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プレーオフ惜敗も、岩井千怜が見せた闘うマインドは選手の意識改革につながるはず

【日本女子ツアー最終戦「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」】

2025/12/02 ゴルフサプリ編集部

日本女子ツアーの2025年シーズン最終戦「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」は鈴木愛が岩井千怜とのプレーオフを制して優勝した。勝負を決めたホールでは千怜がアメリカ仕込みともいえる“闘う姿勢”を披露。これは他の選手の今後の意識改革につながるはずだ。(写真は2025年「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」撮影/Getty Images)

2025年の最難関パー4で千怜は攻めの姿勢を貫いた

通算9アンダーで並んだ鈴木と千怜のプレーオフの舞台となったのは18番パー4でした。

1ホール目は二人ともパー。2ホール目は千怜がティショットを左に引っかけて木に当ててしまいます。

運良くフェアウェイに出てきたものの、ピンまでは243ヤードが残ります。

このホールの4日間の平均スコアは4.3938で、パー4としては2025年シーズンで最も難易度が高くなりました。

優勝者など40人しか出られないエリート大会なので、大叩きで予選落ちした選手が平均スコアを挙げることもありません。

それにもかかわらず4日間通算のバーディはわずか11個で、ボギー以上は6倍の66個が出ました。

そのホールを鈴木は「自分はバーディ狙いにいけるホールじゃない。今季強くパーを狙って(千怜に)バーディを取られたら仕方ない」という気持でプレーしていました。

レイアウトもフロントエッジまで30ヤード地点で一度フェアウェイが途切れ、グリーンに大きく打ち上げるホールだけに、千怜としては2打目で無理に狙わず、手前に一度刻んでパーを取りに行く選択肢もあったように思えます。

ところが、そのことを聞くと千怜はきっぱり「ここで刻んでいたら、諦めたと同じだと思うので」と言い切りました。

刻むのは、諦めること

これがアメリカLPGAツアーで戦う選手のマインドなのでしょう。

木は邪魔ではないし、距離的には届く。

もちろん乗る確率は低いでしょうが、狙えるのに狙わない選択肢は、ない。

それをしたら、勝つのを諦めたと思われてしまう、というのがアメリカで優勝という結果も出した選手の発想でした。

一般的な発想だと、ティショットをミスしたのだから刻んで全力でパーを取りにいって、相手がバーディなら仕方ない、となりそうです。

それが、刻んだ時点でほぼ負けを認めたことになる、というのは考え方に大きな違いがあります。

今大会は出場選手全員が表彰式に出るので、全員がこのシーンを見ていたはず。

この千怜の姿勢は、日本ツアーで戦っている選手。特にこれからアメリカをめざす選手のマインドにも必ずやプラスの影響を与えて、より激しい競争を生むことにつながるでしょう。

ボギーでプレーオフに敗れるも「悔いはない」

結果は、つかまりが強かった2打目はグリーン左手前のラフに止まり、そこからのアプローチはグリーンオーバーしてボギー。パーで切り抜けた鈴木に敗れることになりましたが「悔いはありません」。

この時千怜が戦っていた相手は、目の前の鈴木だけでなく、2勝目を狙う来シーズンLPGAツアーで優勝を争いことになるライバルのことも想定していたのではないでしょうか。

3月6日に「ダイキンオーキッド」で開幕した2025年シーズン最終戦の最後のホールでのひとつのショット。

それも敗者のものですが、これを見てその意味を感じ取った他の選手にとっては、オフの取り組みや、来シーズンのプレーに多大な影響を与えることになるでしょう。

ともすれば、ティショットのミスを挽回しようとして強引にグリーンを狙い、失敗してボギーにつながってしまったショットにも見えます。

とんでもありません。
選手たちの意識改革につながる、大きな意味を持つ1打だったのです。

(取材・文/森伊知郎)

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