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朝の練習場では絶好調! なのにスタートホールでチョロはなぜ起こる?

今野一哉の『ゴルフあるある』解決ディスカッション【29】

2025/11/01 ゴルフサプリ編集部

朝の練習場でドライバーが芯を食いまくり、「今日はイケる!」と思った矢先、スタートホールでチョロ…。「なぜ!?」と頭を抱えた経験を持つゴルファーは多いはず。
今回は、そんな“朝の練習場では好調なのに本番で崩れる”現象について、蝶ネクタイを締めたプロコーチ・今野一哉とともに考えた。ゴルファー誰もが経験する「調子の波」の正体と、朝の練習で気をつけるべきポイントとは?

朝の練習でナイスショット連発!でも本番で崩れるのはなぜ?

サプリ ゴルフ場に着いたらまず練習場へ行って体を温めたり、球筋を確認したりしますよね。その日のスイングの調子を見て「今日いい感じ!」なんて思っていると、スタートホールでいきなりチョロやチーピン…これどうしてなんのですか?
今野 あ〜、あるあるですよね(笑)。正直言うと、僕もその“メカニズム”をすべて解明できているわけじゃないんですけど、確かにそういうことは起きやすい。
ショットだけでなく、パター練習でも同じことがあります。練習グリーンでは何本も連続でカップインして「今日イケるぞ!」って思うと、本番でまったく入らない。これはもう、ゴルファー共通の現象だと思います。
サプリ 不思議ですよね。朝の練習で良かったら、普通は“今日はこの調子で行ける”って思いますよね。
今野 でも実際は逆なんですよね。プロゴルファーの中でも、朝の練習で“完璧”なショットを打とうとする人は少ないです。
なぜなら、練習場で「調子がいい」と思った時点で、その後に崩れるリスクが高まるからです。
彼らは「練習場は調整の場」と割り切っていて、完璧な当たりを求めていない。朝の練習はあくまで“体を温めるためのウォームアップ”。たとえば、「今日は80%の力感で100ヤード飛ぶな」とか、「右に出るな」といった“自分の感覚のすり合わせ”だけをしているんです。
サプリ なるほど。だから、ナイスショット連発して喜ぶのは、むしろ危険信号なんですね(笑)。
今野 そうなんですよ。練習場で「今日は完璧!」と思った時ほど、ラウンドでは右へ、左へ、チョロまで出てしまう。
ゴルフって、調子が良いと思った瞬間に心のバランスが崩れるスポーツなんです。“自分を過信してしまう”というか。
だから僕自身も、朝の練習では“調子を確認しない”と決めています。ウォーミングアップの延長で、体をほぐすだけ。そして「これでスタートしてみよう」と軽く構える。そのくらいがちょうどいいんです。

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サプリ 確かに、「朝から飛ばしちゃうぞ!」なんて思う日は、だいたい空回りてます。
今野 そうなんです。あれは“期待値の呪い”ですね。練習場でたまたま出たナイスショットは、期待してなかったからこそ出ただけ。
でもそれを「今日はずっとこんな感じだろう」と思ってしまうと、ハードルが上がって、少しのズレでも「なんで!?」と動揺してしまう。よく「練習しまくった日に限ってスコアが悪い」「練習サボった日に限ってなぜか良かった」という経験、ありませんか? あれも同じ理屈です。練習で期待を上げすぎて、本番で気持ちの余裕がなくなってしまうんです。
サプリ ありますね。逆に「今日は寝坊して練習できなかった」くらいの方が、なぜか気楽に打ててフェアウェイをとらえたり(笑)。
今野 そうそう! ゼロベースでスタートできると、余計な情報が入ってないぶん感覚的にプレーできる。
僕なんかもそうで、練習をほとんどしないでティーグラウンドに立つ方が、むしろショットが素直に出るんです。
「まずはフェアウェイに置ければOK」くらいの気持ちで打っていくと、3ホール目、4ホール目あたりで自然と体もリズムも合ってくる。そういう“徐々に温まるペース”が一番安定しますね。

練習場とコースでは「景色」が違う! 感覚がズレる理由

今野 あと、あまり語られないんですが、練習場とコースの最大の違いは“ロケーション”なんです。
練習場の景色とコースの景色はまったく違う。
それだけで感覚が変わって、スイングのリズムやアドレスの角度も微妙にズレるんですよ。

たとえば練習場は打席が平らで、目の前にネットや的が見える。でもコースでは風が吹き、芝の傾斜があり、背景の木々が見える。
この“視覚情報の違い”が、実はスイングに大きく影響しているんです。

昔から“景色負け”って言葉がありますけど、まさにそれ。
景色に圧倒されて感覚が変わり、結果的にショットも変わってしまう。
練習場で「完璧だったのに本番で違和感」というのは、ほとんどがこのパターンです。

サプリ なるほど…。たしかに、打席とフェアウェイでは全然感覚が違いますもんね。

今野 だから、朝の練習でナイスショットが連発しても、「これは練習場の景色だから出せたショット」と頭の片隅に置いておくといい。
そうすれば、スタートホールで“違和感”を感じても焦らずに済みます。

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練習は「ほどほど」、気持ちは「ニュートラル」で

サプリ つまり、朝練の目的は“ショット確認”ではなく“体慣らし”。良くても悪くても、あまり気にしないってことですね。
今野 そうです。練習の目的は体を動かして、温めて、呼吸を整えること。ショットの結果を評価しようとすると、余計なプレッシャーがかかる。「今日もまぁこんなもんだな」ぐらいに思っておけば、それが最も安定します。
サプリ なるほど。じゃあ朝だけでなく、前半スコアが悪くても、「後半は巻き返すぞ!」なんて気負わないほうがいいんですね。
今野 はい。昼食後、体が重くても「3ホールくらいはウォームアップ」くらいの気持ちでいい。
ちょっとランチで飲んだお酒が残ってるぐらいでふわっとやってる方が、案外リズムが合うんですよ(笑)。
結局、ゴルフって“がんばらない”方がうまくいくスポーツなんです。「朝練で完璧」も、「今日は飛ばすぞ」も、どちらも力みのもと。むしろ“ほどほど”にと考えてプレーしていたほうが、スコアにつながったりするんです。

今野一哉(こんの・かずや)
JGTOツアープレーヤー。18GOLFプロデュース / キッズゴルフ代表。アマチュアゴルファーの指導やジュニアゴルファーの育成に力を注ぎながら、各ゴルフメディアで活躍中。蝶ネクタイスタイルはゴルファーへ「サービスし、尽くす」と言う意味を表す。


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