱり曲がるんです。
あくまでも“ドライバー”のヘッドで、スクエアに当たるモデルかつ大きめのロフトを選んで、OBや池などのペナルティをもらわないドライバーにしたほうが、スコアは良くなります。
クラブを短くすれば安定するとは限らない
「安定感を高める」という点で、クラブを短くすればいいのでは? とお考えの人もいるかもしれませんが、それはヘッドによるのではないでしょうか。
クラブというのは何十年という年月をかけて“適正な長さ”ができてきました。ドライバーもヘッド体積の上限が460㏄になってから15年以上をかけて、今は45.5インチ前後に落ち着いているんです。
もともと44インチなど短くする設定で、フルサイズでライ角や重心距離や重心角などを合わせて作られているヘッドは、短いほうがいいと思います。でも、45.5インチがいいということで作られたヘッドを重くして短くしたりしても、ヘッドが戻りきらず球が右に行きやすかったり、球が上がらないクラブになるでしょう。
誤解してもらいたくないのは「短くすればやさしくなる」とか、そういうカンタンなものではないということです。クラブを短くするツールとして、フジクラの「スピーダー SLK」というシャフトがあります。その「SLK」についても、短くできるようにシャフトのバランスポイントを変えているし、硬さを軟らかくするといった工夫がされているんです。
ただ短くするだけではダメで、それを補うことをやらないと、ホントに打ちやすい・当たりやすいクラブにはならない、ということを覚えておきましょう。


鹿又芳典
かのまた・よしのり 1968年生まれ。年間試打数2000本超え。全てのクラブに精通するクラフトマン。豊かな知識と評価の的確さで引っ張りだこ。ゴルフショップマジック代表。

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