「僕は非力だからR」では間違い!! クラブスペックを選ぶ際の検討すべき範囲とは?
【ダグ三瓶・クラブ選びの超知識】
2. シャフトの重さ
シャフトの重量も同様です。
やはり、加齢とともに軽くしたいという気持ちが強く出てしまい、どうしても自身が考えている物よりも軽めを選びがちです。
これまでに書かせていただいたように、軽いシャフトはかえって、振った時に重く感じるというのもあります。
その結果、軽くしたのに振りにくい、当てにくいということで、調子を崩す方をこれまでもたくさん見てきました。
適正なシャフト重量というのは、腕力や体幹の強さなどが影響してきますので、本当に人それぞれです。
ですが、加齢とともに衰えやすい部分は、腕力なので、ついつい、持った時に軽いもの選びがちになります。
ですが、普通に生活している限り、また、歩いてゴルフに行っている限り、体の力というのはそんなに急激に衰えたりしませんので、その力を効率よく発揮できる重さを維持することを目指してみましょう。
その重さというのが、皆さんが考えているよりずっと重いものになりやすいです。
先日来、続いている事象として、90gくらいのアイアンシャフトの方がいらっしゃって、シャフトのテストをしていく際に、重さを100gからはじめて130gくらいまで打っていただくというのをやりました。
その際に、ブラインドで、これは何グラムのシャフトですよ! と伝えずに試打していただきました。
敏感な方は渡した瞬間に重さを感じている方もいらっしゃいましたが、総じて、振ると、軽い!ということになり、何人かは、125gくらいのシャフトを渡したときに、これが一番軽い!というコメントを仰っていただきました。
一聞するとそんなはずは? という感じに考えられる方がいらっしゃいますが、腕力に頼った振り方をすると、シャフトが重くなればなるほど、重く感じます。
ところが、体の力が入る重量にすると、その力は腕力よりもはるかに大きい力になりますから、その力を発揮してクラブを振ると、軽い、と感じることになります。
重さで使う筋肉が反応する
例えば、練習場にあるボールが50球くらい入ったかごを想像してください。
そこから、ボール1個取ってください、とお願いされたら、手を使ってひょいっと取りますよね?
ですが、その手だけで、そのかごを持ち上げてくださいと言ったら、重くて動かせないと思います。
もし、最初からかごごとこちらにもってきてくださいと言ったら、腰を入れてしっかりと持ち上げることになりますから、そうなると、そんなに重く感じないと思います。
つまり、人間というのは、その動かそうとする対象物の重さから、使う筋肉を自動的に変えて対応しようとします。
これをゴルフクラブに置き換えると、持った時に軽いな~と感じる重量にしてしまうと、小手先だけでクラブを振ろうとしてしまします。
ですが、実際に振ってみるとシャフトの先についているヘッドが重く感じるため、力負けしてしまい、ダフったり、振り遅れしたりするということになります。
ですが、持った時に、軽くない程度のものを持つと、最初から体を使おうとしてクラブを振り上げますので、結果として重くない、もしくはかえって軽く感じるという現象になるわけです。
実際に当方のフィッティングに来られた方では、成人男性で65歳くらいまでの方で、ドライバーのシャフト重量が50gやそれ以下の重量になる方はまれで、60g以上になる方がほとんどいってもいいくらいです。
次に挙げる長さの影響が大きいですが、70g、80gくらいまでのシャフトも試してみることをお勧めいたします。
よく、重いとラウンドの後半で疲れるというかたもいらっしゃいますが、これは重いから疲れるのではなく、合っていないスペックを使い続けることで、疲れるということが多いです。
つまりは、重さだけではなく、クラブスペック(シャフトの種類も含む)が合っていないから、合わせることをやり続けることでラウンド後半に疲労する、と考えています。
3.クラブの長さ
こちらは、自身が打てる長さの限界よりも長くしがちな方が多いと考えています。
やはり、長さは飛距離に直結するので、どうしても長くしたがります。
特にドライバーで、今どきですと、45インチ以下にすることに抵抗する方が多いでです。
ですが、こちらも以前から繰り返し述べていますように、170㎝くらいの身長の方にはコントロールできる長さを超えています。
おそらく43~43.5インチくらいが限度でしょう。
また、これは技量にもよります。
単純に長いクラブほど当てにくくなりますので、練習量の少ないアマチュアの方にとって、長尺クラブ=即難しいクラブとなりがちです。
一発の飛びもゴルフの楽しい要素の一つですが、ここはスコアメイクという観点から考えれば、やはり長すぎるクラブは入れない方が良いでしょう。
4.ロフト角
長さに伴って、考慮しなければならないのがロフト角です。
とくに、ドライバーを短くすることを推奨しましたので、ロフト角が足りない方が増えていきます。
こちらも、ドライバーのロフト角に関しては以前に書かせていただきましたので、ご参照いただけると嬉しいです。
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簡単に振り返りますと、こちらも自身が思っているよりも寝ているロフト角の方が結果が良い方が多いです。
例えば、自身では9.5度くらいかな~と考えている方も、10.5度やそれ以上のロフトを試してみることをお勧めいたします。
5.スイングウエイト
もしかしたら、これが一番難しい選択かもしれません。
皆さんの中には、なかなか、Dバランスから大きく外れたものを試したがらない傾向があります。
こちらも繰り返しになってしまいますが、現在売られているクラブは、かなり多様化していることから、単純にスイングウエイトだけでクラブを比較するのが難しくなっています。
簡単に振り返れば、シャフト重量120gのD0と、シャフト重量50gのD0は全く違うフィーリングになるということです。
これは、適正スイングウエイトを考えるのではなく、スイングウエイトのリミットを外してほしいという内容になります。
何が申しあげたいかというと、D0が重いから、C9やC8を試すのではなく、Cの前半や、Bバランスになっても気にせず試してみるということをお勧めしてほしいということです。
また、その際に、たいていの方が、重すぎるスイングウエイトよりも軽いスイングウエイトの方が結果が良い方がはるかに多いということです。
当方のこれまでのフィッティングでも、ドライバーに悩んでいる方ほど、Cバランスの前半くらいにしていった方がよい結果になる方が多数だということを付け加えさせていただきます。
まとめますと
① シャフトのフレックス
S以上の硬いX、TXも試してみる
② シャフト重量
自信が思っているよりも重いスペック。ドライバーでは60g以上70gや80gも試してみる、アイアンなら100g以上130gくらいまで打ってみる
③ クラブ長さ
長すぎるものに注意。今より1インチ以上短いものも打ってみましょう。
その際にスイングウエイトは気にせずに。
アイアンでも1インチ以上短いものもありです!
短く持って試すのもありです!
④ ロフト角
寝ているものも試す
12度(それ以上)くらいでも良い方がたくさんいます!
⑤ スイングウエイト
軽いものも幅広く試す。
Bバランスになっても気にせずに!
以上になります。ご参考まで!
ダグ・三瓶(だぐ・みかめ) ブリヂストンスポーツ、アクシネット ジャパン インクと日米2つの大手メーカーに所属。その中でクラブ開発、ツアー担当、マーケティング、フィッティングなどを担当。ツアーレップ時代にはあのボブ・ボーケイ氏に日本で唯一の弟子と認められていた。現在、フリーとなり迷い多きアマチュアゴルファーにアドバイスを送ってくれることとなった。