入れないと絶対に損! ユーティリティを使うならロフト25度前後は外せない
吉本巧のゴルフギア教室 第84回
「クラブセットにユーティリティ(以下UT)を組み込む際に、絶対に欠かせないのがロフト25度のUTです」と言うのはプロコーチ・吉本巧氏。絶対に損をするなどと言われると、気になって仕方がない。どういうことなのか、解説してもらった。
25度のUTは決まった距離を確実に打てる安心・安全なクラブ
なぜ25度前後が欠かせないかというと、確実で安心なクラブで入れておかないと損をするから。私も入れていますが、めちゃくちゃ有能なので、もう手放せません。25度がないメーカーなら24度なり26度なり25度前後と考えればOKです。
25度のUTはアイアンのロフトで言えば4、5番相当。私の場合、25度が一番下のUTで、アイアンは5番から入れています。ロフト的には被りますが、ラウンドしているとラフや傾斜など5番アイアンで打つにはちょっと怖い状況がよくあります。ショット環境がよければ迷わず5番ですが、わずかでも不安ならばUTにする。そんな使い方をしていたところ、25度は使える状況がとても多く、使い勝手もいいことがわかりました。
使う場面は2打目以降がメインですが、アイアンよりもグリーンを狙いやすいのでとても頼りになります。その要因として挙げられるのは、打ち出し角が高いこと。インパクトロフトが大きいので打球に高さが出ますし4、5番アイアンに比べて、はるかに楽に球が上がります。
打ち出し角が高いぶん打球の最高到達点は高くなりますが、単に高いだけでなくアイアンよりもグリーンに近いところに最高到達点がきます。ということは、必然的にボールの落下角度が大きくなってグリーンに止まりやすい。4、5番アイアンは最高到達点がUTよりも低くて手前のためランが出て止まらないのでグリーンを狙いづらく、イメージも出づらい。25度ならそれはありません。
ティショットでも活躍します。特にパー3のティショットでは使えるホールが多くなると思います。その際に注意してほしいのはティアップを低くすること。打球が上がりやすいところにティアップを高くすると上がりすぎてショートします。ひどいとだるま落としっぽくテンプラになってしまいます。ティアップする時はアイアンと同等かそれより低くていいくらい。プロがUTでティショットを打つ場合は、地面に置くのと同じくらいにしています。
飛距離の目安はヘッドスピードによって変わりますが、おおむね140~180ヤードといったところでかなり幅が広いです。ただ、見方を変えれば広範囲の距離に対応できるクラブでもあるということ。数字を見ればわかる通り、この距離はラウンドしていると頻繁に出てくるレンジで、中上級者はこの距離の大切さをよくわかっているはず。そこがカバーできることが活躍の場の多さを物語っているといえるでしょう。
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話のついでに25度のスイングについて言及しておくと、例えば25度の飛距離が160ヤードのプレーヤーが155~150ヤードの距離を打ち分ける場合には2つの方法を併用するといい。1つは親指1本分ほどクラブを短く持ちます。クラブが短くなるぶん普通にスイングすると5ヤードほど飛距離が落ちます。もう1つは短く持ったままアドレスで腰を落とし気味にしてヒザを深めに曲げ、その体勢を崩さずに打つ。これで10ヤードほど飛距離が落ちます。
このように25度のUTは決まった距離を確実に打てる安心の1本です。セットに1本あると心強く、自信になるクラブというのがありますが、25度は誰が使ってもそんな1本になりやすい。フェアウェイウッドが使えない状況でも、シャフトが短く芝の抵抗が少ないので使えます。「何かあったら25度UT」という感じになってメンタル的にもプラスの効果があると思います。
飛距離的に見ると25度のUTは飛ばすクラブではありませんから、飛距離を求めるなら、この上にUTを足した方がいいでしょう。その場合、マイナス3度のUTを入れるのがおすすめ。25度があれば22度、24度なら21度ということですね。長いUTもでもロフトは20度以上ありますから手こずることはない。また、こうすると25度はグリーンに乗せるためのUT、マイナス3度は飛ばすUTとなり、目的や役割分担が明確になって2打目以降でクラブ選択を迷いづらくなる。ひいてはゲームを組み立てやすくもなります。25度で球が上がらない人は、27度、28度など、ロフトを大きくして近辺のUTを試してみてください。軸となる1本になるはずです。
吉本巧
よしもと・たくみ ゴルフ修行のため14歳から単身渡米。南フロリダ大在学中は全米を転戦するなど11年間にわたって選手とコーチを経験したのち、日米の20年の経験から吉本理論を構築。プロやアマチュアのスイングコーチをはじめ、フィジカルトレーナー、プロツアーキャディー、メンタルコーチング、クラブフィッティングアドバイザーなども務める。現在は東京・中央区日本橋浜町の「吉本巧ゴルフアカデミー」で指導中。「吉本巧のYouTubeゴルフ大学」も人気。
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