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堀琴音 9年越しのリベンジ果たし「日本女子オープン」優勝! 佐久間朱莉との激闘はベテランキャディの存在があったからこそ?

2025/10/06 ゴルフサプリ編集部

国内メジャーの「日本女子オープン」最終日(5日、兵庫・チェリーヒルズCC)は堀琴音が“9年越し”のリベンジを果たして優勝した。現在ポイントランキング首位の佐久間朱莉との一騎打ちの様相となった終盤は、二人がコンビを組んだベテランキャディの存在があったからこそだった。(写真は2025年日本女子オープン 撮影/Getty Images)

2016年大会は、高校3年のアマチュアだった畑岡奈紗に逆転負け

短いウィニングパットを決めた堀は両手で顔を覆う仕草をすると、すぐに両手を高々と上げて笑顔でバンザイ。
2016年大会では当時高校3年生のアマチュアだった畑岡奈紗に最終日の後半に逆転負けを喫し、その後はシード落ちなども経験しただけに「ずっと、ずっと、この大会で勝ちたかった。9年前の忘れ物を取ることができた」との言葉には熱い思いが込められていました。

混戦が一転 終盤は佐久間との一騎打ちの展開に

堀が1打差でスタートした最終日は4打差に7人。5打差までを含めると14人がいる混戦模様で始まりました。

それが終盤は首位の堀を追う佐久間と、3位以下には4打の差がついて一騎打ちの様相に。

ここで選手とともに好勝負の立役者となったのが、二人の名参謀。堀のバッグを担いだ大溝雅教キャディーと、佐久間とコンビを組んだ後藤勝キャディでした。

そこには「日本女子オープン」だからこそ、の理由がありそうです。

「日本女子オープン」だからこそ、の他のトーナメントと異なる理由

日本女子ゴルフ協会(JLPGA)は2022年から試合で距離測定器を使用することを認めるようになりました。

ただし大会の主催者が異なる「日本女子オープン」(日本ゴルフ協会=JGAが主催)と、アメリカLPGAツアーの試合である「TOTOジャパンクラシック」では認められていません。

近年のツアーでは選手とキャディの両方が距離計を使わないのは少数派です。
一般ゴルファーでもレーザーか腕時計タイプかはともかく、かなりの割合の人が使うようになりました。

ですが、JGAは「ナショナルオープンでは距離の情報はプレーヤーも目で判断するという要素を残したいと考えている」として「日本女子オープン」での距離測定器の使用を認めていません。

大溝、後藤の両キャディはいずれも歴20年超の大ベテラン。
キャリアではむしろ距離測定器を使えない時代の方がはるかに長いということになります。

池越えのツーオン狙い 72ホール目で出た初めてのミスの直後 シビアな状況で不安を与えない“キャディ力”

18番パー5では、二人の“キャディ力”が発揮されたといえます。

左サイドに池が広がるレイアウトのホールで、堀の最終組より5組前で回っていた佐久間は1打差で追いかけていた状況で、エッジまで約200ヤードを果敢にツーオンに挑みます。

左足下がりのボールを上げにくいライからミスが出れば池に捕まり、逆転の可能性はなくなりますが迷わずグリーンを狙いました。

一方の堀はティショットが、テレビ解説の塩谷育代さんが「72ホールで初めてかも」と言った右へのミスショットでラフに入ります。

ギャラリーに当たるほど曲がるショットで動揺もあるはず。
16番のバーディで2打差となったものの、ミスを続ければ9年前の悪夢の再現もなりかねません。

当然レイアップを選択。この場面でも距離測定器があれば刻む地点との距離が瞬時にわかります。

「日本女子オープン」ではヤーデージブックに記載されている目印(バンカーやスプリンクラーなど)を探し、そこからボールの地点までなどを歩測するというアナログな作業が必要でした。

それには正確性が求められますし、極限状態かもしれない選手を納得させ、不安にさせないことも求められます。

普段距離計を使ってない一般ゴルファーも、1ホールでも使わないプレーをしてみたら、どれだけ不安になるかわかると思います。
あるいはうっかり持っていくのを忘れて、この経験をした人もいるかもしれませんね。

いつもとは勝手が違う試合で好勝負をすることができたのは選手のプレーはもちろん、それを支えた大溝、後藤の両キャディの貢献が多かったからでしょう。

まさに二人三脚。ゴルファー日本一を決める大会で、改めて感じさせられました。

(文/森伊知郎)