応急処置スイングは“効きすぎ”が危険。上手く当たった時がやめ時です!
今野一哉の『ゴルフあるある』解決ディスカッション【28】
例えばラウンド中、急に球がつかまらなくなった――そんなとき「つかまえる動きを強くしてみよう」と、その場でスイングの調整を試みるゴルファーは多いはず。一時的には上手くいっても、やがて違和感が出て「さっきまで良かったのに……今度はチーピンか……」と混乱することもしばしば。
そこで今回は蝶ネクタイを締めた今野一哉プロコーチに、“ラウンド中に突然スイングをいじることのリスク”と“正しい対処法”を聞きました。
応急処置スイングは“劇薬”。効きすぎる前にやめる勇気を
サプリ ラウンド中、「球がつかまらないな」と思ったときに、ふと「フェースをもう少し返してみよう」など、ちょっとつかまえる動きを入れてみたら良くなった――そんな経験、ありますよね。でも、最初の数球は上手くいくんですが、続けているうちに引っかけが出たり、「あれ? さっきまで良かったのに」となる。あの現象って、いったい何が起こっているんですか?
今野 簡単に言うと、“醤油をかけたら美味しかったから、もっとかけたらしょっぱくなった”という話です(笑)。つまり、最初の調整は確かに効いたけど、続けすぎたことで過剰反応が出ているんですね。
サプリ なるほど、わかりやすい(笑)。では、過剰反応が出てしまうのを避ける、タイミングはどのあたりなんでしょう?
今野 ナイスショットが出たときです。もうその時点で“醤油をかける”のを止めるべきなんです。3球目くらいで「これはいいぞ」と思った頃には、すでにやりすぎの入り口にいます。つまり、ラウンド中の調整は効果が出たらすぐやめるのが鉄則なんです。
サプリ なるほど。では、上手くいったら、普段のスイングに戻すというか、何も考えずにスイングするのが理想なんですね。
今野 そうです。ラウンド中に調整を入れるのは“応急処置”にすぎません。応急処置が効くということは、すでに症状が重いということ。たとえるなら痛み止めを打って無理にプレーしているような状態です。だから効き目が出たら、そのまま飲み続けるのではなく、「痛みが引いた=症状が改善してきた」と捉えてストップしなければいけません。
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「ナイスショット」は再現できない。 無意識で打てる状態が本当の“安定スイング”
サプリ ラウンド中にたまたま上手くいった動きを、後日「良かったから練習で取り入れよう」と思うことがあります。これはアリですか?
今野 練習で試すのはOKです。ただ、そのときに「なぜ良かったのか」「どういう副作用があるのか」をちゃんと観察することが大事です。どれくらいその動きを入れれば、どんな弾道になるのかを知ることはとても良いことです。やりすぎると偏りが出て、スイング全体のバランスが崩れます。
そしてナイスショットのときって、実は何もしていないんですよ。何も意識していない、無意識の中で自然に打てているのがナイスショット。本当の上達とは、意識を手放しても良いスイングができる状態を作ることなんです。
サプリ 確かに、ナイスショットしたときって「今、どうやって振ったんだろう」って思うことがあります。
今野 日本初のプロゴルファー、福井覚治(ふくい・かくじ)さんの「ゴルフの究極は“歩くように打つ”こと」という言葉があるのですが、本当にその通りだと思います。
僕もよくレッスンで「湯豆腐の豆腐を箸でつかむときに、加える力や箸を入れていく角度を意識しませんよね? 特に意識せず箸を豆腐に伸ばしているはずです」と生徒さんに話しています。スイングも自然に、無意識にできるようになることが理想です。
練習の中で意識して作った動きは、最終的には無意識に溶け込ませる。それが目指すべきゴールなんだと思っています。
サプリ だから、ラウンド中にスイングに変化を加えて良くなったとしても、その「変化を加えよう」という意識も動きも忘れるべきなのですね。
今野 意識した動きは、どこかぎこちなくなります。自然なスイングではないんですよね。
サプリ 私のスイングがぎこちないのは、いろんなことを意識しながらスイングしているからだったんですね……
今野 ツアープロだってシングルゴルファーだって、みんなどこかぎこちないんですよ。だから、練習するんです。
今野一哉(こんの・かずや)
JGTOツアープレーヤー。18GOLFプロデュース / キッズゴルフ代表。アマチュアゴルファーの指導やジュニアゴルファーの育成に力を注ぎながら、各ゴルフメディアで活躍中。蝶ネクタイスタイルはゴルファーへ「サービスし、尽くす」と言う意味を表す。
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