シャフトのねじり戻りを生かせると飛距離はもっと伸ばせる! ねじれの解説と練習方法
吉本巧のゴルフギア教室 第68回

飛距離が出ない、ボールがつかまらないという人はシャフトのねじれを使えていないのかもしれない。スイング中にシャフトはねじれて、ねじり戻って、ねじり返されており、このことを理解してスイングできれば、つかまえて飛ばせるようになると言う吉本巧プロコーチ。詳しく解説してもらおう。
シャフトのねじれを生かすには切り返しでねじれを作ること
いいショットを打つポイントは、いかにシャフトのしなり返しを使ってインパクトするかだと前回お伝えしました。これはヘッドを正しい軌道に導くために欠かせないことですが、シャフトにはもうひとつ重要な動きがあります。それは「ねじれ」です。
切り返しからフォローのプロセスで「しなり→しなり戻り→しなり返し」という順にシャフトがしなるのと同時に、
1 ねじり
2 ねじり戻り
3 ねじり返り
の順にねじれるのが本来あるべきシャフトの姿です。

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では順に説明していきましょう。
1のねじりは、トップから切り返した時に生じるねじれで、クラブフェースが開く(上を向く)方向にシャフトがねじれます。シャフトを有効に使うという視点でスイングを見た場合、切り返しではフェースが開くということになります。
2のねじり戻りは、ダウンスイングでシャフトが元の状態に戻ろうとする動き。シャフトが左方向にねじれるのに伴い、フェースはスクエアになっていきます。インパクトまでに戻りきればスクエアインパクトになります。1から2の過程ではヘッドのトゥ側が遅れますが、私はこれをトゥレートと呼んでいます。トゥレートから元に戻るプロセスがねじり戻りになります。
3のねじり返りが入ると、インパクト後にフェースは徐々に閉じていきます。これは比較的小さなねじれで5~30度くらい。シャフトのスペックにもよりますが30度動く人はほぼいません。
1~3がスムーズに行われるとヘッドがターンします。これによりヘッド自体に遠心力が生まれるため、ボールがつかまって飛距離も出ます。シャフトのねじれ戻りはヘッドのターンと同義と考えればいいでしょう。ちなみに、回転軸から重心までの距離が長いヘッドほど、ねじり戻りによって生まれるパワーが大きくなります。

シャフトのねじれを生かすには、切り返しでねじれを作るのが第一歩。例えばフェースを開いた状態からスイングしてみると、これを感じることができます。次にダウンスイングからインパクトで、ヘッドのトゥ側を先行させる(トゥファースト)イメージで振り、インパクトまでにねじり戻してみます。さらにフォローにかけてトゥ側を先行させるとねじり返りが入ります。シャフトをしならせる場合もそうですが、正しくねじるにもタイミングが大事です。
ボールがつかまらないからと、フェースを閉じた状態でスイングを始動する人がいます。一理ありますが、これだとヘッドのターンを抑えるスイングになりシャフトの機能を十分に生かせないので飛びません。

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最後にシャフトのねじれを使って打つドリルを紹介しておきましょう。“フェースを開いて打つ作戦”と呼んでいますが、私もよくやっている練習法です。
まず、アドレスで20度ほどフェースを開き、その状態をキープしてグリップを握り直します。グリップはスクエアですが、フェースは開いている状態です。あとは真っすぐ打つイメージでスイングするだけです。そもそもフェースが開いていますから、そのまま打ったら開いたまま当たって右に飛びます。これを防ぐにはシャフトをねじる必要があります。
ポイントはトゥファーストを意識してダウンスイングすること。前述したようにトゥ側を先行させるイメージで振り下ろしましょう。こうするとシャフトのねじれを使えてフェースローテーションが大きくなります。10球打って8球真っすぐ打てるようになったら、元のアドレスとグリップに戻しましょう。同じようにスイングするとドローボールが打てるはずです。ボールがつかまりきらないようなら、同じことを繰り返してください。
ねじれを使ってフェースターンを促すにはシャフト自体のトルクを大きくする手もありますが、シャフトのフレックス(硬さ)やキックポイント(調子)、さらにスイングタイプによって微妙にバランスが変わりますから、急激な変化を招きそうなスペックチェンジは避けた方がいいと思います。

吉本巧
よしもと・たくみ ゴルフ修行のため14歳から単身渡米。南フロリダ大在学中は全米を転戦するなど11年間にわたって選手とコーチを経験したのち、日米の20年の経験から吉本理論を構築。プロやアマチュアのスイングコーチをはじめ、フィジカルトレーナー、プロツアーキャディー、メンタルコーチング、クラブフィッティングアドバイザーなども務める。現在は東京・中央区日本橋浜町の「吉本巧ゴルフアカデミー」で指導中。「吉本巧のYouTubeゴルフ大学」も人気。

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