個性的なスイングだけど世界最強!〝腕振り〟で飛ばす 左腕のしなりでヘッドスピードを最速に!

スコッティ・シェフラーのスイングでは右足を引く動きに注目が集まりますが、右足を引くというのは下半身を必要以上に使っていない証拠です。最近は地面反力だったり、インパクトでジャンプする選手もいますが、シェフラーはそういう複雑な動きはしません。

シェフラーのスイングの主役は腕です。腕の振り方、使い方がすごく上手い。一番参考にしてほしいのは腕のしならせ方です。シェフラーはバックスイングの途中まで左腕を真っすぐに伸ばしていますが(写真04)、トップでは90度近く曲げています(写真05)。これはヒジを曲げているのではなくて、バックスイングの後半(写真06)でダウンスイング方向に力をかけている。だからトップでムチのように腕がしなるのです。

身長190センチのシェフラーですが、トップの位置はかなり高い。最近のPGAツアーでここまでハイトップな選手は少ないのですが、シェフラーは高さを生かして腕のスピードを上げています。

さらにダウンスイングからインパクトにかけて、曲げている左腕を伸ばしていくので、腕が加速する。必要以上に下半身を使わなくても、腕のしなりを最大限に生かすことが飛距離につながるのです。

ヨコ方向の動きで腕を遠くに

体の動きとしては上下ではなくて左右。バックスイングでは少し右に動きながら、腕を遠くに持ってきている。

ハイトップから高さを生かして加速

バックスイングの途中まで左腕を真っすぐに伸ばしているが、トップでは90度近くに。これはバックスイングの段階でダウンスイング方向に力を向けるための動き。

両腕の中心にシャフトがある

腕を最大限に使っているが、インパクトの瞬間には両腕の中心にシャフト(クラブ)があることでインパクトのタイミングが安定する。

右足を引くことが注目されるけど右足を止めたまま、再現性の高いタテ振りを作る

シェフラーのスイングは右足の動きに注目が集まるが、石井忍は右足が止まっているところにシェフラーの凄みがあると指摘する。

足を止めることで前傾角度も腰の位置も変わらない

シェフラーの右足が動くのはインパクトからフォローにかけてのタイミングです(写真10)。どうしても、この動きに目が行きますが、本当にシェフラーがすごいのはその前のインパクトゾーンにあります。シェフラーはハーフウェイダウン(写真05)からインパクトまで(写真08)ほとんど右足を動かしていません。PGAツアーの選手でも、ここまで足元が動いていない選手は少ない。普通は右足を蹴ったり左足を踏み込んだりします。シェフラーは足元が動くことなく、クラブと腕だけが動いています。右足が動かないことによって右腰が前に出たり、体が開いてしまうエラーが起きない。前傾角度も腰の位置もヒザのポジションも変わっていません。さらにクラブの通り道も広くキープできます。

なぜシェフラーは右足を止めたままインパクトできるのか? 実はハーフウェイダウンのときにシェフラーはすでに右足を引く方向に力を入れています。しかし、このとき体が前に出ようとするので、足を引こうとする力が相殺される。その結果、足が止まって見えるのです。インパクト後はヘッドが前に出ることによって体が前に行く力が抜ける。その結果、右足が動く。シェフラーはインパクトの後に右足を引いているのではなく、ずっと右足を引き続ける力を入れている。それが再現性の高いスイングにつながっています。

切り返し直後から右足はツマ先立ち

切り返し直後から右足はツマ先立ちにして、右足を引く方向に力を入れる準備をしている。

ハーフウェイダウンで完璧なスクエアフェース

再現性の高いスイング軌道によって、ハーフウェイダウンは完全にスクエアフェース。

ハーフウェイダウンからインパクトまで右足がほとんど動かない

ハーフウェイダウンでは左腕を真っすぐ引っ張るように腕を動かしている。

アイアンに近いダウンブロー

ドライバーの軌道としてはかなりアップライト。アイアンに近いダウンブローに振っている。

解説:石井 忍
1974年8月27日生まれ。98年にプロ転向し、現在はツアープロからジュニアゴルファーまで幅広く指導。自身が主宰する「エースゴルフクラブ」を千葉、神保町に展開する。