実はアウトサイド・インじゃなかった!? 河本結、強さの源は“ドローヒッター的フェード”
一流プロのドライバーのマネどころ
昨年、5年振りの復活優勝を挙げた河本結。今シーズンはさらに飛躍して、年間2勝、メルセデス・ランキング3位とプロ入り以来最高の成績を残している。河本の強さについて抜群の安定感を誇るドライバーショットから分析してみた。
GOLF TODAY本誌 No.642 10~13ぺージより
フェードヒッターなのにインから下ろす!だから球が強い
スピン量を抑えたフェードボールで完全復活!
河本選手は2018年にステップ・アップツアーの賞金女王になったときから、典型的なフェードヒッターでした。2020年以降は苦しいシーズンもありましたが、2024シーズンから河本選手らしい方向性と飛距離を両立した飛ばせるフェードが完全復活しました。
河本選手のフェードは同じツアーで戦っている現役選手も憧れるくらい理想的なフェードです。特徴としてはフェードボールなのにこすり球ではなくて、しっかりボールをつかまえて強いボールが打てること。
なぜ、ボールをつかまえることができるのか? それは河本選手がインサイドからヘッドを下ろしているからです。通常、フェードヒッターはアウトサイド・インのカット軌道でフェードボールを打っています。しかし、河本選手はバックスイングに対して、ダウンスイングがインサイド方向から下りてきて、ドローヒッターのようなスイングになっています。インから下ろすことによってボールをつかまえることができて、フェードヒッターの弱点でもあるスピン量が増えすぎる打球になっていません。インサイドから下ろしてフェースを返す動きを抑えてインパクトすることでフェードを打っています。
スライスに悩んでいるアマチュアゴルファーに参考にしてほしいのは河本選手の足元の動きです。河本選手はダウンスイングで右足のカカトを浮かせてツマ先立ちになっています。このタイミングでツマ先立ちになっていれば、体が起き上げてカット軌道になることはありません。スライサーは右ヒザが前に出てしまうことで上半身が突っ込んでしまいがち。それを抑えるのに右足をツマ先立ちにする動きは最適です。
アウトサイドから上げて、インサイドループに
約45度の角度からヘッドを入れる
姿勢をキープすることに力を使っている左腕の脱力と右腰の高さでツアーNo.1の美スイングに!
右腰が低くなるとダフリのミスがでる
試合中でも河本選手のスイングは余計な力みが一切ないので、美しく見えます。特に脱力感があるのは左腕です。バックスイングで左腕を伸ばしているときでもガチガチに腕を張っている感じはなく、トップでは左腕が弓のようにしなっています(写真05)。ダウンスイングでは左腕のしなりを戻しながらヘッドを下ろしているので上半身に無駄な力が入っていません。クラブをムチのように使っているスイングです。左足を踏み込んでいくタイミングが速くて、ハーフウェイバックではすでに左足に圧力をかけています。それも腕をしならせる重要ポイントです。
もう一つ、美しく見える理由はスイング中の姿勢が変わっていないこと。河本選手はテークバックでも左右方向への軸ブレが小さくて、ダウンスイングでも軸が前後方向、左右方向にまったく傾いていません。腕は脱力させていますが、姿勢を維持するにはかなりのパワーを使っています。ダウンスイングで軸が傾かないのは右腰が高い位置をキープできているからです。ダフリ癖のあるアマチュアゴルファーは右腰が低くなって、アッパー軌道になっている可能性が高い。そんなタイプこそ河本選手の右腰のポジションを意識してください。
上半身が深く捻転している
トップでは右足の角度を変えることなく上半身がしっかり回転しているので、スエーではなく捻転ができている。
腰が水平だからあおり打ちにならない
頭の位置が変わることなく、腰も地面と平行な角度をキープすることによって、安定した入射角でボールを叩ける。
上腕が体にピッタリ密着
インパクトした瞬間は両ワキが締まっていて、両腕が密着していることで体のパワーがボールにつたわる。
両足ともツマ先立ちになっている
フォローでは両足ともツマ先立ちになるくらい上半身がスピーディに回って、ヘッドを走らせている。
河本結
かわもと・ゆい/1998年8月29日生まれ。愛媛県出身。163cm。2018年のプロテストに合格して、同年ステップ・アップツアーで4勝を挙げた。2019年はレギュラーツアーで初優勝し、2020年は米国ツアーに挑戦。2024年に5年振りの復活優勝を挙げると、2025年も2勝をマーク。
解説:石井 忍
1974年8月27日生まれ。98年にプロ転向し、現在はツアープロからジュニアゴルファーまで幅広く指導。自身が主宰する「エースゴルフクラブ」を千葉、神保町に展開する。
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