プレー中の作戦変更は百害あって一利なし！ 予想スコアに向かって初志貫徹してスコアの悪化を防ごう
今野一哉の『ゴルフあるある』解決ディスカッション【25】
前半は調子が悪かったのに、後半になったら調子が上向き。そうなると、後半スタート前に予想していたスコアよりも、もっと良い結果が出せるのでは？ と思ってしまうのは仕方ない。だけど、それがスコアを悪化させる原因だとプロコーチ・今野一哉は言う。
スタート前の予想スコアに向かって初志貫徹
ゴルフサプリ プレー中に最終的にどのくらいのスコアで上がれるか、誰しも考えてしまうと思うのですが、取らぬ狸皮算用みたいなことはよろしくないとも言われます。プレー中、スコアのことは考えないほうがいいのでしょうか。
今野 予想を立てること自体は悪くないと思うのです。プロも予想を立てるじゃないですか。トーナメントが始まる前に優勝スコアはこれくらいだろう、と予想してゴルフを作っていますからね。当たりをつけるのは悪くないのですよ。
ゴルフサプリ 事前に予想を立てるのは良いのですね。
今野 ただ、プレー中にスコアを軸に作戦を修正するのは、よろしくないですね。このホールは3打で上がるのが妥当である、4打で上がるのが妥当である、というのを積み重ねていって、予想スコアが90になる。そこに向かってプレーしていくのは良い。よろしくないのは、なんとなく上手く進んでいって、これだったら90を狙えるかもしれないから90を狙おうというのは危ないんです。
ゴルフサプリ そういう危ない考え、頻繁にしてしまっています（汗）
今野 あるでしょう？ いつもよりも調子が良いぞ！ これなら今日はベストスコア狙えるかも、なんて考えてしまう人は多いと思います。
ゴルフサプリ はい。なんとなく上手くいっているから、このままいけば！ と思ってしまいますね。
今野 はい。スタート前に、妥当性のある予想スコアを用意して、次のような考え方でプレーをするのは良いです。例えば、スタートホールはボギーでもいいや、次の長いパー4もボギーで収めたいな、というふうにホールごとに計画を立てて、このコースを90で回れたら合格点だなと準備しておく。そして、始まってみたら出だしのホールがダブルボギーにしてしまったから、予想スコアが91になってしまった。でも、次のホールでパーだったから、90に戻せたな、というように予想スコアを軸に進んでいく。
ゴルフサプリ なるほど。事前の予想スコアが軸になっていて、危なげない思考でプレーできそうですね。
今野 自分の中の“パー”を作っておいて、そのパーに対してオーバーした、凹んだと考えながら進んでいくのが健全ですね。でも、前半で大叩きをして、後半の出だし3ホールでパーが連続したから、これなら90を狙えるなんて思ってしまう。そうすると、上がり3ホールが難易度の高いホールだったとしても、90を目掛けてプレーしてしまうとリスクを負ってプレーしたりして、バタバタッとスコアが悪くなるわけですよ。
ゴルフサプリ それも身に覚えがありますね。
今野 前半で大叩きをして調子が悪かったわけですから、当初予定したい後半のプレーや上がり3ホールは無理をせずに安全策で行こうと考えていたはずなんですよね。それが、たまたま出だしが良かったからといって、良い流れに乗ってもっと良くしようと思ってしまうと、コースと気持ちが噛み合わなくなって予想外の悪い結果が来やすいのですよ。
ゴルフサプリ 以前、話していただいた「平均の法則」が働いたりするわけですね。
今野 そうですね。予想通りにはいかないのがゴルフですから。でも、そのことも見越してスタート前に立てた予想スコア90に向かって、上がり3ホールはダボダボダボでも90だから、頑張ってダボを取ろうと初志貫徹できれば良いのですけどね。
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ゴルフサプリ 途中で作戦変更するのは良いことがないのですね。
今野 プレー中もそうですが、スイングでも同じことが言えます。しっかり打つぞ！ とバックスイングしたのに「飛びすぎたらやだ！」とブレーキをかけてしまったら大曲がりしてしまったりしますよね。
調子が悪い時はそれ以上悪化しないように大人しく回ろうと決めたにも関わらず、少し良くなったら「これは80台あるかもしれない！」なんて瞬間があると、良くないことが起きます。
ゴルフサプリ 判断ミスをしてしまうわけですね。
今野 ボギーでもいいと考えてグリーン前までボールを運んできたのに、「やっぱりパーが取りたい」となったら、どうアプローチするかも変わります。
ゴルフサプリ 最初に決めた予想スコアに向かって、それをブラさずにプレーすることが大切なのですね。
今野 取らぬ狸の皮算用は悪いことではありません。ですが、悪い皮算用もあるということです。
今野一哉（こんの・かずや）
JGTOツアープレーヤー。18GOLFプロデュース / キッズゴルフ代表。アマチュアゴルファーの指導やジュニアゴルファーの育成に力を注ぎながら、各ゴルフメディアで活躍中。蝶ネクタイスタイルはゴルファーへ「サービスし、尽くす」と言う意味を表す。
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