タイガー・ウッズにちなんで「たいが」

日本アマチュアランキング上位者など15人が参加した予選から本戦に勝ち上れるのはひとりだけ。
最後に難しい下りの2メートルを決めて1打差で出場資格を勝ち取ったのは日本大学4年生の小林大河でした。

「たいが」の名前はゴルフをやらせたい、と願った両親がタイガー・ウッズにあやかって付けたもの。
弟はショーン・オヘアにちなんで「翔音(しょおん)」。妹も愛香で「あにか」と読むゴルフ三兄弟の長男は、西武台千葉高校の3年生だった2021年は、ボランティアで当時の「ZOZOチャンピオンシップ」に参加していました。

仕事は各組に付いてスコアが表示されたキャリングボードを持つこと。
最終日は偶然にも松山英樹の組に付き、18番ホールでの劇的イーグルで優勝したシーンを目の前で見ることができました。

ボランティアということでホールアウト後の松山からもらったボールは今でも実家に保存してある宝物。
この日の表彰式には松山も参加して直接「WINNER」のパネルを受け取ったものの、言葉を交わす時間はほとんどなかったことから「(本戦の時は)普段の生活のリズムとか、見えてない部分のことを聞いてみたいですね」と世界の超一流が、ゴルフ場以外でどのようなことをしているのかを吸収することに意欲を見せます。

2019年に始まった「ZOZO」の初代王者はウッズでした。
小林はその時も現地で観戦し「テレビで見ているだけでもオーラを感じていましたけど、実際に見ると本当に強くて感動しました」と当時を振り返ります。

開催コースは変わりましたが、その舞台にいよいよ自身も立ちます。
こうした経歴からして、「大会の申し子」のような小林の本番での活躍に期待です。

松山英樹の発案で行われた「アマチュア予選」

「ベイカレント・クラシック」の出場人数は78人です。
その限られた枠のひとつをアマチュアに限定して提供するというのは珍しいケースです。

今回の予選の発案者は松山英樹で「僕が10年以上PGAツアーで戦っていて、年下の選手がなかなか来られないのでこういう大会をやりたいと思っていました」と、“ネクスト松山”に成り得る若いアマチュア選手にチャンスを与えたいとも思いで提案しました。

これに対して大会を取材するPGAツアー。冠スポンサーのベイカレント。松山のスポンサーでもあるレクサス。
さらに当初の日程より2週間後ろ倒しになったことで一般営業もしていた日に本戦と同じレイアウト(西コースの16ホールと東コースの2ホールを使用)で予選を行うことを調整した横浜CCなどの協力があって実現しました。

サクセスストーリーへの新たな道筋

2019年の「ZOZO」は、当時アマチュアだった中島啓太もギャラリーとしてウッズのプレーに熱い視線を送っていたそうです。
その後プロ転向して2023年には日本男子ツアーの賞金王となり、その資格で欧州ツアーに参戦してPGAツアーへの“昇格”をめざしています。

こうしたサクセスストーリーの源となった大会に、新たな参戦ルートができました。
その道筋を作った松山の思いに応えた小林。そして大会の歴代王者でもある松山本人の本戦でのプレーぶりが楽しみです。

(取材・文/森伊知郎)