スイングはそのまま、クラブでスピンを適正値に近づける
夏堀孝彦さんはゴルフ歴30年のベテランゴルファー。普段はドローを打っているが打ち急いだときなど「体が開いてスライスが出る」のが悩み。高慣性モーメントがウリで球がつかまると評判の某モデルを手に入れてスライス解消を目論んだものの、今度は球が前に飛ばなくなってしまった。新たな悩みを解決するためにPGA TOUR SUPERSTORE つくば学園東大通り店を訪ねた。
同店のHONMAブースはレーダー式弾道計測機トラックマン4を完備。手始めにマイドライバーの弾道を計測してみると、ヘッドスピード42m/s台、ボール初速は60m/sを超えているがキャリー200ヤードと、飛距離に結びついていない。スピンが4500回転とアイアン並みに多いことが原因だ。同店マネージャーも務める谷合信俊フィッターは、スピンが増えるそもそもの要因はスイングにあると指摘した。
「クラブが上から入り過ぎています。10度くらいダウンブローに当たっているのでスピンロフトが大きくなっています」(谷合フィッター)
「直そうとしていますが何十年もこの打ち方なので今さら変えるのは難しいですね」(夏堀さん)
「ドライバーのスイングを無理に変えてもアイアンが悪くなる可能性があります。今日はスイングを変えずにクラブで改善する方法を見つけていきましょう」(谷合フィッター)
「VIZARD BLUE」でヘッドスピードがアップ
最初に試したのはマイドライバーとスペックが近しい「TW777 MAX」(ロフト角10.5度設定)と「VIZARD BLUE」(50S)。振り心地をチェックするのが目的だ。
「中元調子の割にはシャフトの戻りがよく振りやすいですね」(夏堀さん)
「マイドライバーと同じ50グラム台ですがヘッドスピードは少し上がりました。このシャフトを基準にしてフィッティングを進めていきましょう。フェースが少し開いて当たってもスライスしないのは慣性モーメントが大きいからです。スピンは4000回転台から3000回転台まで落ちましたたが、もっと減らせると思います」(谷合フィッター)
「TW777」のウェイト調整でスピンを激減させる
スピンを減らすための谷合フィッターの提案は「TW777」(10.5度)だった。マイドライバーや「TW777 MAX」と比べて小ぶりに見えるが、ベテランの夏堀さんにとっては「速く振れそうなイメージです」とかえって好印象。シャフトは同じく「VIZARD BLUE」(50S)だ。
「TW777」を3球打った結果、打ち出し角は抑えられたもののスピンはさほど変わらず。そこで谷合フィッターは待ってましたとばかりに専用レンチを取り出し前後のウェイトを入れ替えた。
「前を20.5グラム、後ろを3.5グラムにして重心を浅くしました。ウェイトを17グラムも移動させたので別物のように感じるはずです」(谷合フィッター)
「TW777」の浅重心仕様は夏堀さんに大ハマりした。
「ヘッドの後ろの重さを感じなくなったのでフェースを返しやすくなりました」(夏堀さん)
フィーリングの違いはトラックマンの示す数値にもはっきり表れた。ヘッドスピードは1m/sもアップ。スピンは1000回転マイナスで2000回転台まで落ち、キャリーとトータル飛距離がそれぞれ14 ヤードずつ伸びた。
飛距離アップの可能性を探り、できることはすべてやる
この結果に夏堀さんは大満足したが、谷合フィッターはさらに攻める。まずはヘッドスピードのさらなるアップを狙って、シャフトを先中調子の「VIZARD RED」に交換。結果、ヘッドスピードは本日最速記録をマークしたが、スピンは増えてしまった。
「一発の飛び狙いなら『VIZARD RED』もありですが、コースで安心して打てるのは何球打っても弾道が安定している『VIZARD BLUE』です」(谷合フィッター)
「最近は体力も落ち気味だし曲がりを小さくするためにMAX系のドライバーばかり使っていましたが、アスリート系の『TW777』のほうがスピンが減って飛ぶとわかったのは大収穫でした。シャフトは『VIZARD BLUE』のタイミングがぴったりで、『TW777』でも『TW777 MAX』でもちょうどいい感じのドローが打てました」(夏堀さん)
ドライバーを新調することで、シンプルに「飛距離を伸ばしたい!」と理想の実現を求めたり、現在進行形で抱えている悩みや問題を解決したいとゴルファーは考えるが、そのためにはやはりフィッティングが欠かせない。
今回の夏堀さんのフィッティングの流れを見ていけば、それは明らか。フィッターとのやり取りによって、新しいクラブの性能やギミックを十二分に引き出すことができるからだ。そうして、真価を発揮したクラブを手にすることで、限りなく理想に近い”マイドライバー”を手にすることができる。





