前回、ラウンド中の対処方法を述べさせていただきましたが、ラウンド中にできることは限られています。
ですが、様々な気づきがあって、次回のラウンドまでに改善したいと思うことも多いと思います。
その際に、行きつけの工房さんがある方は、そちらに持ちこんで、いろいろと相談に乗ってもらったり、スペックを替えていったりすることもできますが、なかなかそういう環境にいらっしゃらない方もいるでしょうから、もう少し簡単に、自身で試したり判断することもできるようにしたいと考えています。
その方法の一つが、今日ご紹介する鉛での調整です。
今回はその鉛の調整方法と効果について書かせていただきたいと思います。
鉛で球筋は変わる?
以前から鉛の貼る位置によって球筋が変わるということが言われていますが、本当でしょうか?
もちろん、ヘッドの重心位置が多少変わることによってそういうこともあり得ますが、その効果は非常に小さいです。
では、なぜ、鉛を貼ると実際に球筋が変わるのか?
それは、鉛の効果によって、コントロールしやすくなったり、クラブを動かしやすい方向が変わったりするからです。
つまりは、意図した方向に動かしやすくなり(逆もあり)、その結果として軌道などに影響して球筋が変わるということが起こっていると考えていただけると嬉しいです。
つまりは、鉛を貼ることによる直接的な効果は限定的で、それよりも、振り感が変わることによって、球筋が変わりやすくなる、とご理解いただけますでしょうか?
ですから、鉛を貼る目的は、この振り感を変えるために行う、と考えてください!
一番はバランスの調整
皆さんが鉛を貼る理由として一番多いのが、バランス調整ではないでしょうか?
ヘッドに鉛を貼って、バランス(スイングウエイト)が重くなり、振り感が変わります。
その結果、自身のタイミングで打ちやすくなり、打ちやすくなるということです。
バランス=振り感の目安でもありますから、それを変えたいから貼る、ということになるでしょう。
「鉛を貼る」ということですから、重くなる方向にしか変化はありません。つまりは振り感を重くしたいから、貼るということになっていきます。
振り感が重くなるとどうなりやすいか?というと、ゆっくり振りやすくなります。切り返しで間が欲しい時など、少し重いクラブの方がやりやすいですよね?
また、重く感じることで、バックスイングの始動がやりやすくなったりすることもあるでしょう。打ち急ぎ防止などに良いかもしれませんね!
よく、ヘッドを重くした方が飛ぶから貼る、ということを聞くことがありますが、あまり効果はないと考えた方が良いです。
もちろん、インパクトは衝突ですから、ヘッドが重い方がその効率はあがります。ですが、それ以前に、重くすることによってスピードが減少してしまったら本末転倒ですし、振りにくくなってしまって、キチンととらえられなくなってしまったら、何のためにやったのかわからなくなってしまいます。
ということで、このヘッドに鉛を貼るということによる直接的な効果は限定的ですし、貼りすぎてしまうことで全く思ったように振れなくなってしまうようになる方が要注意です。
のちほど、ヘッドに貼る時のことをもう少し詳しく書かせていただきます!
どこに何グラム貼ると効果的?
では、この振り感を変えるためにはどこに鉛を貼るのが効果的でしょう?
基本的には、シャフトに貼ることをお勧めします。
鉛を貼るということは重くするということになりますから、軽く感じている場合に貼ることになります。
それは、どこを軽く感じているかというと、大体の場合、手元に近いところの重量だと考えてみましょう。
ということは、グリップの下のシャフトの部分が一番感じやすいとなります!
「クラブがなんか軽いな」「当たりがイマイチ薄いな」というときは、グリップ下に鉛を巻いてみてください。
この際どのくらいの鉛を貼ったら良いか?とよく質問をいただくのですが、1gでも大きな効果が期待できますので、1gくらいから貼ってみましょう
ちょうど、グリップ下に薄い鉛をぐるっと1周くらい巻く感じで大丈夫です!
1g?それだけ?って思う方が大半だと思いますが、これで十分に振り感は変わります。
振り感が変わっても、あまり結果が変わらないという時は、もう少し貼ってみましょう~。
ですが5gも貼らなければならないような場合、それは、シャフトの重量が合っていない、と考えていただけると嬉しいです。
そこで初めて、シャフトをしっかりと見なおしをしてみても良いと思います!
