【石川遼のドライバー連続写真】「ヨコの動き」と「回転」をハイブリッドさせた“軸ブレしないドロースイング”
10代・20代・30代でツアー優勝を達成し、日本ツアー通算20勝している石川遼。今週開催されている「ダンロップフェニックス」では、2日目を終えて6位タイにつけている。ムービングサタデーとなる3日目のプレーに注目だ。その石川遼の2025年の最新スイングを分析すると、10代・20代のときの躍動感溢れるスイングから、スマートで効率的なスイングに変貌していた。
GOLF TODAY本誌 No.636 10~13ぺージより
34歳の石川遼はアマチュアにとって最高のお手本!
2025年石川遼_正面連続スイング
頭と下半身の動きが小さくなった
10代・20代の頃の石川遼はヨコ方向の体重移動を最大限に使ってドローボールを打っていました。それが、9月に34歳になった2025年の最新スイングを見るとヨコ方向の体重の動きが減りました。バックスイングの動きが静かになって、頭の位置が動かなくなりました。
一言でいえば大人のスイング。テークバックでコッキングを抑えながらコンパクトなトップを作っている。ダウンスイングではヨコ方向の動きではなくて、回転の動きを重視するスイングになっているので軸がブレない。2015年と比較すると明らかに頭の動きと下半身の動きが小さくなっています。
体重移動を抑えた上で、回転の動きをプラスするのは体の負担も少なくて効率的なスイング。アマチュアがマネするポイントとしてはバックスイングで頭の位置を動かさないことと、ダウンスイングでは左股関節を回す動きを意識することによって軸ブレせずスムーズに体を回していけます。
左股関節を早めに回す意識に
フェースローテーションが小さくなっている
2015年石川遼_正面連続スイング
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10年前はスタンス幅も広め。ややハンドファーストに構えてロフトを立ててインパクトするイメージだった。
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トップでは頭が右足の上まで動いている。左ヒザも少し曲げながらインサイドに動かしていた。
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ダウンスイングでは頭の位置を左に戻しながら、左ヒザもヨコに動かしてパワーを出していた。
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2025年に比べるとダウンスイングのタメが大きかった。左肩を少し上げながら高弾道ボールを打っていた。
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フォローの形は2025年とほとんど変わらないが、2015年はフェースローテーションも大きめ。
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2015年はスイングアークが大きかったので、手元の位置は2025年よりも後方まで回っていた。
昔より手元と体の距離が近く右腕を体に引きつけて手を使わないスイングに進化
2025年石川遼_後方連続スイング
前傾角度キープのスイングは10代から同じ!
15歳でツアー優勝したときの第一印象は、リストターンが天才的な選手だなと思いました。だからドライバーも飛んでいたけれど、バンカーショットも上手かった。もちろん、今もリストターンは上手いですけれど、10代、20代、30代になってどんどん手の動きを抑えたスイングになってきています。特にここ数年のスイング改造により、テークバックではシャットフェース(写真02)、トップはレイドオフ(写真03)、そして、ダウンスイングでは右腕を右ワキ腹付近に引き寄せるようなスイングになりました。2015年と比較すると手元と体の距離が近くなっているので、スイングの再現性は間違いなく高い。また、2015年よりも手元の位置も少し低くなっているので、インサイドからヘッドを入れてドローを打つイメージは出しやすくなっていると思います。
約10年前からほとんど変わっていないのは前傾角度を完璧にキープしていること。前傾角度がキープできるのは右サイドが低くならないから。ツアープロでも右サイドが下がってしまう人は多いのですが、石川遼はインパクト直前(写真04)でベルトのラインが地面と平行になります。スイング改造をして、スイングプレーンやトップの角度などは変わりましたが、前傾角度をキープしているのは10代、20代、そして30代も変わっていません。これが長く活躍できる一番の要因だと思います。
コンパクトなトップからインサイド・イン軌道
右足は内旋しながら蹴り上げる
右足を内旋しながら蹴り上げることによって、右サイドの高さをキープできる。
2025年石川遼_後方連続スイング
手元を浮かしながらヘッドスピードを最速に
いしかわ・りょう/1991年9月17日生まれ。埼玉県出身。2007年に15歳という史上最年少で日本ツアーに優勝。10代で9勝、20代で8勝、そして30代の3勝で日本ツアー通算20勝を挙げている。
解説:石井 忍
1974年8月27日生まれ。98年にプロ転向し、現在はツアープロからジュニアゴルファーまで幅広く指導。自身が主宰する「エースゴルフクラブ」を千葉、神保町に展開する。