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リコーカップ優勝の鈴木愛が使うパターはレディス用だった!
日本女子ツアーの2025年シーズン最終戦「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」最終日(30日、宮崎CC)は首位タイからスタートした鈴木愛が通算9アンダーで並んだ岩井千怜とのプレーオフを制して優勝した。8月の「ニトリ」に続く今シーズン2勝目。通算22勝目は9月の「ミヤギテレビ杯」から5戦連続で予選落ちした大スランプが間にあった。そこから復活を遂げた原動力はレディス用パターにあった。
「勝った」よりも「やっと終わった」
プレーオフの2ホール目。80センチのパーパットを沈めて勝利を決めた瞬間の鈴木は「やっと終わった、が一番に来て、その後に優勝できて良かったという感じでした」。
今シーズンは8月の「ニトリレディス」でツアー通算21勝目を挙げたものの、9月の「ミヤギテレビ杯」」からは5戦連続の予選落ちを経験しました。
6戦目の「TOTOジャパンクラシック」で5位になったものの、これは予選カットのない試合。次の「伊藤園レディス」ではまたも予選落ちしてしまいます。
「体はどこも痛くないのに予選落ちが続いて…気持ちが上向きになれないというか、諦めモードでやっていました」という大スランプを救ったのは“最終兵器”ともいえるピンのレディス用パター「G Le2 ECHO」でした。
5戦連続予選落ち 大スランプを救ったのはレディス用パターだった
2019年の「ニトリ」でも投入。いきなり優勝に貢献したパターについて鈴木は「自分の持っている中でダントツに優しいもの」と説明します。
6年前はパッティングが不調でメンズ、レディス用問わず10種類を超えるモデルをテストして選んだのがこの「G Le2 ECHO」でした。
パターは「その時々のフィーリングに合わせて何を使うか決めています」と言う鈴木が、このパターをその後使ったのは「1回か2回ぐらいだと思います」。
その理由は「これを使うと、他のパターが全て難しく感じてしまうから」。
いわば“最終兵器”ともいうパターを久しぶりに投入したのは5連続予選落ちの4戦目だった「富士通レディース」でした。
アドレスでトウが浮く問題点をパターで修正
鈴木はパッティングの調子が悪くなるとアドレスでボールが体から離れてしまい、さらにハンドダウンになってトウ側が浮いた状態になるのだそうです。
さらに軌道もアークがキツくなるので、主に使っているアンサーだと、タイミングが合うのが1点だけになり、誤差がほとんど許されなくなってしまいます。
それでも平均パット数がラウンドあたりで1位。パーオンしたホールでも3位のパット巧者がゆえに何とかしてしまう。
その結果として、過去最大ともいえる“深み”にハマってしまったようです。
ネオマレット型の「G Le2 ECHO」はソールが平らで広いので、アドレスでトーが浮いてしまうとすぐに気づきます。
またアークがキツい軌道でのストロークもやりにくくなります。
それでも「富士通」から使い始めてもすぐに結果が出なかったこと。
今大会まで6試合も使い続けたのは、それだけ症状が深刻だったのでしょう。
パット巧者で知られる鈴木ですが、連続予選落ち中は毎試合どこかで30パットしてしまっていました。
それが今週は初日の23など、一度もなし。
そして優勝という最高の結果に繋げました。
アメリカ組に勝ったのは「すごく自信になる」
今大会にはプレーオフで戦った岩井千怜を始め、双子の姉の明愛(16位)。
古江彩佳(3位)、畑岡奈紗(6位)、吉田優利(17位)、勝みなみ(25位)のアメリカLPGAツアー勢が参戦しました。
そのため「私の順位が下がってしまうやん」と冗談交じりに話していましたが、全員を上回っての優勝に「すごく自信になります」と言います。
35歳までに永久シードが目標 タイムリミットは4年
5月に31歳になった鈴木は、30歳になった時に35歳までに30勝して永久シードを獲得すること」を目標に定めました。
そのためには年2勝のペースが必要なので「今週勝てたのはすごく大きいです」と、1勝で終わらずに最終戦で2勝目を挙げることができたことの意義を説明しました。
「ジャンボさんに少しでも近づけるように」
さらにもうひとつの目標が「ジャンボさんに少しでも近づけるように」と、出身地徳島の偉大な先輩ゴルファー、尾崎将司の名前を挙げました。
永久シードとジャンボ尾崎。
壮大な目標を掲げる鈴木の最終兵器は、意外なものでした。
(取材・文・写真/森伊知郎)
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