リランキング139位の一ノ瀬が、なぜトーナメントに出場できたのか

ツアー通算3勝。生涯出場試合数「355」を誇る一ノ瀬も、近年は二度の出産もあって出場機会が減り、今シーズンの出場資格はQT127位。
4月の「KKT杯バンテリンレディス」は予選落ちだったため、リランキングで139位まで下がりました。

この順位では、トーナメントに出られることはまずありません。
それがなぜ、先週は出場することができたのでしょう?

日本の女子ツアーでは、大会の前週金曜日午後5時以降に欠場者が出た場合は「現地ウェイティングシステム」によって繰り上がりでの出場者を決めます。

これは文字通り、出場人数の枠に入れなかった選手が、現地でウェイティング=順番待ちをするシステムです。
トーナメント週になったら会場に足を運んで登録をした上で、欠場者が出た場合に繰り上がっていきます。この優先順位はQTランキング、またはリランキング順。登録をした順番による“早いもの勝ち”ではありません。

一ノ瀬は開幕2日前の22日の「現地ウェイティングシステム」を登録。この時点で欠場者が4人出て繰り上がりも決まり、あと一人欠場者が出れば出場できる見込みでした。

登録しても出られないケースも。その場合、経費は全て持ち出し…

ただし、ウェイティングをしても順番が回ってこないケースも多々あります。
昨シーズンは、現地ウェイティングした選手が全員出られたのは5試合でした。

プロゴルフではトーナメントへ行く経費は自己負担です。
予選落ちはもちろん、ウェイティングで出られなかった場合でも収入はゼロですから経費は全て持ち出し。そのため、地方の試合はウェイティングが少ない傾向です。

一ノ瀬は自宅が「大東建託~」の開催コースから1時間かからない距離。
「遠くだったら行っていませんでしたね」と話していました。

「出られる可能性は1割ぐらい」と思ってコースに行った

ただし火曜日以降に欠場者は出ず、大会初日の朝も「出られればラッキー。確率は1割ぐらいかな」と思いながらコースに向かいました。

ウェイティング登録した選手は、初日第一組スタートの1時間前にコースに来る必要があります。これは故障や体調がすぐれない選手がコースに来たものの、急きょ欠場するケースもあるからです。

一ノ瀬は午前5時前に、6時40分スタートの選手の代わりに出場することが決まりました。
繰り上がりがあるのは原則、欠場した選手のスタート30分前までですが、以降に欠場が発生した場合でもウェイティングしている選手が「出ます」と言えば、大急ぎでスタートすることも。

帯同キャディがいなくて、学生バイトが「ダッシュで1番ティーに行ってくれ!」と指示されたこともあったそうです。

史上3人目の快挙はならずも

ツアー史上3人目の現地ウェイティングからの優勝はなりませんでしたが、7位は立派な成績です。

前週には下部ステップ・アップツアーの「あおもりレディスオープン」で優勝しており、ツアープロとしての自信も取り戻せたようで「優勝したい、と思って産休から復帰したけど、とても不安だった。また、この位置(最終日最終組)でプレーできたことで、優勝を狙えることがわかったのは、とても大きいです」と話していました。

ステップ・アップツアーに優勝したことで、次は9月11日開幕の「日本女子プロ選手権」(茨城・大洗GC)に出られることが確定しています。

今度はたっぷり準備期間があるので、ここでも頑張ってほしいものですね。

(取材・文/森伊知郎)