同じ1打オーバーでも大違い! ナイスボギーと悪いボギーの分かれ道
石井良介のゴルフ・すべらない話:第91回
ゴルフで避けては通れない「ボギー」。嫌な響きに聞こえるかもしれまないが、実はその中身によって価値が大きく変わると言う石井良介。ボギーをどう捉え、どう受け入れるか。石井良介の考えを聞いてみよう。
カップに近いところでやらかしたボギーはダメージが大きい
ボギーには、いいボギーと悪いボギーがあります。例えば大きなミスをしたり、セカンドショットが深いラフにハマった時に、ボギーでも仕方がないとグリーンに乗せるのを諦めて手前に刻むことがあります。そんな状況から、何とか寄せてワンパットで沈めた。あるいはミスが拡大してダボやトリもあったのにボギーで凌いだ。こういったボギーは間違いなくナイスボギー。野球でも「この回をよく凌ぎましたね」などと言いますが、それと同じで状況を好転させるきっかけになることがしばしばあります。
逆に悪いボギーは、例えば2~3メートルのバーディパットをオーバーし、返しも外して3パットとか、打ちきれずにショートして3パットした時など、バーディはおろかパーチャンスまでみすみす外した結果のボギー。当然ながらカップに近いところでやらかした末のボギーはダメージが大きく引きずりやすいと言えます。同じボギーでも、すんなり受け入れられるボギーと、受け入れるのに時間がかかるボギーがあるということ。攻めた結果のボギーは多かれ少なかれ受け入れられますが、おしなべてビビって守った結果ボギーになると引きずるように思います。
もちろん一生懸命ボギーを獲ろうとしている人と、パープレーを目指している人のボギーは意味合いが違います。ボギーペースで回りたい人や100切りが目標の人にとってボギーは格好のターゲットです。乱暴な言い方ですが、なりふり構わずボギーを獲るために邁進すればいいんです。
プレーヤーのレベルでボギーの価値は変わる
70台で回れる人は前述したように、ティショットを林に入れたとか、セカンドを難しいところに打って難易度が高いアプローチを要求された時に、ダボやトリになりそうなところをボギーで収まれば万々歳。本来ボギーは嫌だけどボギーで済んだ、ボギーで許してもらえたのなら、それはどれもいいボギーです。
いずれにしても一つの結果ですから、良かろうが悪かろうがボギーを受け入れなくてはいけません。腹を括りリスクを背負ってやった結果ならなおさらで、そこでいつまでもグジグジやっていると、間違いなくその後のプレーに影響します。僕の場合はパットのタッチがデリケートになります。曲がると思ったラインで曲がらずに真っすぐ抜けたり、逆に真っすぐ打ったら曲がった、みたいなことが次から次へと発生します。もちろん知らないコースや初コースではグリーンがわからなくて当たり前ですが、それを差し引いても裏目にばかり出る時がある。逆にハマる日もありますが、やはり読んだ通りに打ってそうならないとモヤモヤします。
大事なのは、ハマらない日にどうやって心の平穏を保つか。僕はまだ「なるほど今日はこういう日なのだ」と達観できる領域までいっていない人間。それゆえムキになってガシガシいき、リスクを負う場面によく出くわします。
昔、先輩のシニアプロに「お前、全部入れようと思っているだろ」と言われて「はい」と答えたら「だからボギーを打つんだよ」と言われました。でも、僕の場合、全部そうやって打たないと2パットで終わってしまい、バーディが獲れないので仕方がありません。
そこはもうプレースタイルで、ピンチでも可能性があるならチャレンジしてみたいのです。何せそうやっているタイガー・ウッズをずっと見てきたし、乗らなくてもグリーン周りに行けばパーを獲れる可能性はあるからです。逆に極力リスクは負わないプレースタイルもあります。ボギーの可能性はあるけれどダボはないゴルフです。“鳴かぬなら鳴かせてやる”か、“鳴くまで待つ”かですね。僕は前者。そもそも守って勝つことはすごく難しいと思うし、守ってパーを獲るには技量がいると思います。
アマチュアこそ「ボギーとの付き合い方」が重要
ノーボギーのゴルフなどそうそうできるものではありません。“ボギーフリー”という言葉があるのはノーボギーで回ることがいかに大変かを示しているわけで、良くも悪くもボギーは出てしまいます。パーオンして3パットのボギーはよくないボギーですが、しょせん完全無欠なゴルフなどできないのです。でも、ボギーとうまくつき合いながらクサらず続けていくとバーディが来たりします。逆に流れがきているのに気持ちが入りすぎてファーストパットを打ちすぎたり、ショートパットを引っかけてボギーにしてしまった時にすごくガッカリしたりとか、同じ一打なのに心の持ちようが180度全然変わります。
このように平穏無事なゴルフなどなく、それはプロでも同じことです。多かれ少なかれ何かしらトラブルを迎えて、それをどうクリアするか。ゴルフはその連続です。何だかとりとめない話になってしまいましたが、ボギーはもっと身近な存在と考えた方がいいかもしれません。特にアマチュアの方はボギーとの付き合い方がうまくなるほどスコアは安定してくると思うからです。
石井良介
いしい・りょうすけ。1981年生まれ。『令和の試打職人』として各種メディアに引っ張りだこの人気解説者。PGAティーチングプロA級。You tube「試打ラボしだるTV」が人気。早くからトラックマンを活用したレッスンを開始。高い経験値と分析力で正しいスイング、正しいギアへと導く指導と的確な試打インプレッションに定評がある。
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