前半のバーディーラッシュで一気に逆転!

首位のジェニー・ベイを1打差で追いかけてスタートした千怜は1番で8メートルほどを決めてバーディー発進。1、2番を連続ボギーとしたベイに代わってトップに立つと、3~6番まで圧巻の4連続バーディー。10番でもバーディーを奪い、後半は一人旅の様相になりました。

最終日は前半で勝負が決まった感のある試合のカギは、3日目にありました。
初日に68で首位スタートするも2日目は74で10位に後退。
そして3日目に4バーディー、ノーボギーと伸ばして首位と1打差の2位に浮上したものの、「惜しいバーディーチャンスがあったけど、外しても焦らずに我慢してプレーできたのが良かったと思います」と話していました。

バーディーチャンスを外しても焦らなかった3日目

先週の岩井千玲は、あとひとつバーディーを取っていれば首位だったのに…と思いそうなところを落ち着いてプレーできていました。

これと似たような話しを、若い頃の宮里藍としたことがあります。

やはりバーディーチャンスをなかなかモノにできなかった日のラウンド後「こういう時ってストレスがたまるのでは? どんなことを考えながらプレーしているの?」と宮里藍に聞いたところあとひとつバーディーを取っていれば首位だったのに…と思いそうなところを落ち着いてプレーできた。
これと似たような話しを、若い頃の宮里藍としたことがあります。

「チャンスを逃してもスコアは落としてない」と話していた後の世界ナンバーワン
やはりバーディーチャンスをなかなかモノにできなかった日のラウンド後「こういう時ってストレスがたまるのでは? どんなことを考えながらプレーしているの?」と聞いたところ「パーだからスコアを落としているわけじゃない。ここで我慢していればバーディーは取れる、と考えながらプレーしています」との答えが返ってきました。

スコアは落としてないのだから、決して悪いプレーではない。
我慢してパーを重ねていって、バーディーを取ればスコアは良くなるだけ。
ストレスやイライラが元でボギーを叩くようなことがないように、との発想だったというわけです。

その後、宮里藍がLPGAツアーに主戦場を移し、通算9勝を挙げて世界ランキング1位になったのも、この信念があったからではだないでしょうか。

千怜と藍に共通する「穏やかに」

現地テレビ局の優勝インタビューで千怜は「何が今日のプレーで最も大事だったのか?」と聞かれると「My mental is always calm(常にメンタルを穏やかに保ったこと)」と口にしていました。

初優勝というプレッシャーの中でも「心穏やかに」というのは、「心を波立たせないように」と口グセのように言っていた宮里藍と父でコーチだった宮里優さんに通じます。

3日目の我慢が勝利につながった

千怜は優勝した後のインタビューで「昨日(3日目)ノーボギーで落ち着いて回れたのが今日につながりました」と、前日にスコアを落とすことなく耐えたことが勝利に結びついた、とも言いました。

勝利の瞬間に待っていたのは、姉の明愛らによる初体験のシャンパンシャワー(日本女子ツアーでは水かけも含めて禁止されています)。
「あんなに勢いがすごいとは」と驚きながらも、午前9時前のスタート時点から気温30度を超えた暑さの中のプレーを終えた後の美酒は格別といった様子でした。

次週はカナダとの国境に近いウィスコンシン州での「全米女子オープン」。メキシコ湾とアメリカ大陸を縦断する長距離移動のために用意されたチャーター便に乗るため、優勝会見はわずか10分の慌ただしさでコースを後にしました。

余韻に浸る間もなく、は言い換えれば感動と興奮をそのままメジャーの地に乗り込むことになります。

昨年は笹生優花が優勝。渋野日向子が2位になった大会がより楽しみになりました。

(文/森伊知郎)