“当たり前の存在”になり、話題性が薄くなった
「ここのところアイアンのストロングロフトって落ち着いたの?」って聞かれることがありますが、いえいえ、ゼンゼン沈静化していません。もしもそう捉えられるのだとしたら、メディアが話題にしなくなっただけです。
たとえば「男子プロがレディス用のヘッドを使った」とか「軟らかいシャフトを使った」とか、稀に他の人がやっていないことをやると、一斉に各メディアが取り上げるもの。でもそれはハッキリ言うと、他の人がやっていないからネタになっているだけで、みんながやっていたらネタにしません。その現象の一つが「ストロングロフトのアイアン」ということです。
ラインナップの中に欠かせないストロングロフト
国産メーカーは比較的少ない部類になりますが、今は各メーカーで5モデル以上のアイアンをラインナップしています。一番多いメーカーだと10モデルくらい展開しているんじゃないでしょうか。
というのも、ここ数年でユーザーニーズが最も多様化して、それに対応するようにしてプロダクト(モデル)を増やしているカテゴリーのクラブがアイアンです。そのラインナップの中にストロングロフト、つまり7Iで30度を下回る20度台のモデルが必ずあります。だからこそ、決してストロングロフトが沈静化しているわけではありません。
いま使っているアイアンよりもどうしたいか? がカギ
もっと言えば、もう3~4年くらい前から、市場に出ているアイアンの7Iの平均ロフトを調べると、むしろ30度よりも立っています。「みんなのロフトが立ったから、ストロングロフトが目立たなくなった」という側面もあるでしょう。
アイアンの買い替えを検討している人は、ずっとボクが言い続けているように、いま使っているアイアンのロフトに対してどうしたいのか、がポイントに。シンプルに考えるなら、もっと飛ばしたいからストロングロフトにするのか、今よりも止めたいからロフトが寝ているモノにするのか、といったことをアイアンを選ぶときの大事な基準にしてほしいです。
プロダクトだけでなく、選び方も増えつつある
今の全体的な図式としては、それぞれのラインナップの中で「やさしいヘッド=ストロングロフト」っていう流れになってしまっています。でも「やさしいヘッドでロフトが寝ているモデルのほうがもっとやさしく使える」というゴルファーもたくさんいるので。
そういう多様なニーズに対応するようプロダクトが増えていく中で、タイトリストのようにフィッティングをして、ロフト・ライ角の調整幅を大きくしつつ、それがどういう結果をもたらすかを試打して理解した上でクラブを購入できるようになったり、アイアンの選び方が少しずつ変化してきています。一方で、そこまで求めるかどうか、という考え方もあるでしょう。
ストロングロフト、中空、キャビティ、軟鉄鍛造――というように、バリエーションと選択肢が増えて多様化しているアイアンの今を、今回のこぼれ話では述べてみました。
鹿又芳典
かのまた・よしのり 1968年生まれ。年間試打数2000本超え。全てのクラブに精通するクラフトマン。豊かな知識と評価の的確さで引っ張りだこ。ゴルフショップマジック代表。




