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パターとウェッジの値段、最近高くないですか?(前編)

2025/05/27 ゴルフサプリ編集部

コメの価格高騰が話題となっているけれど、パターとウェッジが昔に比べて随分と高くなっているように感じている。個人的な相場感がズレているだけなのか? 実際に高くなっているのか? 気になったので探ってみた。

パターは直近5年で中心価格が上昇か?

「パターもウェッジも1万円台で買えるもの」と言うのが、自分の中にある相場感だったのだが、どうも感覚がズレているようだ。2025年4月25日、ゴルフサプリにアップされた「2025年最新パターおすすめ人気ランキング」のベスト5を見てみると、

1位 オデッセイ Ai-ONE SQUARE2 SQUARE 4万9500円
2位 スコッティ・キャメルロン スタジオスタイル 8万2500円
3位 Ai-ONE TRI-BEAM 4万9500円
4位 ピン PLDミルド 6万6000円
5位 ピン スコッツデール 4万4000円

とすべて4万円以上となっている。

2025モデルパター人気No.1 オデッセイ Ai-ONE SQUARE2 SQUARE(左)、No.2 スコッティ・キャメロン スタジオスタイル(右)

パターが1万円台で買えたのはいつの話で、その後いつから値段が上がったのか? と言うことで2020年時点の同様のランキングを確認すると。

1位 ピン シグマⅡ 2万8000円~
2位 スコッティ・キャメロン セレクト 5万5000円
3位 ピン ヘプラー 3万3000円
4位 オデッセイ トリプルトラック 2万2000円
5位 オデッセイ ストロークラボ ブラック 2万2000円

となっていて、2020年時点では、2万円台が中心価格だったように思える。では、パターが1万円台だったのはいつなのかと記憶を辿ると、2001年に発売され大ヒットした「オデッセイ ホワイト・ホット2ball」の店頭価格が1万6800円くらいだった。

今でも多くのファンを持つ「2ball」の初代モデルは1万円台で買えた。

2001年から2020年の間にパターの値段は徐々に上がって2万円台に突入したと言うことだ。「パターは1万円台」と言うのは25年から20年前の感覚だったようだ。しかし、2001年以降に物価ってそんなに上がっていただろうか? と言うことで、消費者物価指数を調べてみた。

IMFによる2020年を100とした日本の消費者物価指数。2025年はIMFの推計。

2020年を100とした物価指数では、2000年は97.29。ならば、2020年の物価は2000年に対して1.0279倍ということになる。2000年に1万6800円だったパターは、2020年は1万7268円が物価指数通りの価格上昇になるはずなので、2万2000円はすこし値段が上がり過ぎているといえるはずだ。

百歩譲って2020年の2万2000円と言う価格が適正だったとして、2025年の4万円オーバーの価格はどうなのか? を同様に検証すると、100対111.05なので、2万2000円だったものは、2025年では2万4431円に値上がりしていても適正範囲だが、それを大きく超えて5年間で2倍くらいに上昇していることが分かる。

これは、単に価格上昇ではなく、ゴルファーのマインドが変化して、より高いパターを購入する人が増えた。つまり「パターにはお金をかけよう」と考えるゴルファーが主流派となったということなのだろう。

2000年以前にも4万円以上のパターは存在していたけれど、基本的には“憧れの品”だった。ジャンボ尾崎が使用してヒットした「WOSSパター(96年発売)」は当時4万3000円、タイガー・ウッズが使用した「スコッティ・キャメロン トレリウム2(2000年発売)」は当時5万円。どちらもスーパースターが使用するパター“憧れの品”で、誰もが欲しいと思うけれど、なかなか手が出ない存在だった。

視点を変えてキャディバッグの中にある14本のクラブの、1ラウンドでの使用頻度を考えると、パターが1万円台というのは安すぎると思える。

18ホールすべてをパーオンして、72ストロークのパープレーでラウンドした場合、ドライバーは最大で14回使用するのに対して、パターは18ホール×2パットだから36回使用する。

72ストロークの半数をパターで打つのだから、ドライバーよりも値段が高く、セットの中で一番高くてもいいはずだ。しかもパターはドライバーよりも長い年数使う人が多いのだから、パターが高いと言うのは当然なのかも知れない。

1ラウンドのパット数が減るのなら高額パターでも高くはない。

ましてや、ドライバーでスコアが上がるというのは、今までOBが多かった人がドライバーを変えたら急にOBが出なくなったというケース以外にはあまり考えられないけれど、高額パターでパット数が減れば、その分スコアも減るはずだ。この視点で考えても、過去のパターは安すぎたのかも知れない。

これとは別に、製造方法の変化もパター価格上昇の背景にあると思える。

【後編に続く】



文/
大塚賢二(ゴルフギアライター)
1961年生まれ。大手ゴルフクラブメーカーに20年間勤務。商品企画、宣伝販促、広報、プロ担当を歴任。独立後はギアライターとして数多くのギアに関する記事を執筆。有名シャフトメーカーのシャフトフィッターとしての経験も持つ。パーシモンヘッド時代からギアを見続け、クラブの開発から設計、製造に関する知識をも有するギアのスペシャリスト。

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