スコア90 を切れる時間の使い方。ミスショットの反省は後回しにしよう!
吉本巧のゴルフギア教室 第81回
スコアの伸び悩みを感じているゴルファーの中には、技術的なことよりもプレー中の時間の使い方が上手くない人というのがいると、プロコーチ・吉本巧は言う。「プロとアマチュアでは、時間の使い方が正反対と言ってもいいです」とのことだが、それは一体どういうことなのか解説してもらおう。
打ち終わったらすぐ次打に意識が向くプロ。じゃあ、アマチュアは?
ティショットを打ったあと、プロはすぐにモードか切り替わって、歩き出す頃には頭の中が2打目に集中した“2打目脳”になっています。2打目地点に着くまでの時間をそっくり2打目のために使うのです。アベレージゴルファーが2打目脳になるのは2打目地点に着いてから。その間、ティショットの余韻に浸ったり、ミスの反省をしますが、これは時間のムダ使い以外の何ものでもありません。
プレーは絶え間なく進んで使える時間は減る一方だからです。済んだことはひとまず忘れて次のショットに時間をかけた方がスコアアップに役立つのは明白。5分くらいかもしれませんが、少ないからこそ情報収集に使わないともったいない。ボールのところに行ってからでは、2打目のために使える時間がわずか数十秒になります。想定外のミスはこうして出ます。ほとんどのプレーヤーは想定する時間がないのです。
いずれにせよ、どんなショットも打ったら終わりで次打のための情報集めに取り掛かること。プロはボールのところに着く頃には8割方やることが決まっていて、ライを見て締めの2割を決断する感じ。そうすればあとはスイングに集中するだけで素振りを頑張ればよくなります。
言うまでもありませんが、2打目で時間が足りない人は3打目以降でも同じことを繰り返します。グリーンに近づくほど収集すべき情報は増えますから、必然的に何も考えずに打つことになってしまいます。
ナイスショットの成否はティアップする前に決まってる!? スコアが良くなるティーイングエリアの作法
ラウンド中、プロはごく普通にやっているのにアマチュアがやっていないことがあり、そこを修正するだけでもスコアに好影響を...
90切りはおろか70台さえ見えてくる!? 寄せワンを取れる人ができている7つのこと
寄せワンがとれるゴルファーと、とれないゴルファーにはどんな違いがあるのでしょうか? 今回は長年アマチュアゴルファーを...
これはカートのラウンドでも一緒です。前の組がグリーンにいればまだしも、いないと使える時間はさらに短くなります。アマチュアの方の場合、カートを止める場所から考えた方がいいかもしれません。停止位置があまりに手前すぎると、打ってからカートに戻らなければなりません。もちろん人より前には出さない方がいいですが、コース内に乗り入れずカート道路に止めるならその限りではないので早めに前進すること。進行状況にもよりますが、一番前のプレーヤーの位置に合わせるくらいで丁度いい。グリーンに近いプレーヤーが運転するのを習慣化したいところです。
トンチンカンで遅い人もいますが、やはり教えてあげて共通認識をもつことが大事です。プレーを急かすのは避けたいのでそれ以外の部分、例えばカートに乗り込むのが遅かったり、のんびりクラブをしまっている人は急かして早く乗せ、ボールの近くに行ってから時間をかけるように促した方がいい。その方が全員のメリットになります。当然ながら、ボールのライもわからず、どんなショットを打つかも決まっていないので、クラブは2~3本持っていくことになります。
自分だけのルーティンを見つけ、それを進化させていく
プロはボールを打つ直前には絶対に走りません。ティショットを打った後に走り出すプロもいますが、これははじめに走っておき、ボールに近づくにしたがってゆっくり歩いて情報収集するため。アマチュアの方は打った直後はのんびり。さらにプロがボールのところでゆっくりしているのを見て、それを真似るのでスロープレーになります。
結局のところ、空気を読む、空間を読む、時間を読むことがポイント。一打に使える時間は有限ですから、タイムマネジメントできないと効率的にプレーできず上達スピードを遅らせます。これはビジネスにも通じるところがあり、多くの経営者の方がゴルフを通じてタイムマネジメントを学んだと語っています。プレーファーストはマナーのように言われますが、実はいいプレーをするためなのです。プロがアマチュアゴルファーのように時間を使ったら良いスコアは出ません。大袈裟でなく時間の使い方で10打くらい違ってくると思います。
もちろん、何から何までいっぺんにやるのは無理ですから、やるべきことをちょっとずつ自分のルーティンに取り入れましょう。プロを真似するのも悪くはありませんが、タイガー・ウッズのルーティンを100切り目標の人が真似るのは無理があります。理想的な動き方は人それぞれ違いますし、上達していくに従ってルーティンが変わることも多いので、一番いいのは今の自分のベストルーティンを見つけ、それをベースに進化させることです。
吉本巧
よしもと・たくみ ゴルフ修行のため14歳から単身渡米。南フロリダ大在学中は全米を転戦するなど11年間にわたって選手とコーチを経験したのち、日米の20年の経験から吉本理論を構築。プロやアマチュアのスイングコーチをはじめ、フィジカルトレーナー、プロツアーキャディー、メンタルコーチング、クラブフィッティングアドバイザーなども務める。現在は東京・中央区日本橋浜町の「吉本巧ゴルフアカデミー」で指導中。「吉本巧のYouTubeゴルフ大学」も人気。
あなたに必要なユーティリティはどれ? ロフト別に特性と適正を解説!
「ユーティリティ(以下UT)は、その名の通り役に立つクラブだが、いくつかの点をクリアすればずっと使える相棒になり、選び...
ユーティリティがめちゃくちゃ当たるようになるコツとは? ミスの原因は「上下」の2パターンあることを知ろう
いまやすっかり市民権を得たユーティリティ(以下UT)。楽に球が上がって飛距離も出る、おまけにグリーンにも止まりやすいと...
【絶対に置いてはいけないボール位置】なぜ長いクラブほどボール位置が左になるのか知ってる?
ご存知の通り、ショットを打つ際のボール位置は、番手が上がる(長くなる)ほど左寄りになります。でも、なぜそうなるのか知...