飛距離の数値だけ見てない? クラブ選びが劇的に変わる“計測器との付き合い方”
ゴルフライターT島が切り込む!フィッティングショップだから分かるゴルフギア最新事情/第220回
弾道計測器が低価格化し、誰でもスイングデータを取れる時代。しかし「数字だけを追う練習」はむしろ遠回りになることもあります。今回は、ゴルフギアライターT島氏と大蔵ゴルフスタジオのクラブフィッター野倉氏が、“計測器の正しい選び方”“データとの付き合い方”を語りながら、アマチュアが本当に上達するための視点を分かりやすく解説します。
計測器は10万円で“十分すぎる時代”に
野倉 T島さんのブログを拝見していると、弾道計測器もよくテストされていますよね。最近はかなり低価格になってきているようですが? お客様にも聞かれることがあるので気になっています。
T島 そうですね。昔は“飛距離の三要素”といわれる「ボール初速」「打ち出し角」「スピン量」が計測できるだけで、100万円近くしていたんですよ。今は10万円も出せば、最高級計測器とほぼ同じ項目が測れるモデルが手に入ります。
野倉 自分で購入しようかな? というお客様も増えてきました。
T島 私の友人で、元酒屋だった人がいるんですが、使っていない店舗スペースを活用して、手軽な計測器を購入し、シミュレーションゴルフ的な環境を自作したんです。練習したり、ラウンドシミュレーションを楽しんだりしているみたいですよ。
野倉 すごいですね! でも、かなりお値段しそうです。
T島 いろいろ工夫して40万円くらいで作れたそうです。防球ネット、スクリーン、プロジェクター、人工芝マット、そして計測器。ほぼインドア練習場ですね。日本はスペースの問題がありますが、アメリカではDIYで“SIMルーム”を作るゴルフオヤジがたくさんいるらしいです。
野倉 ラプソードの計測器を使っているんですね。ラプソードMLM2PROが10万円弱で、サブスク契約もすれば使えるんですね。野球をやっていたので、ラプソードは馴染みがあります。
T島 そうみたいですね。野球の世界でも有名ですし、かなりコスパが良いと評判です。私は今、フライトスコープの“Mevo Gen2”という計測器をテストしています。こちらは約16万円。さらにプロパッケージとフェースインパクトロケーションという追加機能を購入すれば合計30万円ほどで、トラックマン並みのデータが取れます。設置も楽で、屋外・屋内どちらでも使える点が良いですね。
野倉 トラックマン的データとは、具体的にどんなものですか?
T島 昔は打ち出されたボールのデータしか分からなかったんですが、今はクラブの軌道、フェースの動き、打点位置まで分かるんです。トラックマンの普及で計測器業界が一気に広がり、どんどんコストダウンされてきた流れですね。
クラブ選びで計測器は必要?
野倉 T島さんはインドア練習場でデータを見ながら練習されていますよね。
T島 アプローチが中心で、フルショットは7番アイアンまでですね。
野倉 1Wは打たないんですか?
T島 スイングチェックが目的なので、1Wをインドアで打つのは危ないんですよね。計測器があると余計に危険です。
野倉 分かります。数字を見ると“やってやる!”って気持ちになりますよね。
T島 そうなんです。“飛ばしたい飛ばしたい飛ばしたい”モードに入ってしまう。もちろん仕事での試打では打ちますが、普段は自制しています。
野倉 どうしても飛距離データに引っぱられますよね。大蔵ゴルフスタジオでは、まず併設のオークラランドでフィッティングします。スタジオにはトラックマンもありますが、数字が気になってしまうので、購入後の最終チェックで使うことが多いです。
T島 私のように試打慣れしていても数字に引っぱられます。あくまで“目安”。気持ちよく振れること、打点が安定していることが大事です。数字だけ見て良し悪しを判断するなら、フィッターは必要ないじゃないですか。
野倉 お客様のリズムや違和感を察知することが大切なんですよね。もちろん数字も大事ですが、まずは数字以外の部分から確認する方が選びやすいです。
T島 その上で、可変スリーブを調整したり、鉛を貼ったり、アイアンならライ角を調整したりと、フィッターがデータを活かすわけです。だから信頼できる計測器を置いているんですよね。
野倉 では正直に伺います。クラブ選びに計測器は必要ですか?
T島 “必要です”。ただし、数値の意味を理解していないと邪魔にもなります。お医者さんもレントゲンやMRIの数値を詳細に見ますが、患者は理解できないですよね。でも信頼して任せる。ゴルフも同じで、ゴルファーは“飛距離”しか見ていないことが多い。データ読解は専門家に任せた方が良いんです。
野倉 その通りです。私たちが読み込んで、分かりやすくお伝えします。
T島 ただ、自分で計測器を使い、データ項目を理解していくと、スイングとクラブの関係が深く分かるようになります。購入するなら、ボールだけでなく“クラブの動きが測れる計測器”を選んでください。設置のしやすさも重要です。“Mevo Gen2”はその点とても優秀です。
野倉 計測器の数字の意味が分からなかったら、気軽に聞いてください。
T島 最後にひとつ大事なことを。自分に合っているクラブかどうかは、フェースを見れば分かります。打点が揃っていれば合格。ブレブレなら、一度フィッティングを受けてみてください。
T島氏の友人が自作したシミュレーションゴルフ環境
T島氏のプロフィール
ゴルフ関連のライター、動画撮影編集、ブロガー、フォトグラファー、YouTuber的な(笑)、いろいろやってます。ゴルフ、クルマ、カメラ、音楽、映画、ガジェット、が好きです。以前は、店舗の運営、出店、立て直しを25年やってましたが、何故かこんな仕事をしています。
大蔵ゴルフスタジオ
上記動画はT島氏が特派員ブログを勤めている東京都世田谷にあります大蔵ゴルフスタジオの説明。大蔵ゴルフスタジオ世田谷のクラブフィッティングの流れを説明しています。
取材協力/大蔵ゴルフスタジオ世田谷
住所:〒156-0053 東京都世田谷区桜3-24-1 オークラランドゴルフ練習場内
営業時間:11:00〜19:00
定休日:毎週月曜日
TEL:03-6413-9272
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