ヘッドスピード40m/sの人が一番飛ぶドライバーのロフト角は? HS別適合ロフトを解説
吉本巧のゴルフギア教室 第86回
飛距離に大きく影響するドライバーのロフト角。思ったほど飛ばない人や打球が曲がる人は、ロフト角が合っていない可能性がある。プロコーチ・吉本巧は「結論から言うと、個々の最適なロフト角はヘッドスピードによって変わります」と言う。シャフトの性能によってもインパクト時のロフト角(インパクトロフト)は変化するが、ヘッドのロフト角とヘッドスピードの関係に限定して吉本巧が解説。
ヘッドスピード38~40m/sならロフトは11.5度くらいがいい
ロフト角とはフェース面が何度寝ているかを示した数値で、どのメーカーも9.5度、10.5度といったように9度台と10度台がメインです。ロフト角が大きくなってフェースが寝るほど、ボールが打ち出される角度が大きくなります。同時にバックスピン量も多くなるため打球が上がります。反対にロフト角が少ないとボールは低く打ち出されます。バックスピン量が少ないので打球が上がりづらくなります。
バックスピン量が多いと、サイドスピンが入った場合にその量も多くなります。このためロフト角が大きいクラブは左右への曲がり幅も大きくなる可能性があります。逆にロフト角が少ないとバックスピン量は少なくなりますから、サイドスピン量も減って曲がりにくくなります。同じカット軌道で打ったとしたら、ロフト角が大きいヘッドの方が曲がるということです。
ロフト角を選ぶ目安は、ヘッドスピードが速い人はロフト角が小さいヘッド、ヘッドスピードが遅めの人はロフト角が大きいヘッドが合います。速い人がロフト角の大きいクラブを使うとバックスピンが過多になります。吹き上がってポトンと落下する球になって飛ばず、風にも弱い軽い球質になってしまいます。一方、遅めの人がロフト角の少ないヘッドで打つと、バックスピン量が不足してボールが上がらない。お辞儀をするような球が出て、こちらも前に飛びません。
ヘッドスピード別に適合ロフト角を見ていくと、まずアマチュアゴルファーに最も多いヘッドスピード38~40m/sの人の場合、10.5~11.5度が最適です。アベレージゴルファーの多くは9.5~10.5度を使っていますが、傾向的に9.5度の人は理想的な角度で打ち出せておらず、10.5度の人はボールをつかまえようとロフトを立てて打っています。
前者の場合、自分でボールを上げにいくようになって、すくい打ちを誘発します。一方、10.5度の人は、打ち方はそのままでロフトを増やすと打ち出し角が理想的になる可能性があります。いずれにしても11.5度くらいのロフトを使った方が、今のままのスイングで結果が良化する人が多いと思います。
ヘッドスピードと適合ロフト角
50m/s以上 8~9度
46~50m/s 9~10度
42~46m/s 9.5~10.5度
38~40m/s 10.5~11.5度
34~38m/s 11.5~13度
次に多いと思われる42~46m/sのヘッドスピード帯の人には9.5~10.5度が適正です。ロフトとしてはポピュラーですが、実はヘッドスピードが結構ないと理想的な球が打てません。同じヘッドスピード帯でも42m/sに近ければ10.5度寄り、46m/sに近ければ9.5度に寄せた方がいいと思います。
初・中級者からシニア、レディゴルファーに多い34~38m/sの人には11.5~13度のロフト角がおすすめです。ハイロフトモデルと言われるもので、女性なら14~15度もあり。ヘッドだけに限って言えば9.5度や10.5度は論外と言っていいでしょう。
ヘッドスピードが46~50m/sともなるとツアープロや上級者レベルのハードヒッターの飛ばし屋ですが、このレベルなら9~10度が最適で10.5度はロフトが寝過ぎです。好んで高い球を打ちたい人を除けばアンダースペック気味。バックスピンが多くなるのでランが出ない球になります。さらにヘッドスピードが50m/sになるとツアープロやドラコンプレーヤー級。最適ロフトは8~9度ですが、8度は市場ではほとんど見かけません。特注レベルのロフトと考えていいでしょう。
ロフト角が合っていないということはオーバースペックかアンダースペックなわけですが、どちらかといえばアンダースペックの方がマシです。中には将来を見据えて、あえてロフトが立ったヘッドを使っている人がいるかもしれませんが私はおすすめしません。前述したように、スピン不足のままだと打ち出し角が出ないので、球を上げにいくスイングになります。そのクセがついて適正ロフトに順応できなくなってしまいます。理想はレベルアップとともにヘッドスピードが上がり、それに対応してロフト角を減らしていくこと。上達に合わせてドライバーを替えていくのもゴルフの楽しみの一つだと思います。
吉本巧
よしもと・たくみ ゴルフ修行のため14歳から単身渡米。南フロリダ大在学中は全米を転戦するなど11年間にわたって選手とコーチを経験したのち、日米の20年の経験から吉本理論を構築。プロやアマチュアのスイングコーチをはじめ、フィジカルトレーナー、プロツアーキャディー、メンタルコーチング、クラブフィッティングアドバイザーなども務める。現在は東京・中央区日本橋浜町の「吉本巧ゴルフアカデミー」で指導中。「吉本巧のYouTubeゴルフ大学」も人気。
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