西郷真央 の平均飛距離250ヤード超えのドライバースイングを解説! 飛ぶ秘密はスイング軌道を大きくする三角形
一流プロのドライバーのマネどころ
米女子ツアーに本格参戦中の西郷真央が、のドライバースイングを解説。今季は「シェブロン選手権」で米ツアー初優勝を果たし、世界ランキング9位、賞金ランキング6位と、いずれも上位に名を連ね、今週はソウルで開催された2023年大会以来の国別対抗戦に古江彩佳とペアを組んで出場した。
GOLF TODAY本誌 No.638 10~13ぺージより
両ワキを締めた完璧な三角形キープ! 手首ロックで再現性アップ
頭と下半身の動きが小さくなった
日本ツアーのときから体が強い選手でしたが、米国ツアーに行ってからはさらにトレーニングをして体を鍛えていると思います。体幹の強さ、軸が全くブレない安定感は米国ツアーでもトップクラスです。
体を鍛えたことによって手を使わないスイングの完成度が高まりました。アドレスからテークバックにかけては両腕の三角形を綺麗にキープして(写真03)、三角形の形はフォロー(写真06)まで変わりません。手首の角度が変わらず、バックスイングからフォローまで両ワキを締めたまま打っています。手の動きを最小限に抑えることによってスイングの再現性が高くなりますし、打点も安定します。よくプロゴルファーは両ワキにタオルを挟んでスイングの練習をしていますが、西郷選手はタオルなしで、本番の試合でも完璧なボディターンで打っています。
三角形をキープすることによってスイングアークも大きくなります。西郷選手は身長159センチと決して大柄なタイプではありませんが、平均飛距離は259ヤード。それだけ飛ばせるのは腕を伸ばして三角形をキープすることによってスイング軌道が大きくなるからです。
スイングアークは大きくても下半身は安定しています。トップで上半身が90度以上も回っているのに下半身はほとんど動かずに正面を向いています(写真04)。これは体の強さと柔らかさを兼ね備えている選手にしかできないスイングです。
日本ツアーでは一時期スランプになり、苦しい時期を経験しました。しかし今の西郷選手のスイングはプレッシャーのかかった場面で、最も安定感を発揮できるボディターンに磨きをかけました。それはスランプの経験から生まれたスイングかもしれません。
両腕はリラックスしつつ伸ばしている
両腕はギュッと力を入れて伸ばしているのではなく、リラックスした状態で伸ばすことによってダウンスイングではムチのように加速できる。
テークバックでは手首をヒネる動きが一切ないので、フェースが開かず、フェース面がボールを向いたままクラブを引いている。
トップでも頭の位置がほとんど変わらず軸をキープ。インパクト直前でも右に傾かないのでスクエアヒットできる。
右腕、シャフト、ヘッドを一直線に目標に向ける
フォローでは右腕、手元、ヘッドが一直線になったまま目標方向を向いているので、正しい方向に力をかけることができる。
ドローヒッターでFWキープ率75% 少しアウトに上げて、ややインから下ろすドローのお手本! 右ヒザを曲げるから体が浮かない
【連続後方 アドレス〜トップ】上半身の回転でクラブを上げるとややアウトサイドに
【連続後方 トップ〜フィニッシュ】上半身の回転でクラブを上げるとややアウトサイドに下半身リードの「間」で自然なインサイドループが生まれる
スランプ後からドローヒッターに
2022年に日本ツアーで5勝したときの西郷選手はフェードヒッターでしたが、同年終盤のスランプを経験したことによってドローヒッターに転身しました。一般的にフェードボールの方がコントロールしやすくフェアウェイキープ率が高くなると言われていますが、西郷選手はドローヒッターになってからもフェアウェイキープ率が高くて今季も75%をキープしています。
フェアウェイキープ率が高い要因は2つあります。ドローヒッターはインサイド・アウト軌道で打ちますが、西郷選手はバックスイングで体の回転だけでクラブを上げているのでクラブはややアウトサイドに上がっています。そして、ダウンスイングでは下半身から動き出すことによって、クラブを下ろす前に「間」ができます。その一瞬で、自然にヘッドがインサイド方向にループすることでゆるやかなインサイド・アウト軌道になっています。
もう一つは右足の使い方です。ダウンスイングでは右足をツマ先側に蹴って右ヒザを軽く曲げています(写真08)。右ヒザを曲げておくことで体全体が伸び上がらない。伸び上がりを抑えることも打球の方向性を安定させるには絶対に必要なポイントです。
外野手のようなアドレスの体重配分
アドレスでの体重配分が素晴らしい。わずかに前体重にすることによって体が動かしやすくなっている。野球の外野手のような姿勢。
トップでは理想的なスクエアフェース
バックスイングからトップにかけて手首の角度がほとんど変わっていない。トップではフェースがスクエアになっている。
カカト側を浮かせてツマ先側を踏む
右足を蹴るときにカカトを浮かせて、ツマ先側に蹴っていくことによって右ヒザが曲がって、体が浮かないスイングになる。
インパクトまでは右ヒジを曲げて、フォローで伸ばす
インパクトでは右腕を曲げて体にくっつけることによってインパクトの「剛性」が高い。ドローヒッターはインパクト後に腕をアウトサイド方向に伸ばしていく。
今季のメジャー初戦「シェブロン選手権」は5人でのプレーオフ決着となったが、1ホール目で西郷だけがバーディを奪って優勝。
西郷真央
(さいごう・まお)/2001年10月8日生まれ。2022年に日本ツアーで5勝を挙げるが、後半戦では大スランプを経験。2024年から米国ツアーに本格参戦して、同年はルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得。今年4月のメジャー「シェブロン選手権」で米国ツアー初優勝。
解説:石井 忍
1974年8月27日生まれ。98年にプロ転向し、現在はツアープロからジュニアゴルファーまで幅広く指導。自身が主宰する「エースゴルフクラブ」を千葉、神保町に展開する。
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