バーディーを奪ったホールで抱いた違和感
佐久間は2日目にコースレコードタイの62をマークして首位に立つと、そのまま逃げ切りました。
ですが、そのラウンドの17番パー4でピン手前3メートルにつけた2打目が「いいショットだったのに若干弱かった」との違和感を抱いたのだそうです。
このホールはバーディー。インスタートだった2日目はこの後も5バーディーを奪いましたが、一度抱いた違和感は消えることがなく、ホールアウト後にヘッドは変わらずピン「s259ウェッジ」の50度のシャフトをN.S.PRO neo プロトタイプから、約5g重いモーダスプロトタイプが挿さっているモノに迷うことなく替えました。
また、このウェッジのシャフトに関しては、オフシーズンに58度をN.S.PRO neo プロトタイプからモーダスウェッジ105に替えていたが、今週火曜日に急遽54度もモーダスウェッジ105に替えていた。
自己ベストでもあるスコアをマークしたラウンドで、使ったクラブをすぐさま替えるのは常人には理解できないことです。
今年の課題は「100ヤード以内は1ヤード単位で打てるようにしたい」なので、50度のウェッジで打つ距離を3ヤードショートしたことは到底許せない。
6年連続賞金女王となった絶頂期の不動裕理以来となる女王戴冠の翌年の開幕戦Vを実現し、絶対女王の領域に入ってきたということでしょうか。

48&52度ではなく、50&54度のロフトを2度立てている理由は?

ウェッジには、さらなるこだわりが詰まっています
表示されているロフトは50、54、58度ですが、50度と54度は2度、58度は1度、ロフトを立てて使っています。ですから、実際には「50度=48度」「54度=52度」「58度=57度」というロフトセッティングになっています。
ピンの「s259」のSソールはロフト46度から60度まで2度刻みでラインナップされています。
それなら48度と52度を使えば良さそうなところを、なぜわざわざロフトを立てる?と思うかもしれません。
これには、ロフトを立ててグースをつけることによって右へのミスを出にくくしているという理由があるのだそうです。
またロフトを立ててバウンスが減ることを考慮した上で、12度とバウンスが多め(58度は10度)のSソールを選んでいます。
師匠、ジャンボ尾崎さんのトレードマークだったグースネックのウェッジ
グースネックのウェッジ、といえば佐久間の師匠でもある故・尾崎将司氏が使っていたことでもおなじみでした。
昨年12月23日に尾崎氏が亡くなった後は「外にも出たくないし、ご飯も食べたくなかった」ほどのショックに襲われた佐久間でしたが「今年勝てなかったらジャンボさんは絶対に怒る。こんなことをしている場合じゃない」と気を取り直してオフのトレーニングに臨みました。
そしてシーズン開幕にあたっては、今月16日に行われる「お別れの会」でいい報告をすることを目標にしました。
いい報告、のチャンスは「ダイキン」と次戦の「台湾ホンハイレディース」だけ。
その条件下で見事に結果を出しました。
その原動力のひとつが、師匠のトレードマークともいえたウェッジへの妥協なきこだわりでした。
さらには「後半伸ばせなかった(最終日のバックナインでバーディーなし)。アプローチもまだ詰めていかなければいけない修正が多かったので、そこは明日からまた練習したいです」と話したのは「優勝、はトロフィーを掲げて、下した瞬間に終わり。そこからはまた次の試合に向けた準備が始まる」が信条だった尾崎さんをほうふつとさせます。
会見で尾崎さんに開幕戦優勝を報告したら何と言われると思うか?と質門されると「まだシーズンは始まったばかりだぞ、と言われると思います」と答えました。
尾崎さんに褒められるような成績を残したい。
そのモチベーションがある限り、まだまだ強くなりそうです。
(取材・文/森伊知郎)







