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バンカーショットは1種類じゃない! 砂質や距離にマッチした「打ち方」を選ぼう

石井良介のゴルフ・すべらない話:第92回

2025/09/03 ゴルフサプリ編集部

バンカーから出ない原因は、砂質に合った打ち方をしていないからかもしれない。なぜなら、バンカーは砂の粒の粗さや湿り具合、硬さによってクラブの抜け方やボールの飛び方が大きく変わるからだ。状況に合わせた構えや振り方があることを、石井良介が解説する。

バンカーから出ないのは、状況と打ち方がチグハグだから

打ち方を含め、バンカーとの付き合い方を考える際にまず理解してほしいのは、バンカーショットを一括りにしてしまうのは、パッティングを一括りにしてしまうのと同じくらい無理があるということです。
砂の粒子が粗いか細かいか、ウェットかドライか、砂が多いか少ないか、などの要素はバンカーそれぞれで違います。さらに、ボールが砂に乗っているのか、沈んでいるのか、あるいは目玉になっているのか、その状況によってクラブの入れ方など対応策も変わるということです。

バンカーが得意だったアマチュアの方が、「急に出なくなった」という話をよく聞きますが、その場合、前述した状況が違っているケースが結構多いのです。粗めのちょっとジャリッとしたバンカーからは出ても、サラサラの砂になったら同じ打ち方をしても出ません。所変われば品変わるなのですが、当人はバンカーを一括りで考えているから「最近、出ないんだよ」と真剣に悩んでしまう。僕からすれば「砂が違えば、出る打ち方も変わるんだよ」という話です。

最低限知っておいてほしいのは、砂のタイプによってクラブの抜け方やボールの飛び方が変わること。例えば公園の砂の軟らかい砂場を想像してみてください。シャベルの先端を砂場に刺したらシャベルは深く潜りますが、背の部分を当てたら横滑りします。軟らかいバンカーでは後者の使い方をすれば良い。バンカーではフェースを開いて打ち込めとよく言いますが、打ち込むよりはU字型に振り抜いた方が砂と一緒にボールを飛ばしやすいです。

逆に砂が粗かったり地面が硬い時には刺していかないとソールが跳ねてしまいます。こういったことを頭に入れてバンカーに入り、足の裏で砂の質を感じて適切な方法を選ぶ。バンカーから出ないのは、状況に合っていない打ち方をしていることが多く「バンカーの打ち方はこう」という発想は危険なことを知っておいてください。

究極を言えば、バンカーでもクリーンにボールを打てれば打ち方は関係ありません。でも、ちょっとでもダフったら飛ばないのがバンカー。そこでエクスプロージョンという技を使うことで保険をかけるわけです。逆に言えば100ヤード以上打たなきゃいけないバンカーショットはエクスプロージョンでは届きませんから、グリーン周りとは違う考え方で対峙しないといけません。爆発させるのかクリーンに打つかでセットアップが変わります。

わかりやすく言うと、グリーン周りのバンカーなどでは足を埋め、クラブを長く持った方がダフりやすい。逆に距離のあるバンカーでは足をあまり埋めずレベルにしておき、少しクラブを短く持った方がトップ目に当たりやすくなります。これ一つとっても対応策が違うわけで、うまく打てない人ほど、こうした状況と打ち方がチグハグになっています。

えっ、バンカーはオープンに構えるんじゃないの? 一発で出すならクローズスタンスが正しかった!

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それから、多くのゴルファーがバンカーショットを上から打とうとしすぎです。ダフれと言われるからかもしれませんが、ダフるように構えるだけでいいのです。
そもそも、バンカーでは足元を安定させるために、砂に足を埋めます。その時点で自分の足底の高さは、ボールより低くなります。ですから、ダフらせようとしなくても、勝手にダフるわけで、さらにダフらせようとするからいけない。ボールが1階にあって、自分の足が地下1階にあるから、ヘッドが深目に入る(砂に潜る)。そんな風に考えるだけでバンカーショットは変わります。

また、グリーン周りのガードバンカーでは、フェースを開いてオープンに構えてカットに打つ、と昔から言われていますが、今はそうして打つ人は少なくなり、スクエアに構えたり、クローズに構える人が増えています。僕もクローズに構えることが多いです。そのほうが左に振りやすいのと、オープンで左に振るとヘッドがボールの下を抜けてしまうリスクがあるからです。抜けてしまうと飛びませんが、クローズだとちゃんと砂が取れて出せるので、僕はクローズに立ってフェースを開くことが多いです。

もちろんオープンスタンスでフェースオープンで打つシーンはあります。特にプロはそう言いますが、それはカップインを狙うからです。その昔、ツアーで優勝したことがあるプロに「バンカーではどんなことを考えていますか」と聞いたら、順番的には「出す→乗せる→寄せる→入れる」だそう。目の前の状況ではどれができるかを判断して適切な方法をとるそうです。「それはアプローチも一緒だろ」と言われましたが、確かにその通りです。

この考え方は人によって違うでしょうから絶対とは言えませんが、基本的にバンカーショットは半分ないしは3分の1くらいの距離しか飛ばないので、例えば15ヤード打つなら30ヤード打つつもりなど、しっかり打つ必要があります。ダフる量にもよりますが倍は振る必要があると思います。上手な人ほど、バンカーショットをしっかり振っていますよね。

ホームランしたことがあると大きく振るのが怖くなるので、それでうまくいかない人、あるいはフェースを開いてカットに打つためボールに力が伝わらず飛ばない人は、特に大きく振る意識が必要です。練習場でもできるので、構えやフェースの開き方を変え、振っても飛ばない打ち方を練習し、自信をもって大きく振れるようになってください。

石井良介

石井良介
いしい・りょうすけ。1981年生まれ。『令和の試打職人』として各種メディアに引っ張りだこの人気解説者。PGAティーチングプロA級。You tube「試打ラボしだるTV」が人気。早くからトラックマンを活用したレッスンを開始。高い経験値と分析力で正しいスイング、正しいギアへと導く指導と的確な試打インプレッションに定評がある。

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