ティショットのパフォーマンスを支える“エース”の存在
20代前半の若手プレーヤーの台頭が著しい女子ツアーにあって、プロ21年目を迎えた笠はベテランのポジションにいるといっていい。長いキャリアを積み重ねているだけに、クラブ選びも独特のこだわりが感じられる。
ドライバーは「顔が良くて打感もいい」と言う、キャロウェイの23年モデル「パラダイム ◇◇◇」(10.5度)に信頼を寄せている。ヘッド体積が450㏄と小ぶりで操作しやすく、低スピンで飛ばせるアスリート系のモデルだ。

とくに23年シーズンは契約外の選手も含めて多くのトッププレーヤーが使い、開幕戦から女子ツアーを席巻したドライバーでもある。そして、シャフトは「ツアーAD TP」(60・SR)を挿す。
なお、前回優勝時の5年前に使っていたドライバーもキャロウェイ(エピック フラッシュ サブゼロ)だったことを考えると、このメーカーとの相性の良さがうかがえる。
女子ツアーの「ドライビングディスタンス」(平均飛距離)を見ると、このスタッツが導入された2017年は246.39ヤード(11位)。そして、約10年を経た今シーズンはここまで、同部門で240.9ヤード(38位)と、飛ばし屋が増えたためランキングは下がっているものの、飛距離はあまり落ちていない。ちなみに、今大会のスタッツをチェックすると、ドライビングディスタンスの計測ホールの一つである4Hでは、大会を通して平均248.67ヤードをマークして13位だった。
合わせて、女子ツアーのスタッツ「FWキープ率」を比べると、2017年は65.4%(38位)だったが、今シーズンは72.8%(26位T)と向上している。笠のドライバーの高いパフォーマンスを支えている“エース”の存在は見逃せない。

モデルもメーカーも“バラバラ”なFW・UT
ドライバーより下の番手を見ていこう。3W(15度)はピンの「G440 MAX」、7W(21度)は本間の「TW737 FWc」、4U(21度)はキャロウェイの「エリート MAX FAST」。
昨年から使っているという3Wは、クラウンをカーボンにして球の高さと飛距離を両立した、FWの人気モデルだ。かつて契約していた本間の7Wは、2016年に発売されたコントロール性能が高いコンパクトなモデル。契約フリーになってからいろいろなFWを試したが手放せないという“10年戦士”だ。4Uは軽量化によりシャープに振り切れつつ、シャロー化でボールをやさしく拾いやすい。
ドライバーとアイアンをつなぐ3本のウッド系クラブを見ると、モデルだけでなくメーカーも“バラバラ”だ。一見すると、まとまりがないのでは? と思いがちだが、そうではない。
FWやUTは同じモデルでも番手が変わると、ヘッドのサイズやロフト、FP(フェースプログレッション)などが変わるため、見た目の印象や球が当たるタイミング、シャフトの動きなども変わってくる。ということは、FWやUTを同じブランドやモデルでそろえれば流れが整うとは限らない。
また、FWやUTは、番手ごとに使うシチュエーションや求める役割、イメージする弾道が違ったりするので、異なるモデルをミックスするケースがあるのだ。
そう考えると、笠のバッグに入るロフトが同じ21度の7Wと4Uは、狙うレンジは近いけれど、ライや弾道の高さで使い分けているのかもしれない。この2本は“カチャカチャなし”の接着型ホーゼルのクラブにして、アイアンにつなげているとも考えられる。
女子プロにとってFWやUTは“スコアメークの生命線”とも言われるクラブだが、この辺りのクラブ選びは一筋縄ではいかない。メーカーとクラブ契約をしても、FW・UTはフリーにするケースがあるのも、そういう背景がある。しかし笠は、ベテランならではの経験と感性を生かしたクラブ構成で、結果=スコアにつなげた。
軟鉄鍛造のウェッジ3本でショートゲームに対峙する
ウェッジを見ると、46度は「ボーケイ フォージド」(タイトリスト)の2025年モデルで、52度・57度は「TW—W」(本間)というフォーメーションだ。
46度はフルショットに適した「F」グラインドにしていることからも、アイアンの延長線上にあるクラブであることがわかる。そして57度は、三日月形のソールデザインとなっていて、グリーン周りのアプローチでフェースを開いて打ちやすい。
昨年は、58度に「ボーケイ フォージド」(Mグラインド)の2021年モデルを入れていたが、そのクラブは中古ショップで手に入れたという。それが気に入って、今年は2025年モデルの46度をセットしたのだろう。
アイアンからウェッジまで、シャフトは「NSプロ850GH」(R)でそろえて、アイアン系クラブの振り感を統一している。
10年モノのクラブもありつつ、要所でリニューアルを図りつつ、自分仕様のセッティングを追求してシード復活を手繰り寄せる。
笠りつ子の優勝クラブセッティング
ドライバー
キャロウェイ パラダイム ◆◆◆(トリプルダイヤモンド)ドライバー(10度)
シャフト:Tour AD TP(60g台/SR)
フェアウェイウッド
ピン G440 MAX フェアウェイウッド(3番・15度)
シャフト:Tour AD DI(60g台/SR)
本間ゴルフ ツアーワールド TW737 FWc フェアウェイウッド(7番・21度)
シャフト:VIZARD EX-C 65(SR)
ユーティリティ
キャロウェイ ELYTE MAX FAST ユーティリティ(4番・21度)
シャフト:Tour AD DI-75 HYBRID(S)
アイアン
本間ゴルフ ツアーワールド TW737 P アイアン(5番、7~10番)
シャフト:NSプロ 850GH(R)
本間ゴルフ ツアーワールド TW727P アイアン(6番)
シャフト:NSプロ 850GH(R)
ウェッジ
タイトリスト VOKEY FORGED ウェッジ<2025年>(46度)
シャフト:NSプロ 850GH(R)
本間ゴルフ ツアーワールド TW-W ウェッジ(52度、57度)
シャフト:NSプロ 850GH(R)
パター
オデッセイ DAMASCUS MILLED SEVEN DB パター
ボール
タイトリスト プロV1x ボール(2025年モデル)







