昨シーズンのトップ2との最終日最終組
1打差の2位タイからスタートした最終日は、昨シーズンの年間女王・佐久間朱莉と、ポイントランキング2位の神谷そらと最終組で回るという、2021年の「ヨネックスレディス」以来となる優勝を決めるには痺れそうなペアリングとなりました。
それでも抜群のショットのキレを披露。この日プレーした56人の平均パーオン率は55.6548%。ホール数にすると約10ホールに留まるという難コンディションの中、笠は全体トップとなる15ホールでパーオンに成功。率にすると83.3333%と、ひとり異次元のプレーを見せていました。
それを支えたのが本間ゴルフの2016年モデルのアイアン「TW737P」でした。

ところが、5番と7〜10番が「TW737P」なのに、間の6番だけ「TW727P」というセッティングになっています。
やさしさや球の高さを求めてアイアンの中で長い番手だけを異なるモデルにするのはよくあることですが、間の番手だけというのは一見?マークが付きます。10年前のモデルだけに壊れてしまって代わりがない、といった理由でもあるのでしょうか。
そこで本人に聞いたところ「6番だけなんだかペラって(右へ飛ぶ)、しっくりこなかったんです。なので、変えました」と説明してくれました。
常人には難解な理由ですが、このことでアイアンとしての“流れ”を揃えられたのだそうです。
「練習ではマッスルバックを打っています」
さらに「練習ではマッスルバックのアイアンを使っています」という笠りつ子。
「練習」とはシーズンオフやツアーの試合に出場しない週の練習で、という意味なのかと思って聞いたところ「試合の週の月火とかに、打っています」との答えが返ってきました。
試合直前の練習でそんなことをしたら、感覚が狂ってしまうようなことはないのでしょうか?
この意図については「試合で使うアイアンだけ打っていると簡単なのに慣れてしまうので、難しいクラブでしっかり打てるように」との意図を説明してくれました。
また練習全てをマッスルバックでするのではなく、打つのはその中での20球ほど。
練習日はこのことで芯でしっかりインパクトする感覚をつかんでから本来のアイアンを打つのがルーティンになっています。
昨シーズンは佐久間を上回るパーオン率。ツアー史上16人しかいない記録も達成している笠
昨シーズンはポイントランキング56位でシード権は獲得できなかったものの、パーオン率は10位(72.6757%)にランクイン。これは女王、佐久間の13位(72.4332%)を上回っていました。
2022年にはこの部門で4位になっています。
5年前の「ヨネックス」ではツアー史上16人しかいない、ノーボギーでの優勝も達成しているショット力は、こうしたアイアンへの独特への感覚と練習法に支えられていました。
現在使用しているアイアンを使い続ける理由は「顔が好きなので」と言います。
セッティングでは、他に7番ウッドと52、57度のウェッジがかつて契約していた本間ゴルフのものです。現在はクラブ契約フリーということで、ドライバーと4番ユーティリティがキャロウェイ。3番ウッドがピンで46度のウェッジがタイトリストでパターがオデッセイとなっていますが、これらを選ぶ基準は「顔が大事」と見た目の感覚を最優先にしています。
プロテストに合格したのは2006年で、すでに20年が経ちました。
初優勝した2011年の「ニトリレディス」からも15年が経過しています。
これだけ長い期間に渡って活躍できているのは、独特の鋭い感覚を持ち合わせていることに理由があるのでしょう。

(取材・文/森伊知郎)








