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ゴルフの弱点克服はクラブに頼れと言うけれど……ヘッドとシャフトのどちらかを変えるならどっちがいい?

石井良介のゴルフ・すべらない話:第90回

2025/08/20 ゴルフサプリ編集部

「クラブに頼って弱点を克服したいけど、実際どうやったらいいの?」
令和の試打職人、石井良介の元にはこんな疑問を抱えた人が多く訪れる。確かに、ゴルフクラブやシャフトに詳しくなければ、そのクラブが本当に自分にとって最高なのかはわからない。違いがわかるゴルファーになるには、何が必要なのだろう?

「自分にはこのシャフトが合っている!」はアテにならない

「生まれ持った」と言ったら言い過ぎかもしれませんが、誰しもビギナーの頃によくやらかしたミスは、トラウマみたいに体のどこかに残っているものです。僕はもともとドライバーのスライスで悩んでいて、どうやったらフックするのか皆目わかりませんでした。

そのせいで今もスライスの方がコントロールしやすいですが、反面、右サイドがOBのティショットは一瞬イヤな気持ちになることがあります。また、アプローチではザックリやトップがよく出ていたので、その苦い経験を思い出すこともあります。いずれも今日までの経験で大事には至らないようになりましたが、イヤな雰囲気になることはたまにあります。

アマチュアの方の中には、こういったことを解決しきれずに引きずったままの人がたくさんいます。練習やラウンド機会が少ないことを思えば無理からぬところですが、かといってシャカリキに練習しないと解決できないかといえば、そうでもありません。

ズバリ、クラブに頼ることです。ずいぶん昔の話になりますが、僕の場合、父親がくれたジャンボ尾崎さんのドライバーを打ったことがきっかけになりました。当時の僕が使っていたのは母親のクラブ。子どもでパワーがなく、おまけにシャフトが超硬いジャンボさんのクラブなど打てるはずがありませんが、それでもシャフトを替え、ヘッドをいじり、自分にとって美味しい部分を増やしていくとちょっと当たるようになりました。

ウェッジにしても同様で、バウンスについて学んだり、その使い方を教わりに行き、自分が間違っていたことに納得すると打てるようになりました。練習を重ねて技術を身につけることは上達の大前提ですが、一方でクラブが結果を変えてくれることも早い段階で知ることができたので弱点を克服できた。本質的には弱点をカバーしてくれるクラブに頼るべきだと思っています。

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自分に合ったクラブを探すことは必要ですが、取っ替え引っ替えいろんなクラブを打たなくても構いません。例えばドライバーなら、ヘッドとシャフトのマッチングを調べてみるといいでしょう。シャフトが軟らかいとボールがつかまり、硬いとつかまらない、というのが一般論ですが、硬いシャフトはしなり戻るのが早いのでつかまる、という一面もあります。硬いからつかまらない挙動と、硬いからこそつかまる挙動に分かれるのです。逆もまた真なりで、軟らかいシャフトはつかまると言われますが、戻りきらならずにつかまらない一面もあるのです。

これはスイング時の力の入れ方によっても変わりますが、ヘッドによっても変わります。かつて1本の同じシャフトをテーラーメイド、キャロウェイ、ピン、タイトリストのヘッドに入れてデータを採ったところ、同じシャフトとは思えないほど挙動がガラッと変わりました。ツアーの現場でもこういうことは起こっていて、ツアーレップがシャフトに詰め物をするなどしてヘッドとのマッチングを図っています。

そういうことですから「自分にはこのシャフトが合っている!」という人の自信はアテになりません。ヘッドとシャフトの組み合わせが合っていることが大前提で、多くの場合ヘッドが替わったらスイングにも合わなくなります。もし、今使っているドライバーのシャフトが気に入っていて、今後もずっと使い続けたければ、同じようなヘッドにする必要があるということです。

ですから気に入ったクラブは無闇に売らない方がいい。自分にとって当てやすいとはどういうことか、がわかる大事な存在だからです。新しいクラブを買うたびに前のクラブを売ってしまう人がいますが、すでに自分が戻るところがなくなっているかもしれません。その意味では、ゴルフをはじめて最初に使ったクラブの影響は大きいと思います。前述したように、僕は母親のレディスクラブから入りました。今でも軟らかいシャフトに合わせて試打するのが苦にならないのはそのせいかなと思っています。

そうは言っても、じっくりクラブと向き合う時間がない人も多いでしょう。そんな人は一辺倒な球が出ないようなクラブセッティングをしてみてはいかがでしょう。みんなワンスイングで一辺倒な球が出るようにセッティングしたがりますが、例えばドライバーはつかまりやすく、3Wはつかまりすぎない、5Wはつかまる、というように交互に組むのです。

こうするとドライバーが不調な時には3Wを使えばいい。クラブ全部が同じ方向を向いていると不調な時に全部不調になってしまいます。アイアンならつかまりづらい番手だけつかまるように、つかまりすぎる番手はボールを逃す方向にいじればいい。やり方は何でもOK。ロフトを変えてもいいし、シャフトを替えてもいい。長さを変えるのもあり。いろいろなやり方があって楽しいし可能性も広がります。

石井良介
いしい・りょうすけ。1981年生まれ。『令和の試打職人』として各種メディアに引っ張りだこの人気解説者。PGAティーチングプロA級。You tube「試打ラボしだるTV」が人気。早くからトラックマンを活用したレッスンを開始。高い経験値と分析力で正しいスイング、正しいギアへと導く指導と的確な試打インプレッションに定評がある。

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