超フラットスイングと背骨を回す軸回転でFWキープ率80%!

ボールと体の距離が遠いB・デシャンボーと真逆

米国LPGAツアーでも約80%という驚異的なフェアウエイキープ率を武器に活躍している山下選手。最大の特徴は手元を低くした超フラットスイングで打っていることです。日本ツアー時代も、日本で最もフラットに打つ選手の1人でしたが、LPGAツアーでも山下選手ほどフラットなスイングをしている選手はなかなかいません。手元の位置は低くて、ヒザより少し上くらい。そしてボールを体から離して構えているので、アドレス時のシャフトの角度は30度以下になっています。

フラットなスイングとアップライトなスイングを比較すると、実はアップライトなスイングの方が再現性は高くなります。わかりやすいのはブライソン・デシャンボー。デシャンボーは手元を高くしてシャフトを垂直に近い角度にすることでスイング軌道を安定させています。

では、なぜ山下選手はフラットスイングなのにフェアウェイキープ率が高いのか? その理由はアドレスでフラットになっている角度をバックスイング、トップ、ダウンスイング、インパクトまでキープし続けることができるからです。

腕の角度が変わらないのは、腕の動きを抑えて背骨を回しているからです。日本ツアーで活躍していたときから山下選手は背骨を中心に回す軸回転が日本一上手いと思っていましたが、今では世界一上手だと思っています。腕に余計な力を入れることなく、背骨をクルッと回して打っています。ちなみに日本ツアー時代の山下選手は両ワキにタオルを挟んで、タオルを落とさないように打つ練習をよくやっていましたが、今年のスイングを見てもバックスイング、ダウンスイング、そしてインパクトと全くワキが空いていません。それもフェアウェイキープ率が高い要因です。

フラット軌道からドローボール

ドローヒッターの山下美夢有はフラット軌道で打つことによって、インサイド・アウト軌道を安定させやすい。

アドレスより手元は高いが軌道はフラット

インパクトはアドレスよりは手元が高くなっているが、それでも他の選手に比べるとフラットな軌道で打っている。

曲がらないヒミツは最初の3コマにあった初動で右手を 背屈させて シャットフェースに!あとは手首の角度をキープして インパクトするだけ

左右方向の体重移動は最小限

テークバックでフェースを開かず、シャットフェースに打つ選手は増えていますが、山下選手の特徴はアドレスから動き出した瞬間に超シャットフェースにしていることです(写真03)。写真01から写真03を見ると手元の位置はほとんど動いていないのにフェース面だけがシャットになっています。手元もほとんど動いていませんが、手首の角度だけ微妙に変えています。アドレス直後の一瞬で左手は掌屈(手のヒラ側に折る)、右手を背屈(甲側に折る)させることでフェースをシャットに。その後はバックスイング、トップ、ダウンスイング、インパクトまでシャットフェースをキープしたまま打っています。フェース面が変わらないことでフェースが開いて当たったり、閉じてヒッカケが出ることも少ないです。

もう一つ、山下選手のスイングは左右の体重移動がすごく少ない。バックスイングでも右足を踏む動きは控えめで、右足の角度はアドレス(写真01)もトップ(写真05)もほとんど同じ。

ダウンスイングでも強く左足を踏み込むというよりは軸をセンターにキープしたまま体を回しています。フォロー、フィニッシュまで左軸ではなく、センター軸のまま。打ち終わった後は右足を踏み出して歩いていけそうな体重配分になっています。軸が左右方向にも斜め方向にも動いていない証拠です。

手元の位置はほとんど変えずにロフトを立てる

インパクトまで左手を掌屈、右手を背屈させる

軸が安定しているから、歩き出せるようなフィニッシュ

山下美夢有
やました・みゆう/2001年8月2日生まれ。大阪府出身。2022、2023年と2年連続で日本ツアーの年間女王なった。今季から米国女子ツアーに挑戦して「AIG全英女子オープン」で海外メジャー初優勝。世界ランキングも6位浮上。


解説:石井 忍
1974年8月27日生まれ。98年にプロ転向し、現在はツアープロからジュニアゴルファーまで幅広く指導。自身が主宰する「エースゴルフクラブ」を千葉、神保町に展開する。