ドライバーからパターまで それぞれの番手の目的に応じて細かく調整

PGAツアーの選手のクラブセッティングを見ることができるのは日本のメディアにとって貴重な機会です。

優勝を決めた直後、シャウフェレのバッグを見せてもらうとまずはドライバー「Ai SMOトリプルダイヤモンド」(キャロウェイ)はソールの錘を前方が8グラム。後ろは9グラムになっていました。

これは高さを抑えることが目的なのだそうです。

身長178センチとPGAツアーでは大柄ではないシャウフェレですが、スタッツを見るとヘッドスピードは時速122.14マイル。秒速に換算すると約54.2メートルになり、ツアー全体で14位に入っています。

ロフト10.5度のドライバーを錘の重量調整で高さを抑える

一方でドライバーのロフトは10.5度のモノを使っています。
キャリーは稼ぎたいけど、高く上がりすぎると飛距離のロスになってしまう。
そのバランスを見極めた上で、この絶妙な重量バランスになっています。

グリップはフルショットするかしないかで別のモデルに

またグリップはドライバーからアイアン(APEX TCB=キャロウェイ)の9番アイアンまでがゴルフプライドの「MCCプラス4  ALIGN MAX」。

PWに相当する、同じモデルのアイアンの10番と3本のウェッジは「MCC」となっていました。

これは、長いクラブはある程度飛距離を出すためにしっかり握りますから、バックラインの付いたモデルに。

一方で短いクラブは、フェースを開いたりすることがあるので、グリップの向きは一定ではありません。
そのためバックラインのないモデルにしています。

シャウフェレはその“境界線”がアイアンの9番と10番になっていて、番手の目的によって挿すグリップも明確に変えていました。

パターのグリップエンドには10グラムの錘が

パターはオデッセイの「トゥーロン LAS VEGAS」。
すでに生産終了となっているモデルでグリップやソールからはかなり使い込んだ様子がうかがえます。

そのグリップエンドを見ると、10グラムの錘が埋め込まれていました。

実はシャウフェレのパッティング部門のスタッツは軒並み100位台とウィークポイントになっているだけに、バランスを整えることによって、ストロークのしやすさを向上させているようです。

18番グリーンの痺れる場面も、確実にツーパットで勝利を決める

この日は18番ホールで、2打差で追っていたマックス・グレイセマンが2打目を30センチにつけるスーパーショットで「お先」のバーディとして1打差にします。

シャウフェレはピン左から約10メートルのバーディパット。
これを万が一スリーパットしたら並ばれてしまう痺れる状況も、きっちり50センチに寄せてパーセーブで勝利をものにしました。

スタッツは良くなくても、ここ一番のパットを決められるのは、細部にこだわった調整のおかげでしょう。

コロナ禍の東京オリンピックは無観客開催での金メダル 家族で祝杯!

コロナ禍の2021年に行われた東京オリンピックは金メダルを獲得したものの、無観客での開催でした。

それが今回は日本で暮らす祖父母などと一緒に勝利を祝うことができるとあって「少しお酒を飲みながらお祝いすると思います。今回の優勝を家族と分かち合えるのは本当に特別なことです」と喜びもひとしおの様子です。

4年前には叶わなかった、日本での勝利の美酒の味は、さぞかし格別なものでしょう。

(取材・文・写真/森伊知郎)