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申ジエのキャメロンにはグラム単位のこだわりが! メジャーVで永久シードに王手!
申ジエのスコッティ・キャメロンの秘密とは?(写真/小林司、森伊知郎)
日本女子ツアーの今シーズンメジャー初戦「ワールドレディスサロンパスカップ」最終日(11日、茨城GC)は通算7アンダーで並んだ申ジエと藤田さいきのプレーオフとなり、1ホール目でバーディーを奪った申が優勝。永久シードに王手となるツアー通算29勝目を挙げた。そのバッグにはグラム単位のこだわりが詰まったスコッティ・キャメロンが入っていた。
「ワールドレディスサロンパス杯」は藤田さいきとのプレーオフを制する
正規の18ホールはバーディーなしで1ボギーの73。「安全にいきすぎた」反省からかプレーオフではパー5の3打目を50センチにつける会心のショットでバーディーを奪い、勝負にけりをつけました。
ウィニングパットで手にしていたのがスコッティ・キャメロンのツアー支給モデル、「スーパーラットⅡ」のピン型でした。
市販モデルではないので一般ゴルファーが直接目にしたり、手に取る機会はなかなかないパターはネットでは100万円以上の値段が付くモデルです 。
超レアな1本には、さらに申ならではのこだわりが詰まっていました。

「スーパーラットⅡ」をグラム単位で調整
まずは長さが155センチの身長に合わせてかなり短く調整しています。
一度32インチにして、そこからさらにカットしたとのことなので31~31.5インチ。市販モデルの主流である34インチから比べると7~8センチも短くなっています。
さすがに元の状態からこれだけ長さが変わるとバランスや振り心地も大きく変わります。
そこでグリップエンド側には「ツアーロック」というゴルフクラブ用のオモリを装着することで調整しています。
「スーパーラットⅡ」には8グラムのモノが装着されていましたが、この重量と決めているわけではありません。
申は「コースコンディションや天候に合わせてパターを替える」そうで今週は実に7本を持ち込みました。
「スーパーラットⅡ」以外のパターを見ると、本来エースだというオデッセイには10グラムが装着され、パターによってはないモノも。
ヘッドの形状や素材によって振り感やインパクトのフィーリングは違うでしょうから、それぞれのパターに応じてグラム単位で調整しているということ。
今シーズン、パーオンしたホールでの平均パット数3位(1.7743)はこのこだわりがあるからこそでしょう。

「やさしいクラブを使うと鈍感になる。だから難しいモノを使う」
今大会では4日間とも「スーパーラットⅡ」を使いましたが、持ち込んでいた他のパターもほとんどはピン型です。
大型マレットやゼロトルクなど、「やさしさ」を売りにしてパターがツアーでも主流になりつつある中でピン型を使うことには理由があります。
「私もマレット型パターを使った時期もありましたけど、4~5年前からブレード(ピン)型を使うようにしました。イメージを出しやすいのはマレット型ですけど、『優しいクラブ』を使うと鈍感になってしまうと思うんです。『難しいクラブ』の方が自分の感覚を使えるから、あえて難しいのを探すようにしています」(申)。
「やさしい」」といってもクラブやパターが何か作業をしたり、カップインさせてくれるわけではなりません。
クラブ(パター)を使って作業をするのはあくまでゴルファー自身です。
ましてゴルフを職業とするプロが感覚を鈍くしてしまう道具を使うのは自分の首を絞めることになりかねません。
37歳での優勝は、今大会がメジャーに昇格した2008年以降の最年長記録を更新しました。
この快挙にも満足することなく「自分で自分の記録を超えられるように、38歳、39歳でも頑張っていきたい」と言うことができるのは、研ぎ澄まされた感覚を維持しているからこそでしょう。

「あと1勝。早くやりたい」
永久シードの30勝に王手をかけたことで「あと1勝。早くやりたいです」とも。
ポイントランキングも1位に浮上。「年間女王を狙いたい」と開幕戦で掲げた目標に向けて、海外メジャー2勝(2008&2012年全英女子オープン)の実力者が早くもギアを上げてきました。
(取材・文/森伊知郎)