そういう意味でも、鉛でいろいろと調整することで、シャフト交換が必要なのかどうかの確認ができると言っても良いでしょう。事前の情報として得るには良い実験だと思います。
ヘッドには「シャフトに影響ない」ように貼る
そして、それでも、まだ、軽いと感じている方で、初めてヘッドに貼ることを考えてみてください。
そして、ヘッドに貼る際には気を付けて欲しい点があります。
それは、シャフトに対してあまり影響を与えないように貼るということです。
出来ればシャフト軸上に近いところに貼っていくのが良いでしょう。
当方がよくフィッティング時に貼る位置は、ヘッドのホーゼルの裏(ヒール側)です。ここに、0.5g以下の鉛を貼ります。
シャフトの手元に1g貼るだけでも反応しますので、ヘッドに1gも貼ってしまったら、かなりの影響だと思っていただけると嬉しいです。
もちろん、やっていくうちに1gやそれ以上の鉛を貼らなくてはならない場合もありますが、ここは0.5gくらいずつ増やすことをやってみてください。
どうしても効果を大きくしたいといことで、トゥ側に貼ることもダメではないですが、シャフトの挙動にも大きく影響しますので、もし、そこに貼りたいようでしたら、それは、やはりシャフトが合っていない結果と考えた方が良いでしょう。
ここまで読んでいただいて、あれ?これだとバランス(スイングウエイト)はどのくらい変化するのだろう?と疑問に思っている方も多いでしょう。
もちろん、ヘッドでもシャフトでも鉛を貼ればバランス(スイングウエイト)は変化します。ですが、シャフト側に1g以下のものを貼っても、バランス計は動かないかもしれません。
また、ヘッド側に0.5g貼ったとしても、バランス計は少し変化するくらいかもしれません。
そんな微々たる変化で、本当に効果があるの?と疑われるのも当然ですが、実際には人は反応します。
言葉にできるほどの変化ではない人も多いですが、打ってみると結果が変わるということが起きますので、確実に反応で来ているということになります。
鉛調整はお手軽簡単でだれでもできることですが、慎重に行かないと、クラブとして使い物にならなくなってしまうこともあると考えてください。
では、どういう時に鉛を貼っていったらよいかをまとめてみます。
① トップや薄い当たりが多い=クラブを軽く感じている⇒シャフトの手元に1gくらい貼る
② ダフる=ヘッドが落ちている可能性がある=手元が重い方が良い⇒シャフトの手元に1g~2gくらいの鉛を貼る
③ トップの切り返しでタイミングが取りにくい=軽く感じている⇒ヘッドに0.5g鉛を貼ってみる
などになります。
そして、鉛を貼った後は、その貼った後のクラブを基準に結果を見ていきましょう。その上で、上記のような症状がまだ出るようでしたら、鉛を追加していきましょう~。
少しずつ追加していくことをオススメします。
そして、その際に注意していただきたいことは、あまり同じクラブを打ちすぎないことです。
何球も打ってしまうと、慣れてきますので、重く感じているのか、軽く感じているのかがわからなくなりがちです。
なので、理想は1球、多くても2球くらいで判断するのが良いでしょう。
本当の目的はクラブ間の振り感を合わせる
そして、当方が鉛を貼る最大の目的は、これから挙げる、クラブ間の振り感の差を埋めるためです。
いろいろと1球ずつクラブを持ち換えて打っていくと、確実に直前に打ったクラブとの相対比較ができます。前のクラブより重く感じるのか軽く感じるのか?で結果が変わります。
わかりやすく結果が出ることもあります。
それらを整えていき、まとまりのあるセッティングにしていくというのが鉛を貼る主目的だと思ってください。
例えば、一番多いパターンは、ドライバーを打って、続いてアイアンを打つとダフるパターンでしょうか。
これは、アイアンを重く感じたという結果ですので、その場合はドライバーのシャフトに鉛を貼って重くして見ましょう。
逆もあります。ドライバーを打った後にアイアンを打ったらトップした、というものです。
この場合、アイアンを重くする、ということも良いですが、ドライバーが重すぎるということも考えられますので、アイアンに鉛を貼る前に、ドライバーのヘッドのウエイトを軽くしていってみましょう。
ウエイトのお話は、また、近いうちに書かせていただきます。
このように徐々にクラブ間の振り感の違和感を減らしていき、全体を整えていくことで、コースで使いやすいクラブセッティングになると考えていただけると嬉しいです。
もちろん、単体で、一本一本の振りやすさのために調整することも大事ですが、打ちにくい、振りにくいクラブがなるべく少ないセッティングの方が、コースでは機能する道具になります。
これを当方は、「クラブの調律」、と呼んでいます。
ピアノの調律から頂いた言葉ですが、ピアノの調律は一つ一つの音を良いものにするのと同時に、他の音との違和感がないものにしていくことだと理解しています。
ド~シまでオクターブごとに、よどみなく音がそろっていないと演奏した時に違和感になりますよね? たとえ、ドの音がすごく良い音でも、他の音と違う旋律ではちゃんとした演奏は難しいと思います。
それと同じで、ゴルフクラブも14本の中に、1本でも違和感のあるものがあると他のクラブに多大な影響を与えます。
そうならないために、一つの手法として、細かく鉛で調整をするということを覚えていただけるとより扱いやすいクラブセッティングになることでしょう!
この確認作業や鉛貼り作業は一人だと大変かもしれませんので、お友達同士で確認しながらやってみましょう!
ダグ・三瓶(だぐ・みかめ) ブリヂストンスポーツ、アクシネット ジャパン インクと日米2つの大手メーカーに所属。その中でクラブ開発、ツアー担当、マーケティング、フィッティングなどを担当。ツアーレップ時代にはあのボブ・ボーケイ氏に日本で唯一の弟子と認められていた。現在、フリーとなり迷い多きアマチュアゴルファーにアドバイスを送ってくれることとなった。





