過去10年を見るとドライバーの進化は目覚ましく、飛距離性能も方向安定性も10年前のモデルと打ち比べれば誰でも機能性の差を実感できるほど進化していると思っています。

それに比べて、アイアンは進化しているものの体感できる機能性の差はドライバーほどではないと思っていました。ところが、25秋のNEWアイアンはほとんどのモデルで進化度合いを実感することができます。

“扱いやすさ”が設計に盛り込まれている

アイアンの設計において「スイートエリアの拡大」と「反発性能の向上」は同時に達成することが可能でした。ヘッドサイズを拡大しフェースは薄くして周辺に重量を配置すればヘッドの慣性モーメントが大きくなって「スイートエリア」を拡大できます。これと同時に、フェースに高強度素材を薄肉化して使用すれば、フェースのたわみが大きくなり「反発性能」も同時に向上することができます。

ところが、ヘッドサイズが大きくなると、ヘッドの操作性とヘッドの抜けが阻害されるというデメリットがあります。25秋のNEWアイアンはこの二律背反をクリアーする設計を持ったモデルが多くなっています。

例を挙げると「RMX DD-1(ヤマハ)」「XフォージドMAX(キャロウェイ)」「i240(ピン)」は、ヘッドサイズの拡大は抑えつつ、構造や異素材複合で慣性モーメントの拡大や反発性能を向上させています。

ドライバーではヘッドサイズを拡大しても、ティアップしたボールを打つので芝との抵抗は問題になりませんが、アイアンには“抜け”の良さが求められます。これと同時により制度の高いショットが求められるので、目標に対してスクエアにヒットしやすいとか、意図的に弾道をコントロールするためにヘッドの操作性が求められます。

アイアンでヘッドサイズが大きいということは“抜け”と“操作性”が悪化することにつながります。既存の技術でヘッドサイズの拡大は抑えつつ、慣性モーメントと反発性能を上げることは可能でしたが、これまでは「やさしさと飛距離重視」または「操作性と抜け重視」といったように、モデルで特性を分けるような設計がなされていました。25秋モデルではすべてを備える設計がなされるようになっています。

ヘッドサイズと同時に、ソールの形状も“抜けの良さ”を意図して、リーディングエッジ側とトレーリングエッジ側の面取りや、V字ソールが採用されています。ここでも、芝の上のボールを打つアイアンに求められる機能性が見直されていることがわかります。

グリーンを狙う機能も設計に 取り入れられるようになって来た

操作性やヘッドの抜けの他にグリーンに止まる機能を取り入れたモデルも登場しています。近年、ボールの低スピン化が進むと同時に、アイアンも飛距離を重視した設計やストロングロフト化が流行っていました。確かに、ラクに飛距離が出るのですが、グリーンに止まりにくくなるデメリットも顕在化してきました。

そもそも、アイアンはグリーンを狙うためのクラブですから、飛ぶけれど止まらないのでは本末転倒と言うことで「T250*ロンチスペック(タイトリスト)」はハイロフト化してグリーンに止まりやすい高弾道設計としながらフェースの反発性能で飛距離を確保する設計。

「XフォージドMAX STAR(キャロウェイ)」は、スイートエリアを上下に拡大しながら、重心位置は少し高めに設定することで安定したスピンが得られる設計。「オノフ フォージドアイアンKURO」は、ヘッドサイズは小さ目にしたうえで、さらに、バックフェースのウェイトの向きを変えることで重心長さが変えられ、ヘッドの操作性をカスタマイズできる設計。

と言ったように、止まりやすさや操作性など、アイアンとしての本来の機能に立ち返った設計が25秋のNEWアイアンに盛り込まれています。アイアンの買い替えを考えているなら、今秋が買い時です。


文/大塚賢二(ゴルフギアライター)
1961年生まれ。大手ゴルフクラブメーカーに20年間勤務。商品企画、宣伝販促、広報、プロ担当を歴任。独立後はギアライターとして数多くのギアに関する記事を執筆。有名シャフトメーカーのシャフトフィッターとしての経験も持つ。パーシモンヘッド時代からギアを見続け、クラブの開発から設計、製造に関する知識をも有するギアのスペシャリスト。