大型マレットの使い過ぎは“勘”を鈍らせる? 心当たりがあるならブレード型で“打つ感覚”を呼び覚まそう
鹿又芳典の“推しクラブ” こぼれ話 第83回
今どきの大型マレットを“エース”のパターにしていたツアープロが、シーズン中にブレード型へ切り替えることがある。でも、そうすると見た目もストロークも一変して、違和感があったりタッチが合わなくなったりしないのだろうか? ボクらもトライしていいのか? カリスマフィッターの鹿又さんはこうレクチャーする。
再現性が高くて正確に打てるイメージがある大型マレット
最近のパターの傾向として、大型マレット、大慣性モーメント、重ヘッドというように、どちらかというと操作性よりも寛容性やクラブ慣性モーメントを大きくしたパターが流行っています。
その意味で「L.A.B.ゴルフ」に代表される“ゼロトルク系”のパターも、本来の目的とは違うかもしれませんが、イメージとしてはアドレスでできた状態をキープして、クラブの慣性で動かす印象が強いのではないでしょうか。そのほうが、再現性が高くて正確に打てるイメージもあるし、実際にそういうところを狙ったパターが流行っています。
MOIが小さくてヘッドが軽いパターは操作しやすい
それとは正反対なタイプが「L字」に代表されるような、どちらかというと操作性に優れているパターです。そういうパターは、慣性モーメントが小さい、ヘッド重量が軽いという傾向に。「自分の手の感覚と同調してヘッドを動かしやすい」というタイプです。
さらに分類していくと、その中間よりもちょっと操作性に振っているタイプがブレード型で、ど真ん中に位置するのが幅広のブレード型(ワイドブレード型)、というところになると思います。
“慣性”に引っ張られすぎると、“感性”を取り戻そうとする
一つの傾向として、機械的に打とうとすればするほど“距離勘”とか、傾斜地でボールを打ち出す方向を作っていく“勘”の部分が少なく、乏しくならざるを得ません。
パット本来の「自分が思ったスピードで思ったところに打ち出す」という無意識でやっている動きが「こうしなきゃ」という意識に引っ張られすぎたときに、元に戻す作業を必要とする選手もいるということです。どんどんと自分が“真っすぐ・真っすぐ”など、機械のように常に同じことをやろうとするのではなく、無意識に対応する部分を強くしたい、戻したいということ。
打つ感覚を呼び戻すと、今どきの大型マレットも打ちやすくなる
パットの感覚の部分をもっと鋭く出したいというときは、慣性モーメントが小さくて軽いパターのほうがいい。だから、マレット型のパターを使っているツアープロが、操作性がいいブレード型にスイッチすることがあるのでしょう。
一般のアマチュアも、パターを「真っすぐ打とう」「真っすぐにヘッドを動かそう」と機械的になりすぎたり「インパクトができなくてショートしやすい」「右に外しやすい」という傾向が強くなったとします。中古ショップで数千円で売られているような古いピンのパターとかだと、ヘッド重量が今よりも30~50グラム軽いもの。そういうパターを使って、自分で“打つ感覚”をもう一回呼び覚ますと、今どきの大慣性モーメントのパターがより使いやすくなると思います。
結局は“機械”になろうとして上手くいくことはない、というのがボクの考えです。だって私たちは人間ですから、機械にはなれません。
鹿又芳典
かのまた・よしのり 1968年生まれ。年間試打数2000本超え。全てのクラブに精通するクラフトマン。豊かな知識と評価の的確さで引っ張りだこ。ゴルフショップマジック代表。
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