「小さい傾斜が多くて、見た目と逆に切れる」すみれのグリーン

日本女子ツアーのシーズン2戦目となる「Vポイント×SMBCレディス」は今年から開催コースが千葉県の紫カントリークラブすみれコースになりました。
比較的フラットでフェアウェイは広めにも関わらず、コースレート75.1となっているのは、やはりグリーンが難しいことになるのでしょう。

そのコースを25パット。スコアは67で首位発進したのが青木瀬令奈でした。
「小さい傾斜が多くて、見た目と逆に切れることがある」と言うグリーンをどのように攻略したのかを聞くと「私はラインに応じて打ち方を毎回変えちゃうタイプなので」と説明しました。

フルショットなら低い球を打つ。スライスをかける。スピンをかける、といったことはアマチュアでもやりますし、イメージもできると思います。
ですが、パットでそんなことができるのか。
と頭の中が「?」マークで一杯になったので、直撃してみました。

そこで青木が話してくれたのは打ち方を変える、というよりも左右どちらに切れるかのラインによってボールの位置を変える、ということでした。

「打ち方を変える」といっても、ストロークは変えていなかった

程度の差はありますが、パットでもスイング(ヘッド)の軌道はアークを描きます。

通常はアークの“頂点”でスクエアにインパクトするようにしますが、青木は例えば右に切れるスライスラインの時はボールを少し右に置くのだそうです。

このことで全く同じストロークをしても、インサイドアウトの軌道でインパクトすることになってボールにフック回転がかかり、傾斜や芝目と相殺して曲がりが少なくなる、ということでした。

さらに、インパクトの衝撃でフェースが右を向きやすくなるので、センターよりもやや先でインパクトするようにしている、という上級テクニックも教えてくれました。

ドライバーショットでスライスをかける。アプローチでスピンを効かせる、といったプロの技はそうそう真似することはできませんが、この「セレナ流」パッティングはすぐにでも真似できますから、年末年始のラウンドで試すのもあり、ではないでしょうか。

冬はグリーンが寒さで凍っていたりで硬く速くなっていますからアマチュアでもプロ並みの高速グリーンでやることになるかもしれません。

そうなると曲がり幅はより大きくなりますから、セレナ流を真似する価値はあるでしょう。

セオリーにこだわりすぎなくてもいい?

青木は他にも「パッティングには色々なセオリーがありますけど、あまりこだわらなくてもいいと思います。例えばボールは目の下、と言いますけど、それって身長や構え方もあると思うんです」と言いました。

例えばミラーのようなモノを置いてアドレスで目の真下になっているかチェックする器具がありますが、身長153センチの青木は顔が映らないのだそうです。

2025年シーズンの平均飛距離はツアーで90位でした。
必然的にグリーンを狙う距離も長くなるので、パーオン率は73位。

それでもポイントランキング37位になったのは、やはりパットが優れているから。
そのことはラウンド当たりの平均パット数(28.6436)がツアーで3位。パーオンしたホールの平均パット数(1.7761)でも5位のスタッツが証明しています。

青木の平均飛距離は222.76ヤードでしたから、一般的な男性アマチュアと同じぐらいでしょうか。
それでもツアーのトーナメントではアマチュア男子のバックティーぐらいの距離を平均スコア71.5542とアンダーで回るのですから、マネしない手はないでしょう。

「真っすぐ打つことは“正義”じゃない」

とかくパットは真っすぐに打ち出そうとするものですが、グリーンでは傾斜があるので、真っすぐなラインを打つことはそうありません。

とかくパットは真っすぐに打ち出そうとするものですが、グリーンでは傾斜があるので、真っすぐなラインを打つことはそうありません。

なので青木は「真っすぐ打つことは“正義”ではないよ、ってことです」と言います。

「(左右の)ラインに合わせて自分の打ちたい回転で打っていいんです。傾斜があったら、それと“喧嘩”させて逆回転させた方が確率は上がると思います」

さらに「チェックポイントばかり増えると頭がこんがらがっちゃいますよ」とも。

打ち納め、打ち始めは青木のようにイメージを優先させてパットしてみては、いかがでしょう?

(取材・文/森伊知郎)