難関18番ホールで“連続バーディー” プレーオフを制する

まさに魂のこもったゴルフ。堀川に1打ビハインドで迎えた正規のラウンドの18番パー4は、この日バーディーが7個しか出ていない難易度3位のホール。ここで5メートルのパットを決めて追いつきます。

同じホールでのプレーオフでは、左バンカーから178ヤードの2打目を7番アイアンでカットに打って2メートルにつけて、ここもバーディー。激闘に終止符を打ちました。

この優勝で「日本オープン」(2022年)と「日本シリーズ」(2023年)に続く3つ目の「日本タイトル」で“三冠”となりました。
24歳148日での三冠達成は、尾崎将司が持っていた27歳248日の最年少記録を更新する快挙です。

3番アイアンとウッドのシャフトを“ぶっつけ本番”で変更

その蝉川が今週ぶっつけ本番で使ったのが、契約するピンの未発表モデルのハイブリッドでした。

バックフェースに「iDi」。ネックには「FORGED」と刻まれているハイブリッドはアメリカPGAツアーで先週から選手へのシーディングが開始。日本ツアーでも今週から選手に渡されるようになりました。

ところが、蝉川が初めて手にした火曜日(3日)は、コース付近で一日の総雨量22ミリを記録した悪天候で練習ラウンドはせず。ドライビングレンジだけでのテストとなりました。

新製品を試すには最悪ともいえる状況でしたが、ボールがドロップしなかった、などの好パフォーマンスだったので、3番だけ入れていたi525アイアン(4番以下はブループリントT)からのスイッチを即決したそうです。

翌日はプロアマ戦だったので、ラウンド中に何度もショットしてテストすることはできず、ほぼぶっつけ本番で試合に投入。それでも「縦距離と高さが出るようになって、ティショットで活躍しました」と満足げに話していました。

ウッドも今週からシャフトを新調も、ドライバーは大会中に戻す

また、ドライバーと3Wのシャフトも「VENTUS BLACK」を今大会から「24 VENTUS BLACK」に替えました。

それを予選ラウンドの2日間でしっくりこなかったドライバーのみ3日目から前作の「VENTUS BLACK」に戻します。

計測されたドライビングディスタンスを見ると予選ラウンドの302.52ヤードと304.77ヤードから、決勝ラウンドは311.33ヤードと321.34に伸びています。
何より優勝しているのですから、判断は正しかったといえるでしょう。

メジャーでいきなりギアを替える

ちなみにメジャーでのクラブ変更は「日本プロ」でもありました。
それまでのピン型では「アドレスで被ったり開いたりすることがある」と気になっていたのをマレット型(ピン「OSLO3」)に変更。
それでも「ピン型の振り感は残したかったのと、山下美夢有さんが使って勝ったので」ということが「OSLO3」を選んだ理由でした。

マキロイはドライバーを戻して生涯グランドスラムを達成

今年4月の「マスターズ」で優勝して生涯グランドスラムを達成したローリー・マキロイはドライバーを最新作の「Q i35」から使い慣れた「Q i10」に戻していました。
このように大舞台では使い慣れた、あるいはとことん使い込んだクラブを選びそうなもの。

まして蝉川は3月に判明した肋骨の疲労骨折の治療のため今大会後は1か月ほど休むことを決めていたので、新製品の投入は休養明けからにしても良さそうです。

それをいきなり投入して結果も出すのは、アマチュアとして史上初めて2勝(2022年パナソニックオープン&日本オープン)した蝉川のゴルフ能力の高さゆえでしょう。

「来年の日本プロでは四冠を達成したいですね」と話した蝉川は、この時もいきなり投球したギアで勝利を呼び寄せることになるのでしょうか。

(取材・文/森伊知郎)