1. TOP メニュー
  2. ゴルフギアにお悩み
  3. ピンのオンセット設計パター「ALLY BLUE ONSET」はショートパットに強い! 野村タケオがコースでじっくり試打

ピンのオンセット設計パター「ALLY BLUE ONSET」はショートパットに強い! 野村タケオがコースでじっくり試打

野村タケオのゴルフ実験室

2025/10/08 ゴルフサプリ編集部 野村タケオ

みなさんこんにちは。ゴルフバカイラストレーターの野村タケオです。最近大流行のゼロトルクパター、各社からリリースされていますが、ついにPINGからもそれっぽいパターが発売になります。しかしこれ、どうやらゼロトルクってことではないようです。一体どんな性能のパターとなっているのでしょうか? 早速お借りしてコースに持ち込んで使ってみたのでレポートします。

〈取材・文・写真提供 野村タケオ〉

セミオートマチック感の良さはあれど、使い手の“感覚を奪わない”パター

PINGから発売になるパター、それが「PLD MILLED SE ALLY BLUE ONSET(アリーブルー オンセット)」です。このパターはPLDパターの限定シリー ズ「PLD MILLED SE」シリーズから数量限定で発売となります。

まず特徴としてはパッと見てわかるように、シャフトをフェース面より後方に配置した“オンセット設計”となっていること。これにより、フェース面が自然に見え、ターゲットに対してスクエアに構えやすくなっています。また、シャフト軸をヘッドの重心に近づけることで、ブレード型の操作性を持ちながら、マレット型の安定性も兼ね備えています。

最近の「ゼロトルク」や「トルクレス」と呼ばれるようなパターはヘッドの重心位置にシャフトが装着されているのですが、この「ALLY BLUE ONSET」は重心に近いけれども、重心位置ではないところにシャフトが装着されています。また、他社で多く採用されているように「トゥアップバランス」とはなっておらず、一般的なセンターシャフトパターのようにフェース面が上を向くフェースバランスのようになっています。しかしフェースが真上を向くのではなく、ほんの少しだけトウ側が下がるようになっています。このためPINGのストロークの分類としては、少しだけ弧を描くストロークとなる「セミアーク」というふうになっているんです。この辺りはゼロトルクパターと全く違いますね。

なぜPINGはヘッドの重心位置にシャフトを装着せず、いわゆるゼロトルクパターのようなバランスにしなかったのでしょうか? それはPINGのパターに対する考え方が関係しています。PINGのパター設計において最も重視しているのは、“感覚を奪わないこと”なんです。たとえば、フェースの開閉運動、打音、視覚的な安心感といったフィードバックを小さくしすぎてしまうと、ゴルファーは自分のストロークを再現する手がかりを失ってしまうんですね。ストロークの再現性を高めるためには、プレーヤーが本能的に感じ取れる要素を最大限に活かせるクラブ造りが欠かせないというのがPINGの考え方なんです。

ストローク中にトルクを感じられないと、プレーヤーの感性を奪うことになってしまい、ストロークの再現性が失われてしまうということなんですね。

デザイン的にはグリップからシャフト、ヘッドまでマットブラックでとてもカッコいいです。ヘッドは四角い形状で、フェース面からヘッドの後方まで1本のサイトラインが描かれています。ヘッドのボディは6061アルミニウムで、ソールには304ステンレススチールが装着され、慣性モーメントがアップされています。

フェース面にはしっかりとミーリングが施され、とても高級感のある仕上がりになっていますね。

構えてみると、ヘッドは少し小さめに感じますね。シャフトがオンセットされているので、フェースラインが全て見えて、とてもターゲットに対して構えやすいです。またフェース全体に入った長いサイトラインもとても効いていますね。ヘッド重量は360gあるので、結構手元にずっしりと重さを感じました。

ストロークしてみると、ヘッドの重さもあってかかなりスムーズに動いてくれます。動き方としてはほんの少しだけ弧を描くような感じですが、かなりストレートに近い動き方。ストローク中にヘッドが開くような感覚はありませんが、明かにゼロトルクとは少し違う感覚です。ゼロトルクのぼんやりとしたストローク感ではなく、しっかりとフェース面を感じやすくなっています。このあたりがPINGのこだわっている部分なんでしょうね。

打ってみると打感はとてもいいです。軟らかさも感じますが、しっかりと手に打感が伝わるので距離感も出しやすい。打音も少し乾いたコツっという音で気持ちがいいです。

ラウンドで使ってみたのですが、ショートパットがかなり楽でした。まずフェースの向きがわかりやすいのでターゲットにしっかり向けられるということと、ストロークがスムーズで狙った方向に打ち出しやすいということがとてもいいです。この日はショートパットはかなりの確率で入ってくれました。

ボールの転がりはかなり良く、最初は自分の感覚よりも少し転がったのでオーバー目になることが多かったくらいです。

ミドルパットもとてもいい。やはり転がりがいいという部分と、打ち出し方向の安定性が効いています。かなりオートマチックにストロークできるので、しっかりと目標に対して構えてやれば、自分で余計なことをしなければ構えた方向に転がってくれる感じです。

ロングパットも同じ感覚なのですが、個人的にはヘッドが少し小さく感じてしまいちょっと不安になることがありましたね。フェース長がもう少し長くても良かったかな~と思います。しかしミスヒットにはかなり強い。多少打点がブレてもヘッドがブレることは少なく、そのままの方向にしっかりと転がってくれます。

ガッツリとコースで「PLD MILLED SE ALLY BLUE ONSET」を使ってみましたが、かなりのオートマチックさはありながらも感性を消さないパターだなと思いました。ストロークはスムーズながら、手にはヘッドの挙動がしっかりと伝わってきます。ただそれでフェースの向きが不安定になってしまうようなことはありません。目標に対してもとても構えやすいので、かなり扱いやすいパターだと思いました。これが最近のゼロトルクブームに対するPINGの答えなんでしょうね。ゼロトルクって合わない人も一定数いたりするのですが、それってやっぱりパターからのフィードバックがないことが原因だったりするわけです。そういう人はぜひこの「ALLY BLUE ONSET」を試してみてはいかがでしょうか。

ゴルフバカイラストレーター、野村タケオ。
京都府出身。様々なゴルフ雑誌やウェブサイト等にイラストやイラストコラムを寄稿。
毎週水曜の22時からYouTubeライブで生放送「野村タケオゴルフバカTV!」を放送中。