打感は新感触ながらミズノの心地よさをしっかり継承

試打を行ったのはゴールデンクロスCC(千葉県)10番ホールのフェアウェイ。風はやや気になるアゲンストで、グリーンまで150ヤード強のやや打ち上げというシチュエーション。まずはウォームアップを兼ねて数発打ってもらい、第一印象を聞いた。

「豊富な過去の蓄積を生かして作られているミズノのアイアンですから扱いづらいはずはないと思っていましたが、案の定『JPX S40 FORGEDアイアン』もすごくきれいで打ちやすいアイアンです。ヘッドはやや大ぶりでトゥ側にボリュームがありますが野暮ったくはありません。ネック部分をキュッと絞ったり、トップブレードが厚くもなく薄くもない絶妙な頃合いに仕上げているからでしょう。ネックからフェースまでが一体成形でコンベンショナルっぽいところもミズノらしさを醸しています。

構えてみてもミッドサイズのアイアンにありがちなボテッとした感じは皆無。それでも安心感、というか落ち着きを与えてくれるのは、フェース面がクリアに見えて球が浮きやすいイメージが湧くからだと思います。ソール幅も飛び系のアイアンとしては狭め。ソールの一部を削り落としているモデルも多い昨今のアイアンにあっては非常にオーソドックスです」

「JPX S40 FORGEDアイアン」は軟鉄鍛造。フェースからネック部分は1本の丸棒を一体成型するミズノ独自の鍛造製法「グレインフローフォージド」によるものだ。フェースネック一体の軟鉄鍛造でありながら、薄いフェースと深いキャビティを可能にするマイクロスロット加工を施している。

素材は軟鉄ボロン鋼(S25CB)。クロムモリブデン鋼(SCM435)より軟らかく、軟鉄(S25CM)より強いのが特徴だ。では、日本人ゴルファーがこだわる打感や打音はどうなのだろうか。

「僕的にはいい意味でちょっと独特で、弾く感じがあるのに明らかに軟鉄の軟らかい打感がある。オブラートに包まれた金属で打っているようで、カチッとした感じがほのかにあります。これが軟鉄ボロン鋼のせいなのか定かではありませんが、新感触ながらもミズノのアイアンの心地よさがちゃんとあります。打音もまろやかな金属音で気になるところは全くありませんね」

打感は石井が言うように、軟鉄ボロン鋼のフェースネック一体鍛造の貢献度が高く反発性能と心地よさを両立。フェースの余分な振動を抑えるべくバックフェースに装着した樹脂バッジと相まって、さらなる打感のよさが得られる作りになっている。

ヘッドスピード40m/sでも7番アイアンで“キャリー150ヤード”の飛距離性能

さて、肝心の打球はどうなのか。見ている限り打球はかなり高めで、方向も左右10ヤードほどの範囲に収まり、グリーンをオーバーするショットも見られた。

「飛びますね。7番でロフト28度と立ち気味の飛び系アイアンですが、ドライバーのヘッドスピードが40m/sあればキャリー150ヤードは軽くいきそう。今回はアゲンストの条件下なので無風ならもっと飛ぶでしょう。

ダフり気味でもヘッドがうまく抜けてくれます。オーソドックスなソールと言いましたが、“実はこういうソールの方がやさしい”と改めて教えてくれているような気がしました。ただ、どちらかといえばフェース下部で打った方がボールを拾いやすく、打感や打音もよかったですね」

ドライバーのヘッドスピードが40m/s想定のデータ

ドライバーのヘッドスピードが30m/s後半〜40m/sの人が打ってもボールはしっかり上がり、ダウンブローでも球がフケることなく真っすぐ飛ぶ。打感や打音の面では、レベルブローから緩やかなダウンブロー程度の軌道との相性がよさそうだ。

ドライバーのヘッドスピードが43m/s想定のデータ

また、ボールが上がりやすいのは、マイクロスロット加工後に装着された18gのタングステンウエイト(#5〜7)の効果。大きなスイートエリアと低重心設計によって、高弾道とやさしさを実現している。

幅広いゴルファーに対応する完成度の高さ

「いずれにしても完成度はすごく高いです。特に今作はドライバーのJPX ONEからフェアウェイウッド、ユーティリティ、アイアンまで、このシリーズで揃えてもいいくらいの完成度だと思います。トータル的に飛距離も出ますからね。

適正ユーザーもかなり幅広く、スキルアップを目指す人や40〜50代で少しお助け感のあるクラブが欲しい人にも向いています。これからゴルフを始める人でも十分に使えます」

さらに石井はこう続ける。

「アイアンには顔のきれいさ、寛容性、打感、飛距離、スピン性能などさまざまな要素がありますが、『JPX S40 FORGEDアイアン』はどれを取っても平均点をはるかに上回っています。フォージドアイアンながらお助け要素もしっかり盛り込まれている。ヘッド自体が大きな受け皿のような安心感がありますね」

どうやら石井もかなり気に入った様子。いいクラブに出会うと打つ手が止まらなくなる試打職人だが、今回もその兆しが見えていた。

軟鉄鍛造の打感と飛距離性能を高次元で両立した「JPX」シリーズの新たな完成形

軟鉄ボロン鋼によるフェースネック一体鍛造と、ミズノ独自のグレインフローフォージド製法を採用した「JPX S40 FORGEDアイアン」は、軟鉄鍛造らしい心地よい打感と高い反発性能を両立したモデルだ。マイクロスロット加工やタングステンウエイトによる低重心設計によって高弾道でやさしく飛ばせる性能を備え、ヘッドスピード40m/s前後でも7番アイアンでキャリー150ヤードが狙える飛距離性能を実現している。ヘッドはやや大きめながら構えた際のシャープさも保たれており、寛容性と操作性のバランスも良好。スキルアップを目指すゴルファーから、やさしく飛ばせるフォージドアイアンを求めるプレーヤーまで、幅広い層に応える完成度の高いモデルと言えるだろう。